0.5℃の温度の差なんてすごく小さなものに感じてしまいますよね。0.5℃の上昇でも地球環境への影響や災害の頻度や規模への影響はすごく大きなものになると言われています。私たちは、0.1℃でも低く気温の上昇を抑え、災害の頻度や地球環境への影響を抑える必要があります。最近、ニュースなどで頻繁に豪雨災害や洪水、そして熱波による熱中症などを聞くようになりました。気候変動の深刻さを正しく理解して今日から気候変動を抑えるために私たちにできることをみていきましょう。

ティッピングポイントになる1.5℃

ティッピングポイントとは、 急激な変化が起こりはじめる「転換点」を指す用語です。 気候変動についても、 あるレベルを超えると、 気候システムが不可逆的 (再び元の状態に戻れない) 大規模な変化を起こすと言われています。

その一つが気温上昇1.5℃です。

産業革命前に比べて地球の平均気温が 1.5℃を超えてしまうと、温暖化が連鎖的におき、 そこからの気温上昇が抑えられなくなります。 

この 「後戻りできない状況」に陥るとその後に、たとえ人類が温室効果ガスの排出を止め、 ネットゼロを達成しても気温は上昇し続けます。

現在の温暖化対策では、1.5℃は早ければ 2030年にも到達すると予測されています。 そこで、破壊的な気候危機を回避するため、世界中の国と地域が、地球の温度上昇を1.5℃に抑えようと合意しました。

1.5℃とそれ以上では、人類、動物、生態系への被害にどれくらいの差があるかみていきましょう。

温度毎の災害リスク

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、世界の平均気温が1.5℃上昇するだけでも異常気象の発生頻度は高くなります。2℃上昇すると少なくとも2倍、3℃上昇すると4倍になるとしています。

私たちが今のままの生活を続け温暖化を1.5℃未満に抑えられなかった未来をイラストにしてお伝えします。

1.5℃の気温上昇で、地中海の平均的な夏の山火事による焼失面積は今よりも41%増加、2℃上昇すると焼失面積は62%増加、3℃で97%増加します。

このままいくと、熱波は日常になり、気温の上昇だけではなく、 気候変動による乾燥や干ばつによる山火事なども深刻化するでしょう。

地球の平均気温が1.5℃上昇すると、豪雨や洪水に高頻度で見舞われる恐れがあります。1℃上昇するごとに1日の降水量は約7%上がると予測されています。また、大気中の水蒸気量が増えるため台風の被害も増加します。

平均気温が3℃上昇すると、氷河が溶け、海水温が上昇して、沿岸地域で深刻な海面上昇がおこります。海面が上昇することにより、マイアミ、上海、バングラデシュなどの場所は主に海洋環境になる危険があるとされています。

沿岸部の都市が深刻な高潮浸水に見舞われ、家屋や人命、経済が危険にさらされるなど大惨事が起こる可能性があります。

すでに1.2℃上昇、残された時間は少ない

国連IPCC報告書では、種の絶滅、疾病のまん延、 命を脅かすほどの酷暑、生態系の崩壊、海面上昇の脅威といった気候変動による破滅的な影響は加速していると警告されています。

今生まれた子どもが30歳になる前に、 明らかな影響が出てくるのは避けられないとしています。地球の気候に多大な影響力をもつ要素のうち、氷床の融解やアマゾンの喪失など9つが後戻りできない臨界点に近づいています。

気温上昇を1.5℃以内に抑える解決策はある

排出量の削減

1) 太陽光や風力エネルギーなどの再生可能エネルギーへの切り替え 

2) 森林などの生態系の保護と修復 

3) 気候変動に配慮した農業や食料生産

4) エネルギー効率化・省エネ

私たちの生活様式が変わるシステム変革

1) サステナブルな生活を個人の選択にせず、社会的にシステムを変える

2) 野菜中心の食事を 学校給食や公的機関の食堂などに取り入れて日常的な選択肢にする

3) 物を修理して長く使うことを前提とした商品設計を法律で決める 

4) 徒歩や自転車で移動がしやすいように都市を設計する、 ゼロエミッション車を普及させる

 化石燃料への新たな投資はしない

1) 再生可能エネルギー、エネルギー効率、 交通、 気候に配慮した農業、 森林保護に対する投資を、 2030年までに3倍から 6倍まで増やす

各国の目標や政策は根本的に改善 

1) 化石燃料は、2050年までに 10分の1までに減らす

私たちと共に地球の未来を守るために行動してくれませんか?

私たちは、最悪のシナリオをただ待つだけしかできないのでしょうか。いいえ、今日からでも私たちにできることはあります。しかしそれには、各国政府や企業の協力が必要不可欠です。

グリーンピースはIPCCの公式オブザーバーであり、レビューに参加する権利があります。気候危機を最小限に抑えるため、世界中の政府に温室効果ガス削減目標及び対策の実施を求めています。

地球温暖化の原因にもなっている二酸化炭素の排出量を一刻も早く実質ゼロ、またはそれ以下に削減しなければいけません。

温室効果ガスの排出を効果的に削減すれば、大気中の温室効果ガス濃度増加傾向が抑えられ、温暖化の速度が減速し、大気の質も改善されます。

温暖化を1.5℃までに抑えるために世界の二酸化炭素排出量を半減させるには、あと8年しか残されていません。 世界のあらゆる場所で話題にし、 気候変動の深刻さを正しく理解して普段の生活でできることに加えていきましょう。

さらに、今からできる行動として署名に参加して社会の仕組み自体を変えるために声を上げてみませんか?