気候変動は今や身近なものとなり、地球上のすべての生命にとって最大の脅威となっています。 気候危機に対する解決策は、エネルギー転換、森林保護、生態系の回復、地球温暖化の原因となっている温室効果ガスを抑えるなどの数多くありますが、残された時間はわずかです。誰もが今すぐ行動を起こさなければなりません。これだけは知っておきたい気候変動の解決策トップ10をご紹介します。

増大する異常気象などの気候変動は世界中の生命を脅かしています。

実際、研究者はすでに解決策を指摘していますが、私たちが、それをどう実践するかが試されています。

熊本県人吉市 – 梅雨前線の影響で、九州の広い範囲で豪雨が発生しました。熊本県を中心に
洪水や土砂崩れで大きな被害が出た。死者数十名、避難者数100万人以上となった。(2020年7月)

科学者によれば、気候危機を抑えるための解決策はすでに存在しており、政府や企業はこれ以上遅れることなく積極的に行動を起こす必要があります。 優先する対策は以下の10個です。

1.化石燃料からの脱却

石炭、天然ガス、石油などの化石燃料は、採掘、生産、燃焼のすべてにおいて大量の温室効果ガスを排出し、気候変動の主な原因となっています。気候変動を抑えるために、世界は2030年までに二酸化炭素排出量を半減させ、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする必要があります。 そのためには、各国政府は自然エネルギーへの転換を加速し、化石燃料から脱却し、二酸化炭素排出量を発生源から削減する必要があります。

2. 再生可能エネルギーの開発

化石燃料の廃止が進む一方で、再生可能エネルギーも代替エネルギーとして積極的に開発しなければいけません。 太陽光、風力、潮力、水力、地熱などの再生可能エネルギーは、建設や発電の過程で、化石燃料に比べて二酸化炭素排出量を大幅に削減することができます。

化石燃料を廃止し、再生可能エネルギーに置き換えることは、二酸化炭素を排出源から
削減する重要な方法の一つ(2019年12月ドイツ)

3. 森林保護

世界で最も重要な天然の炭素貯蔵庫である森林は、気候を守るために不可欠な存在です。しかし政府は、企業が大規模な森林伐採や焼却を進め、家畜のエサとなる大豆やチョコレートなどに使われるパーム油をつくるアブラヤシの木などのその他の換金作物を植えています。気候変動の加速を阻止するために、森林伐採をやめ、より良い規制を制定しなければなりません。

4.海洋保護

健全な海は、気候を調整し、水資源を循環させ、大量の二酸化炭素を吸収しています。しかし、工業型漁業、プラスチック汚染、化石燃料の開発は、いずれも海洋生態系に大きなダメージを与え、気候変動に対する重要なバリアが徐々に失われています。そのため、グリーンピースは「海洋保護条約」を積極的に推進し、政府が2030年までに海洋の少なくとも30%を保護するよう求めています。

5.本来の生態系の回復

その土地を本来の生態系機能に戻す「再野生化」を利用して、適切な場所に多様な植物を植えることで、生物多様性を回復させることが、森林が二酸化炭素を吸収して土壌に貯蔵するのに大いに役立ちます。

自然環境や生態系を保護することは、炭素排出を吸収し、気候の安定を維持することにつながる。科学者は、2030年までに海洋、陸上、淡水の生態系の少なくとも30%を保護することを政府に勧告している(2022年5月ブラジル)

6.グリーン輸送を促進する

都市部の道路を、自動車ではなく歩行者や自転車のために設計するなど、より環境に配慮した形で計画することも効果的です。電気自動車の普及と、より便利な充電システムにより、二酸化炭素排出量と大気汚染物質の大幅な削減が期待できます。

7.プラスチックの使用量を減らす

プラスチックの99%は化石燃料から作られており、その抽出、精製、製造の過程で、驚くほど多くの二酸化炭素が排出されます。 しかも、プラスチックの使用量は急速に増加しており、このままでは2030年のプラスチックによる世界の炭素排出量は、2019年比で50%以上増加する可能性があります。 国際環境法センターの試算によると、2019年だけでも、プラスチック製品の製造と焼却によって発生する温室効果ガスは、石炭火力発電所189基分の排出量に相当するとのことです。

8.環境に配慮した住宅の普及促進

建築設計から、環境負荷の少ない素材を採用し、自然採光・通風を確保して、湿度を逃し、温度を保ちやすい空間を計画することが大切です。電化製品への依存度を下げることで、生活の質を向上させることが期待できます。

グリーンな交通手段や環境に優しい建物など、低炭素な街づくりは、人々の生活環境と
気候変動の緩和を同時に実現することができる(2020年7月オーストリア)

9.肉類を減らし、野菜中心の食生活を推進

工業的畜産は、森林を切り開き、飼料を育て、家畜を飼育する過程で大量の温室効果ガスを発生させるため、気候変動の一因となっています。 政府や企業は、プラントベースの食事を奨励し、環境にやさしい農業法とビジネスモデルを促進しなければいけません。森林を伐採してつくられた肉の販売を禁止する規制を策定し、環境にやさしいプラントベースの食品を買いやすくすることで、消費者は環境にやさしい選択をすることができます。

10. 再利用可能な製品設計や商品の耐用年数を伸ばす

ファストファッションや毎シーズン新型を出すという老舗のビジネスモデルが加わり、資源の浪費だけでなく、廃棄物のごみ問題を招いています。 循環型経済(サーキュラーエコノミー)を推進するため、再利用可能な製品設計、食品容器など使い捨てプラスチック製品の削減、携帯電話や家電製品などの電化製品の長寿命化を促進していかなければいけません。

遅れる炭素削減 気候危機を解決するための障壁は?

気候変動の解決策はすぐそこにあるのに、多くの化石燃料企業は転換を拒んでいる。グリーンピースは何年も前から化石燃料企業に対して、地球の未来を危険にさらすことをやめるよう提唱している(2020年8月イギリス)

気候変動の影響が大きくなっているという多くの証拠があるにもかかわらず、ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)、シェル(Shell)、エクソンモービル(Exxon)などのなど大手化石燃料企業は、石油・ガスの探鉱・採掘・販売を続けており、環境リスクが大幅に増加しています。

そして、化石燃料を使った事業から利益を得ている銀行、自動車会社、エネルギー会社なども、石油会社とともに気候危機に対処するための資金や法案を阻止しようとしています。

さらに、このような世界的な脅威に対して、各国政府も迅速かつ果断な対応をして来ませんでした。それどころか、二酸化炭素の排出を減らすために多くの政策が打ち出されたにもかかわらず、それらは拘束力がないために、十分な効果を出すことができていません。

命をかけた戦い

2021年の第26回国連気候変動会議(COP26)の期間中には、全世界で約4万人が
マーチに参加して気候変動に対する早急な行動を政府に求めた

世界中で、何百万人もの一般市民が、より積極的な気候変動対策を求めて行動しています。若者や科学者などあらゆる分野の人々が街頭に出て、政府が気候変動の緊急事態に直面し、積極的な行動を取ることを求めています。

・気候変動や森林破壊の影響を最も受けやすい先住民が、森林伐採や石油・ガス流出のリスクを無視した開発に対する抗議の最前線に立っている

・海面上昇や異常気象に見舞われている太平洋諸島の沿岸住民が、国際会議に参加し、世界のリーダーたちにもっと積極的な行動を求めている

地球上のすべての人にとって、気候変動は生き残りをかけた戦いとなります。

政府や企業は、気候の危機を食い止め、あなたや私、そして未来の世代のために住みやすく安全な地球を守るために、今すぐ行動を起こさなければなりません。

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グリーンピースは、世界55の国と地域で活動するネットワークを生かして、国内だけでは解決が難しい地球規模で起こる環境問題に、グローバルで連携して解決を目指しています。

その国際的なネットワークを活かして、ここで紹介したようなさまざまな気候変動の解決策を、各国に適した形で推進しています。

日本では、車業界が大きな力を持つため、トヨタなどの自動車メーカーに対してゼロエミッション車の普及率100%をめざすよう働きかけたり、中央政府より市民の声を聞き入れやすく変化が起きやすい地方自治体に対して、気候変動対策の加速を働きかけたり、日本の特性を活かした活動を展開しています。

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