多くの人が住みやすい街の条件として挙げるのは、安全で、緑が多く、学校や病院などの施設が近く、買い物もしやすいことなどですよね。でも実際には、大きな街では人よりも車が中心になっていて、歩行者や住民にとっては、事故のリスクも大気汚染も深刻です。街を「車中心」から「人中心」へ変える試みは、すでに世界中で始まっています。気候変動を抑えるためにも、車の数を大幅に減らし、必要な車はゼロエミッション車(電気自動車)にしていくことが必要です。世界の事例を見ていきましょう!

生活しやすい地域や街とは

私たちが住みやすいと感じ、好感が持てる街や地域はどんな場所でしょうか?一般的に、人々は徒歩や自転車で通える距離に職場や学校があったり、隣人、自然、店などに近い場所を選びます。

「車で通るのがいかに快適か、駐車場がいかに多いか」ということは重要ではありません。例えば、公共の広場が多ければ、生活の中で重要な役割を果たし、近隣の住民とコミュニティを作ることができます。

世界各地で様々な取り組みが行われており、そこで生活する住民や街の在り方は、私たち日本人も学べることがたくさんあります。

世界各地で行われているアイデアや取り組みを紹介していきます。

世界の事例1 スペイン・バルセロナの場合

スペイン・バルセロナ

バルセロナは、複数の街区を400m×400mの1つの巨大な「スーパーブロック」に統合しています。スーパーブロックとは、ブロック内の道路を通行止めにして、歩行者と自転車による移動を促進するアイデアです。*

ポブレノウ地区のスーパーブロック内には、かつて交差点だった場所の中央に約12個のピクニックテーブルが置かれた小さな遊び場ができました。緑地を増やすことで、外に出る機会が増え人々が交流することによって社会的なつながりを密にすることができます。さらに、歩行と自転車で移動ができるようになり車の交通量や大気汚染を減らすことができます。

最初のスーパーブロックのアイデアが出されたのは1932年です。その後1958年に提案、1993年に初めて導入されました。*

バルセロナでは、現在までに6つのスーパーブロックが導入されています。当初は強い反対があったものの、住民の生活の質は以前より向上しました。2019年のバルセロナ市議会の発表によると、以前は市内の0.6%しか緑地がありませんでしたが、スーパーブロック導入後、が11%に上がりました。*

さらに、バルセロナでは小売業は30%増加し、すでに成功例とみなされています。健康面に関しても改善がみられています。具体的には、人体に有害とされる二酸化窒素(NO2)濃度が25%、PM10粒子濃度が17%減少し、大気汚染の低減が確認されました。*スーパーブロック内の騒音公害の軽減は、調査回答者の精神的な健康状態の改善にもつながったと考えられています。

もし、バルセロナ全域でより広く実施されれば、バルセロナ・スーパーブロックの健康効果により、毎年約700人の死亡を防ぐことができると推定されています。*

自動車が減るということは、歩行と自転車で移動ができるようになり騒音や大気汚染を減らし人々が安全で住みやすい環境を作ることができます。

界の事例2 イギリス・ロンドンの場合

イギリス・ロンドンの超低排出区域(ULEZ)

ロンドンは、有害な大気汚染、気候変動、渋滞という3つの課題に取り組むために、世界で最も厳しい排出区域「超低排出区域」(ULEZ)を2019年4月に導入しました。*

2023年までにロンドン全域を対象とすることが提案されています。街の中心部の交通量を減らすことを目的とした低排出区域は、非対応車(ガソリン車、ディーゼル車など)がエリアに入るには、混雑料金に加えて、毎日12.50ポンドを支払う必要があります。*

ロンドンでは昨年、低排出区域の最初の調査結果で、ゾーン内だけでなく、周辺地域や境界道路でも汚染削減と交通量減少が確認されました。パリやベルリンでも同様の取り組みを行っており、自家用車の中心部への進入を制限し、罰金を適用しています。

ベルリンでは2020年1月1日以降、電気自動車など一定の基準を満たした車に付与される緑のステッカーや免除許可証なしで低排出区域内で運転または駐車すると、80ユーロの罰金がかかります。*

世界の事例3 フランス・パリの場合

パリのアン・イダルゴ市長は、「15分都市」という一つのアイデアを提唱しています。これは、15分圏内にショップやレストラン、公園、ワークスペースなど、住民が必要とするすべてのものを提供する近隣地域のネットワークです。

家族に近い、自然が多い、空間が広いなど、自分にとってより関連性の高いものを基準に住む場所を選ぶことを可能にする構想です。

世界各地の新型コロナウィルス感染症によるロックダウンによって、2019年4月 〜 2020年4月にかけて、世界の1日の排出量は17%も減少しました。

15分都市というアイデアが今後、軌道にのるかどうかは、まだわかりませんが、気候危機への関心が高まったことで、過激な社会変革にも以前より耳を傾けてもらえる可能性が出てきました。

私たちと一緒に車より人が中心で、地球環境にもよりよい社会をつくりませんか?

世界各地では、安全で、緑が多く、学校や病院などの施設が近く、買い物もしやすい街にするために、さまざまなアイデアが出されています。

車中心の考えではなく、人を中心にすることで歩行者や住民にとっては、事故のリスクも減ると同時に環境や騒音などの改善にも繋がります。街を「車中心」から「人中心」へ変える試みは、すでに世界中で始まっています。

日本は世界のゼロエミッション車導入の流れから大きく取り残されています。

気候変動を抑えるためにも、車の数を大幅に減らし、必要な車はゼロエミッション車(電気自動車)にしていくことが必要です。

グリーンピースは、トヨタなどの主要な自動車メーカーの気候変動対策について調査し、レポートを発表、メディアを通したメッセージの発信を通して、自動車メーカーに、化石燃料車をやめてゼロエミッション車100%にするよう働きかけを続けています。

その結果、これまで電気自動車には消極的だったトヨタ自動車が、2035年までに世界の電気自動車販売台数350万台を目指すこと、西欧では、販売するすべての新車のCO2を100%削減を目指すと発表しました*

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