チョコレートが100円代で購入できる理由を考えたことはありますか?

私たちが購入するチョコレートが、気候変動の原因にもなる森林伐採を進めて、熱帯雨林を破壊している可能性も…。私たちにできることはあるのでしょうか?

チョコレートの生産過程で起きる環境破壊

・森林伐採

カカオ豆、砂糖、パーム油などを生産するためのプランテーション(単一栽培農場)は、森林破壊の大きな原因になっています。ミルクチョコレートは乳牛によって排出されるメタンガスや土地利用などを考えるとさらに環境負荷が高くなります。


パーム油のプランテーションを開発するために、広大な熱帯雨林が伐採され続けています。そのスピードは、2012年から2015年の間に、インドネシアだけでも1時間にサッカー場146分の熱帯雨林が失われています。これは、25秒に1回サッカー場が失われるのとほぼ同じです。

オランウータンなど熱帯雨林に生息する多くの動物たちが住処を奪われており、絶滅の危機にある種もいます。

・農薬散布

日本に輸入されるカカオから基準値を超える残留農薬が検出され、日本への輸入許可が下りなかった事例があります。2018年にもガーナ産カカオ豆で基準値4倍の農薬が検出される事例がありました。*

農薬の使用は生態系を大きく破壊します。そして、これだけ多くの農薬を散布する作業に関わっている農家さんの健康にも大きな影響を与えます。

気候変動でチョコレートが食べられなくなる?

チョコレートは、森林破壊や農薬による土壌汚染などの環境問題につながっているだけでなく、環境問題の影響も受けています。

気候の変動の影響を受け、2012年から2013年にかけてコートジボワールとガーナの2カ国だけでも生産量が約8万トン減少しています。*

現在、世界のチョコレートの半分以上が、コートジボワールとガーナの西アフリカの2カ国から来ています。 しかし、これらの地域は今後数10年でカカオの栽培に適さない地域になってしまうと指摘されています。

カカオの栽培には、雨の頻度湿度が適している赤道の南北約20度の熱帯雨林の気候がとても重要です。*

このまま気候変動が加速するとチョコレートは食べられなくなってしまうかもしれません。

児童労働やカカオ農家の貧困問題

児童労働と学校にいけない子どもたち

世界第1位と第2位のカカオ生産国であるコートジボワールとガーナだけでも、危険な労働を余儀なくされる18歳未満の児童労働者は、156万人に上ると言われています。

農園の開墾や下草刈り、収穫など刃物を使う怪我の危険性のある作業や、子どもの力だけで持ち上げることができないほどの重さの荷物を頭に載せて運搬するなど、健全な成長の妨げの懸念となる作業を多くの子どもたちが行っています。*

また、ガーナの国内法でも固く禁じられているとはいえ、子どもだけが家族と引き離されて労働者として連れてこられる人身取引にあたるケースも未だに多くあります。

このような児童労働が行われてしまう背景に、カカオを栽培する小規模農家と契約する企業が異常な安値でカカオを購入するため、家計を支える労働の担い手として子どもが働かざるを得なくなっているという現実があります。

私たちがチョコレートを楽しむために支払う価格とも、つながっているのです。

人や地球にやさしいチョコレートの選び方

チョコレートには環境や人権に関わる多くの問題があることがわかりました。では、チョコレートは買うべきではないのでしょうか?

生態系に配慮し、できるだけ環境に負荷をかけない商品を選択することで、カカオ農家さんを支えることも可能です。そのためには、以下のような認証を獲得したチョコレートを購入することや大量消費に気をつけることが必要です。

フェアトレード認証製品を選ぶ

国際フェアトレード認証は、児童労働を禁止し、安全な労働環境を確保している製品が取得できる認証です。そして、生産者が労働に対して正当な対価を得られるように持続可能な生産を支える「フェアトレード価格」を設定しています。

また、フェアトレード認証は環境面の基準も厳しく、森を破壊したり、危険な農薬を使ったりすることなく自然環境を守りながら生産されることを前提としています。

レインフォレスト認証製品を選ぶ

生物多様性の保全活動と、サステナビリティへの取り組みを行う、国際的な環境保護団体「レインフォレスト・アライアンス」が管理する環境ラベルのうち、「農園」を認証したものです。

土壌・水等の環境保全をはじめ、農薬の制限廃棄物の管理など、厳格な基準を満たした農園のみ「レインフォレスト・アライアンス認証農園」となります。

オーガニック&ヴィーガンを選ぶ

各国の認証機関による認証マークがついているオーガニック栽培のカカオを使用しているチョコレートを購入しましょう。農薬や化学肥料を使用しないオーガニックを選択することで、生態系を守り、気候変動を加速させない企業を応援することができます。

また、乳製品を避けることで、牛が排出するメタンを減らし、牛の栽培のための土地利用や飼料作物の栽培による森林破壊のインパクトなどを減らすことができます。

乳製品を避けることは、気候変動や環境問題を解決する上で非常に大切なアクションです。

マーケティングによる大量消費は避ける

日本でチョコレートの支出は2月が飛び抜けています* 2月14日のバレンタインデーは多くの人がチョコレートを購入しますよね。

チョコレートと環境問題について正しく理解をし、認証マークのついた製品を購入することは大切ですが、同様に大量消費しないこともとても大切です。

そのためには、チョコレートに限らず、マーケティングや広告に左右されずに、自分に必要なものを必要なだけ購入することが求められます。

持続可能な消費のために、一人ひとりが考えて行動しましょう。