温暖化の影響で急速に変わる南極の環境の中で、ペンギンたちがなんとか適応して生き延びようとしている状況が、最新の研究で報告されました。
ペンギンのように気候変動の影響を受けている海の生きものたちを守る方法の1つが、世界の海の3分の1を海洋保護区として守るという大胆な構想です。実現すれば人類史上最大の環境保護の枠組みとなる海洋保護条約について、世界のリーダーたちが話し合う最後の国際会合開催まで、あと一カ月を切りました。

気候変動で変わりゆく南極 – ペンギンたちは?

ハーフムーン島沖の氷山で漁をするヒゲペンギンとジェンツーペンギン

現在、南極に滞在しているグリーンピースの船、アークティック・サンライズ号には、イギリス・ストーニーブルック大学の研究チームが乗船しています。

これまで調査されたことがなかった遠隔地のペンギンコロニーで、生態調査を行うためです。


早速報告された最初の調査結果では、もともと南極の中でも比較的暖かいエリアにすんでいたジェンツーペンギンが、これまでより極地に近いエリアで暮らすようになったことがわかりました。

温暖化の影響で、もっと寒い極地側へ移動して子育てするようになったのです*

南極のワイドオープン島でのアデリーペンギン

また、2020年の調査では、ヒゲペンギンの個体数が、50年前と比べて最大で77%も減っていたこともわかりました。

人の暮らしから遥かに離れた南極のペンギンたちにも、海の環境問題の影響が及んでいるのです。

気候変動やプラスチック汚染で危機的な状況にある海

ドゥルヴィレ島の北を航行するグリーンピース船、アークティック・サンライズ号。
これまで調査が行われたことのない遠隔地のペンギンのコロニーで画期的な調査を実施しました。

グリーンピースは、こうした現場での調査で明らかになった科学的知見をもとに、なぜ今、海を守る枠組みが必要なのか、国際社会に訴える活動を進めてきました。

プラスチック汚染や海水温の上昇、海面上昇、海底採掘、超大型漁業など、さまざまな脅威にさらされている海ですが、現在、世界の海のたった3%しか、海洋保護区として保護されていません。

南極半島のウェッデル海へ向かう途中で撮影された氷上のアデリーペンギンの空撮写真

しかし、どこの国にも属さない公海の少なくとも3分の1を海洋保護区とすれば、海を回復させることができると、イギリスのヨーク大学とオックスフォード大学、グリーンピースの共同研究で明らかになりました*

2019年から、南極を含め世界の海の30%を海洋保護区にする海洋保護条約の実現のために国際キャンペーンをスタートさせ、この冬、ついにこの取り組みは最終局面を迎えます。

3月7日から、アメリカのワシントンDCで、海洋保護条約をつくるかどうかを世界のリーダーが話し合う、最後の国際会合が開かれるのです。

海が直面する脅威に警鐘を鳴らすために、世界中を航海

南極海峡のペンギンコロニーに向かうアークティック・サンライズのクルー

グリーンピースは、海が直面する脅威に警鐘を鳴らすために、世界中を航海してきました。

特に海のように人の目の届かないところで起こりやすい環境破壊の現場に行き、研究者とともに自らの目で確かめた事実をもとに、環境を守る枠組みの必要性を発信するためです。

世界の海を守るために2019年から始まったグリーンピースの国際キャンペーンでは、寄付サポーターのみなさんに支えられ、多くの成果を残すことができています。

  • 20以上の科学機関と共同
  • 30名以上の科学者がグリーンピースの船に乗船し、調査
  • 強力な世界海洋条約の必要性を示す報告書を9つ発行
  • 30人以上の一流ジャーナリストがグリーンピースの船に乗船し、取材
  • 100カ国以上、37言語、10,000のメディアに活動や調査が掲載される
  • 全世界で約400万人がキャンペーン署名に参加

海を守ることは、気候変動の脅威から私たち自身を守ること

南極のサウスシェトランド諸島にあるグリニッジ島

世界の海の3分の1に海洋保護区を作ることは、私たちの青い地球にとって重要なことです。

海は、二酸化炭素を吸収し、地球の気温を安定させる役割も果たしています。海を守ることは、そこで暮らす生きものだけではなく、私たちの暮らしを気候変動の脅威から守ることにもつながっているんです。

海を守るために、すでに約400万人の人々が、世界中で海洋保護条約に賛同する声を上げてくれました。

しかし、世界中の政府を動かすには、一人でも多くの市民の声、あなたの力が必要です。

ぜひ署名して、一緒に世界海洋保護条約を実現してください。