コロナ渦で観光客が激減したハワイでは、自然が大きく回復。豊かな自然を守るため、ハワイの観光業が動き始めました。

11月1日からイギリスで開催される第26回気候変動枠組条約締結国会議(COP26)では、観光分野での二酸化炭素排出量を削減する取り組みがスタート。

国連世界観光機関(UNWTO)は観光分野での持続可能な回復に向けて、気候変動対策を中心的な取り組みと位置づけています。観光業そのものの変革も必須ですが、私たち一人ひとりも旅行の仕方も改めて、考えてみませんか?

1. 新型コロナ感染症対策により、ハワイでは環境が改善された

ホノルルの中心部から車で30分のハナウマ湾は、シュノーケルの人気スポットでしたが、新型コロナウイルス感染対策のため、2020年はおよそ9カ月間入場が禁止されました。

その結果、湾の自然環境が回復し、水の透明度が60%以上も改善。大きな魚が湾に入ってくるようになり生態系も回復しました。ハワイ各地で同様の現象が見られています。*

2. これを受け、ハワイは観光業への依存を考え直している

ハワイ観光局のジョン・デ・フリーズCEOは、  「以前のハワイは混雑し過ぎていました。 人々の行動を一部、制限することで 自然環境が健全になることは無視できません」  と話し、以前は1日に3,000人 訪れていた観光客を720人に制限することを 決定しました。

ホノルル市だけでなく、ハワイ州も動き始め、 環境保全に必要な財源を確保するためにグリーン・フィーと呼ばれる新税の法案とし、 観光客から1人当たり20ドルを徴収し、 年間約109億円の税収を環境保護に使用することを見込んでいます。*

ハワイでは新型コロナウイルスの感染状況も落ち着き、観光業は復活しつつありますが、地元住民は観光にこれ以上頼ることに懐疑的だと言います。マウイ郡の中心・マウイ島では、 宿泊施設の新規建設を凍結する条例が可決。

ハワイでは、観光業に変わりハワイの自然を生かせる産業として農業部門での雇用の拡大を目指しており、その季節の農業を体験するようなアグリ・ツーリズムなど持続可能な観光も促進していく予定です。*

3. 世界で高まる「持続可能な観光」への意識、一方で日本人の意識は低い傾向。

ブッキング・ドットコムが世界の旅行者に実施した2019年のサステナブル・トラベル(旅行先の環境やコミュニティに配慮した旅行)に関する調査によると、

世界のおよそ4分の3が「地球を守るには、今すぐ行動しサステブルな選択を行うべき」と回答したのに対し、日本人は半数以下の40%。

「宿がエコに配慮していると知った場合、予約する可能性が高い」という問いについても、世界全体は70%でしたが、日本人は36%

また、日本人の34%は「旅行は特別な時間であり、サステナビリティについて考えたくない」と回答しました。*

4. サステナブルに旅行する方法は?

1. 飛行機で長距離移動する海外旅行より、電車などで行ける近場の旅行も検討

観光業界の排出している二酸化炭素の49%は移動です。*

特に飛行機は多くの二酸化炭素を排出します。新幹線、ローカル線など陸路でいける旅行先を検討してみましょう!

These are averages based on 2020 UK conversion factors. 
Values will vary based on distance traveled, vehicle model, occupancy rate, flight class, and various other factors.

2. 旅行先でもバスや電車などの公共交通機関やレンタル自転車を使う

旅行先ではタクシーや車ではなく、現地の公共交通機関やレンタル自転車などを使用してみませんか?

3. 機内でもマイカップやマイカトラリーを利用する

機内食でもベジタリアンやヴィーガンの選択があります。問題は、プラスチックの多さ!機内にも食べ物は持ち込むことはできるため、断ることもできますが、機内食が捨てられてしまうのもエコじゃないですよね。

機内食以外の断れるプラスチック製品を断りましょう!

飲み物はペットボトルの水やプラスチックカップで配ってくれますが、飛行機でもマイボトルは持ち込めるので、チェックインしてから給水機で水を入れて、機内のペットボトルを避けましょう。チェックイン後であれば、コーヒーショップに立ち寄って温かいコーヒーをボトルに入れておくことも可能です。

またスナックなど、袋に入っているものはお断りましょう。

手作りのお菓子なら、プラスチック包装を避けられますよね!手荷物検査時にX線を当てて検査を受ける必要がありますが、お菓子の持ち込みはOKです。

このような工夫だけでも、機内でのプラスチックごみを結構、減らすことができます。

4. 荷物を軽くする

飛行機、車、船などに乗る際はなるべく荷物を軽くすることで燃料の使用量を減らすことができます。

5. バッグの中には、リユースグッズを常備

マイカップ、マイボトル、マイカトラリー、マイストロー、マイバッグなど基本的なリユースグッズはカバンの中に持って出歩きましょう。

外で急に何か食べたくなった時も安心!水も持ち歩けば、ペットボトルを買わずに済みます。

6. スロートラベルをしてみる

スロートラベルは、エコツーリズムと同じように地域社会、教育、環境に焦点を当てた持続可能な形の旅行ガイドブックに載っている人気観光地に分刻みで訪れ、急いで旅をする観光旅行と対比して使われることが多く、名前の通りゆっくりと滞在する旅行です。

やりたいこと、行きたい場所のリストは最小限に、典型的な観光ルートを少し外れて自転車や徒歩で探検したり、地元の農場で働くのを手伝って現地の人のコミュニティにつながったり、普段と少し景色の違う場所で散歩や読書をするなど、様々な方法があります。

急いで移動しないことで、車の移動などを減らすことができます。

7. 車を利用するときは、EV車を利用する

現地で長距離の移動に車が必要な場合は、EV車を利用しましょう!

日本は電力の約80%が化石燃料に依存していますが、電気自動車の方が走行中の温室効果ガスの排出量は少なくなっています。

8. アメニティーは持参して、使い捨てのアメニティは返却する

ホテルのアメニティはプラスチック製が多く、石鹸やカミソリ、歯ブラシなどはが、一度しか使用せず捨てられてしまいます。

アメニティは使用せず、竹歯ブラシや生分解性のシャンプーや石鹸を持参しましょう。

9. 旅行先でもプラントベースのお店を探す

観光業が排出する温室効果ガス第3位に位置するのが食です。*

旅行中もなるべくプラントベース(植物性)で楽しみましょう。

Happy Cow を使用すれば、レビューもみることができるので安心。アプリもあり、近くにあるベジタリアン・ヴィーガンのお店を表示してくれます。

180以上の国で使用することができ、14万5,000店以上のレストランが登録されています。日本語にも対応しています。

10. 大型ホテルより、民宿や民泊を利用する

大型ホテルはロビーやフロントで一日中、電気やエアコンがついているなどエネルギーを多く使います。自分でチェックインするタイプの民泊は全体に常時、灯りや室温調整を必要としません。また、部屋に備え付けの浄水器、コーヒーフィルター、お皿やコップ、石鹸などを使うことで、簡単に使い捨てごみを減らすこともできます。

11. 連泊する際は掃除を断る

連泊する際は、タオルやベッドシーツの交換を避けるため、掃除を断りましょう!洗濯機や掃除機、洗剤などの使用を節約できます。

12. お土産の購入を考え直す

観光業が排出する温室効果ガス第2位に位置するのがお土産グッズです。*

自分の思い出に、Tシャツなど買いたくなりますよね。
お土産は最低限に、写真でたくさん思い出を残しましょう!

13. 野生動物を利用したアクティビティは避ける

野生動物を訓練し、乗ったり、一緒に写真を撮ったりするアクティビティなどがありますが、野生動物の捕獲は自然界に大きな影響を与え、違法のものも多くあります。お金を払う人がいる限り、このような野生動物の利用は続いてしまいます。

また象乗りなどは訓練がとても残酷なことでも知られています。

https://www.youtube.com/watch?v=x4g0JW0LBu4

現地で動物を見てみたい場合は、サンクチュアリでボランティアをしてみるのはどうでしょうか?

例えば、タイには観光業やサーカスなどで過酷な人生を送ったゾウを保護した施設があります。

14. プロギングも気持ちいいかも。

プロギングを知っていますか?

プロギングはごみ拾い(Plocka Upp)とジョギング(Jogging)を合わせたスウェーデン発の新フィットネスです。

空気の良い場所に旅行に出かけたら、景色を楽しみながらプロギングを楽しむのもいいですね!

15. 環境に配慮した行動を負担と考えないマインドセット

観光業の変革は必須ですが、私たち市民の旅行に対する考え方の変革もまた必要です。環境に配慮した行動を負担と捉えず、やさしい循環をつくりだすスピリットで旅行中も一つひとつの行動に責任と優しさを持ちましょう。