猛暑に豪雨、世界中で頻発する森林火災、どう思う?

日本では猛暑が続いたと思ったら雨ばかりが続いて、全国各地で水害や土砂災害が起きています。世界中のあちこちで大規模な森林火災が発生しているという報道もあります。
気象報道では、「記録的」「数十年に一度」「いままで経験したことのない」といったフレーズを、毎年のように耳にします。

いまは、それこそ誰がいつどこで「被災者」になるかわかりません。
グリーンピースでは、活動を支えてくださっている寄付サポーターの皆さんに、実際に感じている気候危機について、直接聞き取りをしてみました。

2019年、九州北部豪雨の被害を受けた佐賀県大町町

「強くて集中的な豪雨が頻繁に降るようになった」

突然降り出した雨が集中豪雨になって、短時間で止む「ゲリラ豪雨」。
神奈川県茅ヶ崎市に長くお住まいの有坂麻子さんは「以前はそんなことなかったのに、天気が変わりやすくなって、ゲリラ豪雨が増えているように感じる」といいます。
同じ市内にお住まいの渡辺浩平さんも「強くて集中的な豪雨が頻繁に降るようになった」とのこと。

雨は、大気に含まれる水蒸気が水となって地上に降るものです。IPCC第5次評価報告書(2013年)は、気温が1度上がるごとに、大気が保持できる水蒸気は約7%増加するとしています。
気象庁も、豪雨が増加しているのは、気温上昇に伴って大気中の水蒸気量が増加するためだと説明しています。

2018年、台風21号の被害を受けた大阪市

「Facebookグループで崖崩れや川の危険度をリアルタイムでやりとりするようになった」

台風が日本に接近する時期も、年を追うごとに早く、長くなり、発生も頻繁に、強度も増す傾向があります。
やはり茅ヶ崎にお住まいの小谷優真さんは「海の近くに住んでいるので、高潮が心配」といい、同じ市内の芦川裕史さんによれば「ここ10年、台風のたびに海沿いのサイクリングコースやバイパスが崩落して通行止めになっている」そうです。

逗子市の半田志野さんは「(逗子は)海も山もあって自然豊かな地域ですが、豪雨や台風で、頻繁に崖崩れがあり、家屋の倒壊、通行止めがあとを絶ちません。
自然と共存して過ごしたいと思いながら不安と隣り合わせになります。
最近はFacebookで市内の災害情報をシェアするグループができて、崖崩れや川の危険度をリアルタイムでやりとりするようになりました」
と話してくださいました。

「いまがよければ、とやってきたことが負の遺産として絡まってるんじゃないかな」

半田さんはこんなこともお話ししてくださいました。
「逗子は崖崩れが多いんです。毎年必ずどこかで起きて、(復旧は)その都度その都度の対症療法になってしまっている。
人的被害はなくても、道路が一時的に使えなくなったり、家屋が倒壊したりなんて事態は毎年起きています。逗子だけでなくどこの行政もその現場を復旧することが大事というのはわかりますが、行政、市民という立場を越えてそもそもの原因や、わたしたちが残したい未来ってなんだろうという視点で捉えて施策に活かすことが大事なタイミングにきているとつくづく感じています。

いままで、その時、その時、いまがよければとやってきたことが負の遺産として絡まってるんじゃないかな」

2019年10月、神奈川県藤沢市辻堂海岸の土砂災害現場。芦川さん提供。

10年前の東日本大震災のとき、しばしば津波の被害に遭ってきた三陸地方の各地に、古くに建てられた「これより下に家を建てるな」という先人の警告を記した石碑がいくつもあったことが話題になりました。

過去数百年という長い歴史の中で、川の付近の砂州や海べりの干潟を埋め立てて造成されてきた、海抜の低い土地も日本中にあります。
かつては田畑だったそうしたエリアの多くは、現在は大都市や工業地帯や住宅地、商業地、空港などに変わっています。そんなエリアに、いま、異常気象による高潮や浸水のリスクが迫っているのです。

もっと長期的な視点で、気候変動と異常気象の対策を考えるべきときが来ています。

できることから始めてみる

2021年8月9日、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が第6次評価報告書の第1作業部会報告書を発表しました。
今回の報告書では、人間の活動が地球を温暖化させていることは「疑いの余地がない」と初めて断定しています。
しかし決して絶望的ではない。世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えることは、物理的な実現可能性がまだ残っていることが示唆されています。

まずは気候変動を緩やかにして、これ以上の異常気象の発生を抑えたい。

寄付サポーターの有坂麻子さん。ご家族や周囲の方と協力して、ビーチクリーンや環境問題について考えるワークショップや講演会を開いている。有坂さん提供。

グリーンピースでは、自治体の二酸化炭素排出実質ゼロ、すなわちゼロエミッションを地域の人がつながって行政にはたらきかける「ゼロエミッションを実現する会」を立ち上げ、運営しています。
参加している人々の努力の結果、すでにゼロカーボンシティ宣言をした自治体もたくさんあります。

是非一度ウェブサイトを覗いてみてください。

各都道府県の知事に、気候変動対策を求めるオンラインアクションも実施しています。
このページでは、実際に何が起きていて、これからどうなるのか、いま以上の対策をしなければ、この先、何が起こるかシミュレーションした動画やマップもチェックできます。
今日、この機会にあなたも参加して、そしてお友だちやご家族など、周りの皆さんにシェアしてみてください。

それがきっと、未来をまもる大きな第一歩になります。