こんにちは。
サポーター窓口の金海です。

福島県の風力発電所

よくある疑問、皆さんのご意見

太陽光発電や風力発電はほんとに大丈夫なの?という疑問や、環境破壊になるんじゃない?というご意見。
皆さまからのお電話やメールをうけとっているサポーター窓口にはいつも、そういったメッセージがたくさん寄せられています。

そこで今回は、グリーンピースは自然エネルギーをどう考えているか、を簡単にご説明したいと思います。

いますぐとりくむべき問題

グリーンピースではいま、世界中すべてのオフィスが、気候変動問題を最優先課題としてとりくんでいます。
そこで避けて通れないのが、化石燃料から自然エネルギーへの転換。

石炭や石油、天然ガスといった化石燃料は、二酸化炭素を出すことで気候危機に大きな影響を及ぼしています。

気候危機をくいとめるにはまず、エネルギーのあり方を見直す必要があります。

まずは省エネ・高効率化が大事

これまでのように、あればあるだけエネルギーを浪費する社会を、使うエネルギーをできるだけ少なく抑える社会に変え、しかもエネルギー効率を向上させていく必要があります。

エネルギーの消費はおよそ8割が産業から。なので、発電所、工場、大型のビルなどでの機械の省エネタイプへの更新や、建物の断熱性能をあげるのがエネルギー消費を減らす第一歩です。

家庭でも、たとえば照明はLEDを使う、夏はエアコンの設定温度を下げるより扇風機やサーキュレーターを活用する、使用していない間は家電のプラグを抜いて待機電力を減らす、電力消費の原因となる古い家電を省エネモデルに買い換える、家の断熱を強化するといったことが、省エネにつながります。

こういったとりくみを、家庭だけでなく企業でもとりいれるのが大切です。

エネルギーも地産地消がいい

もうひとつ、大規模な発電所から長い送電線を使って遠くまで電力を運んでいると、送電そのものにロスが発生します。割合にして国内電力消費量の3.4%、火力発電所7基ぶんにあたります(*1)。
地域で使う電力はなるべくその近くで、小規模な発電所で発電する方がロスが少なく、経済的です。

そして、原発・化石燃料への依存をやめて、自然エネルギーに転換していくこと。

でも、グリーンピースには「自然エネルギーは大丈夫か?」という疑問・ご意見をいつもたくさんお寄せいただいています。

自然エネルギーならなんでもいいというわけではない

広大な森林を伐採したり山をごっそり削ってメガソーラーを建設したり、近隣住民の合意をきちんと得ずに大規模な風力発電所を建てたり、森や村をまるごと沈めて巨大なダムをつくることが、ほんとうに気候危機の解決策としてふさわしいのか?

気象条件によって発電量が変動する自然エネルギーは、いざというときに停電するのでは?という疑問もよく聞かれます。

鹿児島市のメガソーラー発電所

グリーンピースの答えは、いずれも、NOです。

自然エネルギーならなんでもいい、というわけでは決してありません。
自然エネルギーだろうとなんだろうと、地域の人や生きものたちの暮らしが脅かされるエネルギーは、環境破壊になり得ます。
それでは気候危機の解決策とはいえません。
発電施設をつくるには、事前に、その施設が環境に悪影響を及ぼさないかをよく調べ、地域住民の誰もが、じゅうぶん納得できる合意形成が欠かせません。

自然エネルギーでも安定供給は可能

現在では、かなり正確な気象条件の予測ができるようになっています。
気象庁のウェブサイトによれば、2020年の降水予測の的中率は85%をこえています。
予測した気象データと電力需要の変動に基づいて、風力や太陽光、小水力、地熱、バイオマス、蓄電システムなどを複合的に組みあわせることによって、安定した電力供給ができるようになります。

波照間島の風力発電所(PHOTO AC)

沖縄の波照間島では、昨年11月の100時間、風力だけで全電力を供給することに成功しました(*2)。
毎年台風が接近する沖縄では、波照間島だけでなく多良間島・南大東島・粟国島にも、可倒式といって、一時的に地面に倒せる風車が導入されています。倒している間は発電できませんが、立っている間に発電した電力をためておく蓄電システムで電力を供給できます(*3)。

日本国内でも広がっています

以前にもブログで紹介しましたが、長野県では、使うエネルギーを3割まで減らし、自然エネルギーによる電力供給を3倍にすることで、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする計画をたてています。
詳しくは長野県の資料を読んでみてください。

長野県には長野県独自の環境条件があってできる計画かもしれません。
他の地域でも、それぞれの条件にあった計画を、地域の人みんなで考えることはできるのではないでしょうか。

兵庫県宝塚市のソーラーシェアリング(農業と電気が太陽光をシェアするしくみ)

大事なエネルギーの問題だから、いっしょに考えたい

気候危機はわたしたちの目前に、いま、現実に迫っています。そしてその大きな原因のひとつが、現代では何をするにも誰もが必要とするエネルギーなのです。

エネルギー問題へのよくある質問にお答えしているQ&Aがこちらからご覧いただけます。
自然エネルギーについて詳しい解説ブログシリーズも、スタートしています。
ぜひ読んでみてください。

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*1:東北発 素材技術先導プロジェクト 

*2 : 電気新聞「沖縄電力、波照間島の全需要を再エネ由来電力で100時間供給」

*3 : スマートジャパン「小さな離島で再生可能エネルギー7割へ、台風を避けながら風力発電と太陽光を」

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