「プラスチックごみ」という言葉を聞いた時、皆さんはどのようなものを思い浮かべますか?ペットボトル、お菓子の包装、レジ袋などでしょうか。

生理用品はどうでしょう?

shutterstock.com

意外にも、使い捨てプラスチックとして認知されていないのが「生理用品」です。近年、プラスチックの健康への影響についても様々な研究結果が明らかになって来ています。

地球環境や健康に良い生理用品について、一緒に考えてみましょう。

あなたの生理は環境に優しい?

shutterstock.com

1. 一生で9,600枚程度の生理用ナプキンを使用

女性は平均で40年間ほど生理を経験するそうです。月に1度、平均で5日間ほど出血があり、期間中には15枚〜20枚程度のナプキンを使用します*1

一人の女性は一生の間に、9,600枚ほどの生理用品を捨てることになります。

たった一人で1万枚に近い生理用品を、多くの女性が使用すると考えると、膨大な量の使い捨てだと感じませんか?

2.生理用品は使い捨てプラスチック

一つのナプキンに含まれるプラスチックは、レジ袋4枚程度と言われています*2。もし仮に9,600枚のナプキンを使用すると、38,400枚のレジ袋を使い捨てたことになります。マイバッグをしっかり持ち歩いている方には、衝撃的な数字ですね。

こちらはドラッグストアなどで手に入る一般的な生理用品。

漂白されたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルと、材料はすべてプラスチックでした。

3.実は海に捨てられるプラスチックごみ第5位

海からは様々なプラスチックごみが見つかりますが、驚いたことに生理用品が見つかることは珍しくないそうです。イギリスの海洋保護協会の統計では、100メートルのビーチクリーンで、平均して、生理用品のごみが4.8個回収されています*3

タンポンのアプリケーターや、生理用ナプキンのごみを正しくごみ箱に捨てない人は非常に多く、トイレに流してしまう人もいます。そうした適切でない処理の結果、海洋にプラスチックごみとして流出しています。

正しくごみ箱に捨てられたとしても、日本の場合、汚れたプラスチックの多くは燃やされており、気候変動を悪化させる二酸化炭素を排出してしまいます。

その生理用品は、安全? プラスチックの健康への影響

shutterstock.com

プラスチックに添加される化学物質添加剤にはいろいろな種類があり、紫外線で壊れないようにする吸収剤や、加工しやすくする可塑剤、燃えにくくする難燃剤など、他にも多くの添加剤が使われています。

その中には、環境ホルモン・内分泌攪乱物質と呼ばれる化学物質が多く含まれています。これらの物質は、内分泌系に影響を及ぼすことにより、体に障害や有害な影響を引き起こす外因性の化学物質で、生殖系や免疫に関わる病気が懸念されます。

プラスチックの有害物質の経路は、飲食を介したものが多いですが、BPA(ビスフェノールA)などの有害物質は、レシートに使用されているものを触ったことで皮膚に付着することが分かっており、皮膚を介して吸収される可能性も考えられるそうです。

参考:NHK出版『プラスチックフリー生活』

ステロイド外用薬の経皮吸収

皮膚科で使用されているステロイド外用薬の経皮吸収率の場合、デリケートゾーンは角質層が薄く、何かを塗った場合などは吸収されやすく、刺激も感じやすい場所と指摘する皮膚科医もいます*4

生理用品の高分子ポリマーやプラスチックに使用されている化学物質が、経皮吸収されているのかどうかに関してはまだきちんとした研究が行われておらず、定かではない点が多いですが、身体に何かしらの悪影響を与える影響はゼロではありません。

自分にも地球にも優しい月経ライフ

shutterstock.com

使い捨ての方が、繰り返し使う生理用品より衛生的に安全なのでは?という思う方も多いはずです。

実は、衛生面と健康面の両方から、繰り返し使用できる生理用品の方がベターな選択です。環境に優しいことはもちろん、経済的なメリットもあります。詳しく見ていきましょう!

1.月経カップ

shutterstock.com

近年、欧米を中心に環境意識の高まりから流行している医療用シリコン製のカップです。慣れるまでに少し時間がかかる人も多いようですが、蒸れや漏れもなく快適に過ごせます。

重曹と熱湯でしっかり消毒することで、一度購入すれば長く使用することができます。

2.布ナプキン

shutterstock.com

オーガニックコットンやリネンのものを選びましょう。

通常のナプキンとは違い、化学物質フリーで、繰り返し使えるため環境に優しいです。

布ナプキンは通気性が悪いのでは?という疑問を持たれがちですが、使い捨てのプラスチックの生理用ナプキンの方が、プラスチック製の防水ビニールシートがついているため通気性が悪く、一方で布ナプキンは肌にやさしく衛生的です。

3.吸水ショーツ

shutterstock.com

近年、注目されている生理中も普段と変わらず過ごすことができるアンダーウェア

ナイロンやポリエステル製などプラスチック繊維のものも多いですがオーガニックコットン製のものもあります。

ショーツは揉み洗いした後に、そのまま他のものと一緒に洗濯機で洗えます。

生理用品を買うお金がない女性

NHKの調査では、コロナ禍でアルバイトができず、経済的に困窮する学生が増える中、生理用品が買えなくなるなどして日常生活に支障の出ている学生はおよそ2割に上りました*6

使い捨ての生理用ナプキンは便利で、安いように感じますが、繰り返し使える生理用品に比べ出費が大きく、女性の生活を圧迫しています。

環境にも自分にも優しい心地よい選択を

生理は話題としてタブー視されがちで、大量のプラスチックごみになっているにも関わらず、国際的に使い捨てプラスチックを禁止していく流れの中でも、なかなか議題として上がりません。

生理は恥ずかしいものでも、汚いものでもありません。環境や健康にも大きく影響を与えるからこそ、オープンに話せる世の中になって欲しいと思います。

親しい人にこのブログをシェアして、サステナブルで環境に優しい生理期間の過ごし方について考えてみませんか?気軽に話せる風潮を、一緒につくって行きましょう。

グリーンピースに寄付する

グリーンピースは政府や企業からの援助をうけず、独立して環境保護にとりくむ国際NGOです。 大切なあなたの寄付が、グリーンピースの明日の活動を支えます。

参加する