この夏、ブラジル人俳優のAlice Bragaとグリーンピースが一緒に立ち上げた「破滅へのカウントダウン(日本語仮称)」。3本の映像から構成されるこの動画では、食肉、乳酸品、大豆、パーム油などの食料資源の生産が、いかにして世界中の森林を破壊し、住民の生活の場を奪い、気候危機を悪化させているかに焦点を当てています

CANDEIRAS DO JAMARI, RONDÔNIA, ブラジル: Rondônia 州Candeiras do Jamari市での広範囲に及ぶ火災の航空写真。© Victor Moriyama / Greenpeace

パンデミックのごく初期、私たちは見たことのなかった光景を目にするようになりました。SNSをにぎわせたのは、野生動物が町中を自由気ままに歩き回る様子や、大気汚染が劇的に減ったというコメント、「自然環境が回復した」といった内容でした。

でも、それは間違った切り取り方でした。私たちが目を向けるべきなのは、自然環境が「治癒した」ことではなく、そもそも、なぜ、自然環境が病的な状態に至ったのか、ということなのです。


「普通」が、実は普通ではなかったのです。


新型コロナに打ちのめされた世界が私たちに突きつけているジレンマ、それはつまり永遠の成長の必要性と、気候危機の完全な矛盾です。

人間は生態系の中で生きているのに、経済成長はその生態系を破壊することによってのみ実現する、という矛盾。このジレンマのど真ん中にあるのが、アマゾンの熱帯雨林です。

ある意味、アマゾンを取り巻く課題では、森林火災と希少鉱物、単一農作物に依存した流通・消費のしくみと自然農法の先駆者、水と巨大ダム、現地住民の歴史的な戦いとニューヨーク証券取引所の新植民地主義的な関心事など、あらゆる問題が交差しています。


アメリカ、ヨーロッパ、アジアで供給される食物の大半は、かつて森林だった場所で作られています。肉が摂れなければ大豆。それがだめならパーム油。スーパーで買い物をする私たちに与えられている選択肢は、好むと好まざるとにかかわらず、制御不能なほど混乱した商品取引のシステムの上に成り立っていて、私たち一人ひとりが、そのシステムの一端を担っています


個人の選択はとても重要だといわれます。でも、責任は私たちだけが負うようなものであってはなりません。企業や政府が公正さを軸としたより良いシステムを作る責任を果たさない限り、何も変わらないのです。たとえば私たちがプラスチックのストローをどんなにたくさんリサイクルしたところで、企業が使い捨てボトルを毎秒何千本という勢いで売っていたら、海のプラスチック汚染は止まることはありません。


アマゾンの熱帯雨林は、ブラジルだけの問題ではありません。私たち一人ひとりが地球の住人として、アマゾンの未来に関わっているのです。アマゾンの熱帯雨林を健全に保つことが、私たちの一世一代の戦いなのです。


アマゾンを保全することができたら、食料を生産し、クリーンなエネルギーを供給し、気候変動の展望も明るくなり、新しい現代社会を創造する方法を見出す、という地球規模の課題への答えを得ることになります。もし、このままアマゾンを犠牲にすれば、私たちはすべてを失います。

今こそ、南半球の途上国の環境保護に力を注ぐべきです。


今こそ、この気候危機という状況を公平と公正を求める機会として、森の奥深くから聞こえる、声にならない本物の声に、耳を傾けましょう。

私たちの未来を守るのは森林です。森林が私たちの未来です。

今こそ、未来のための一歩を踏み出すときです。これは、皆で勝つか、皆で負けるか、の戦いなのです。

ブラジルの俳優Alice Braga氏。Sawré Muybu村のダム建設の反対運動を支援。ムンドゥルク族の人々はアマゾンの奥地に位置するこの村に何世代にもわたって生活してきた。© Otávio Almeida / Greenpeace

動画シリーズを是非ご覧ください。
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[翻訳協力:ボランティアChizuさん]