アマゾンの熱帯雨林からの警告

グリーンピース・ブラジルの調査隊が撮影したアマゾンの熱帯雨林の火災現場(2020年7月撮影)
© Christian Braga/ Greenpeace

今夏、世界中で記録的な暑さが続いています。6月には北極圏で気温38度が観測されました。あらゆる地域で猛暑や、豪雨や洪水が相次ぎ、気候危機への早急な対策が求められています。

今世紀末までに温室効果ガスの排出を大幅に減らし、地球温暖化を1.5度未満に抑えなくてはなりません。
気候変動を抑えるために、森林をまもることは大きな効果があります。森林は二酸化炭素を吸収します。たとえばアマゾンの熱帯雨林は800億トンから1200億トンの二酸化炭素を蓄積するといわれています。これは世界最大の量で、世界中の化石燃料の排出量の13倍にもなります。

マトグロソでは4,437カ所で火災が発生した。同州が今年もっとも多く、ブラジルのアマゾン熱帯雨林で2020年に起きた火災の約半分(49.5%)に相当する。© Christian Braga / Greenpeace

ところが、アマゾンの熱帯雨林は未だかつてない危機に瀕しています。
総面積の約60%がブラジルにあり、ボルソナロ大統領が2019年に就任してから違法な森林伐採、畜産、採掘が行われ、大部分が破壊に晒されています。同大統領の政策によって森林の保護規制は緩和され、環境保護活動は困難になりました。
さらに森林火災を止めるための森林モニタリングの予算を38%、気候変動の対策予算にいたっては95%が削られています。

ブラジル国立宇宙研究所によると、2020年6月にアマゾン熱帯雨林で2,248カ所で火災が確認され、前の年と比べ20%増加しています。政府の報告では、今年6月は過去13年間の同月比で最高値を記録しており、専門家たちは昨年のような大規模火災の再発生を警告しています。

40億ドル以上をブラジルの牛肉輸出企業に投資している欧州の銀行や投資家たちは、アマゾン森林破壊に直接的な影響を及ぼしている。© Christian Braga / Greenpeace
畜産業は森林破壊を進行させる主な原因の1つとされるが、欧州の銀行や投資家たちはブラジルの食肉加工大手マルフリッグ、ミネルバ、そしてJBSに巨額の資金を提供し続けている。© Fábio Nascimento / Greenpeace

アマゾン熱帯雨林の大規模な火災は”自然”災害ではありません。
土地を占有しようとする人々や農場開発の拡大によって進行しているのです。

先住民たちは新型コロナウイルスの感染リスクだけでなく、同時に森林火災の危険にさらされています。火災の規模が大きくなれば、彼らの住む家や食糧を供給する場所だけでなく、長年育まれてきたコミュニティの歴史や文化さえ焼失する恐れがあります。

違法な森林伐採業者や鉱物採掘業者、土地の収奪により持ち込まれた新型コロナウイルス感染の脅威はアマゾン熱帯雨林に暮らす先住民集落の間に広がっている。© David Tesinsky / Greenpeace

グリーンピースによる最新の調査によると、欧州の銀行や投資家、HSBC、ドイツ銀行、サンタンデール銀行やプルデンシャルは、食肉加工大手マルフリッグ、ミネルバ、そしてJBSに高額な投資を続け、それがアマゾンの森林破壊の原因となっているのです。

人類の発展とその経済活動は、気候変動や環境破壊にとどまらず、わたしたち自身を危機に陥れています。ブラジル政府や企業はただちに森林を破壊するビジネスをやめ、自然と人間が共存できる、回復力のある経済をサポートする対策を始めるべきです。

ブラジル・アマゾンの森林破壊は進んでいるが、行動を起こすのは今からでも遅くはない。私たちができることは森林の回復のために声をあげること。© Fábio Nascimento / Greenpeace

アマゾンの熱帯雨林を救うためにできること

自ら行動を起こす人々は世界中にいます。
政策を改革し、自然保護地域を拡大し、森林破壊の進行をくいとめようとする団体も増えています。しかし、毎年やってくる”森林火災シーズン”で、あまりにも広大な森林が記録的な規模で焼失しています。

アマゾンの熱帯雨林でのグリーンピースの活動は、世界中のサプライチェーンの動きがこの森にどれほどの影響を与えているかを調査し、事実を世界に伝え、一人でも多くの人々に行動を促すことです。一人ひとりがグリーンピースを支えることで、政府や企業の方針を変えられるよう働きかけることができます。