なんと東京都が、マイボトル給水機の増設計画を咋年末に発表しました!2019年に行なった「マイボトル 給水機を増やそうキャンペーン」は、短期間で1万人を越える皆さんと一緒に活動をして、東京都に声を届けることができました。

マイボトル 給水機署名をグリーンピースボランティア・インターンメンバーと一緒に東京都に提出(2019年6月)@Greenpeace

東京都への働きかけに加え、ボランティアと給水機があったらいいな!というスポットを巡ったり、街の人たちの声を集めたり、ビーチクリーンでどんなプラスチックごみが海に流れ着いているのかを確認したり、プラスチック汚染について活動している他の団体やスタートアップの企業からインプットをもらったりと、本当に様々な分野の方々と一緒に活動をすることができました。そういった世の中の関心の高まりが、東京都の今回の計画に影響を与えることができたのだと思います。

今回の、都内にマイボトル給水機を増やすという東京都の決定は、年末に発表された「プラスチック削減プログラム」の中に含まれるものです。2050年に向けて東京都が使い捨てプラスチックに対してどう取り組んでいくかを示した、とっても壮大なプラン。

給水機が増えることは大事なことですが、使い捨てプラスチック問題に取り組む具体的なプランがとっても大切です。果たして、中身はどうなっているのでしょうか。

東京都の担当者とはこれまでもやり取りをしてきて、プラスチックへの取り組み関しての熱意は感じてはいました。世界中の脱プラスチックの事例や様々な団体の調査報告書なども読んで参考にしてくれていたようで、イベントの場でグリーンピースの調査について引用をしてくれていたこともありました。

ただ、政府が昨年策定した問題解決からは程遠い「プラスチック資源循環戦略」や骨抜き状態のレジ袋有料化議論を見てきた身としては、今回もあまり期待しない方が良いかもとも思いながら、ドキドキ読んでみました。

その結果、東京都の使い捨てプラスチックの取り組みプランについては、大変期待のできる内容(かもしれない)、と現時点では思っています。以下、良いと思った点をまとめてみました。

1. 網羅的で、使い捨てプラスチック問題が理解しやすい
そもそも使い捨てプラスチック問題を理解するにあたって、とっても網羅的に書かれた内容です。28ページと長いように感じるかもしれませんが、本を一冊読むことに比べたらあっという間かもしれません。使い捨てプラスチック問題について全体像を知りたい人、理解を深めたい方にもオススメです。

2. 問題を解決するための根本的な議論がされている
次に、「使い捨てプラスチックによる海洋汚染」のみではなく、「深刻化する気候変動や生物多様性損失の現状を踏まえての使い捨てプラスチック問題」への取り組みであることです。「使い捨てプラスチックによる海洋汚染」という視点だけで考えてしまうと、「ポイ捨てはやめよう」とか「プラスチックでない他の素材に変えよう」とか、枝葉の議論に終始してしまいます。政府の案は「使い捨てプラスチックによる海洋汚染」にフォーカスした内容になっていますが、都は「気候変動を抑え、森林などの自然破壊を防ぐために、そもそも使い捨てを減らしていく重要性」にも着目し、より大きな視点から、生産〜消費の仕組みを変える必要性が熟考されているように思います。

3. ビジネスモデルの転換と使い捨てからの脱却の必要性が明記されている
使い捨てプラスチック問題の根っこには、使い捨て包装に依存したグローバルビジネスがあります。そもそも使い捨て包装に頼らないような、リユース(再利用)・リフィル(詰め替え)のシステムが社会に広まっていくことが大事です。都のプランにはそこが明確に書かれています。問題の捉え方そのものが、国とはレベルが違っていることを示していると思います。

4. 国への提案をしていくことを具体的に明記している
「都は国に対して新たな制度・施策の推進を積極的に提案していきます」とあり、「 レジ袋にとどまらず、使い捨てプラスチック全般の削減を促進する制度」 「製造事業者にリユース可能な容器の検討を促す仕組み」などについて、国への働きかけをしていくと明記されていることにも大変期待できます。
今後はこういった自治体での取り組み、そして自治体からの積極的な働きかけが国全体を動かしていく流れが強く求められていると思います。

まだ色々と分からない点、そして今後の期待

気になるのは、上記のことをどうやって、いつまでにスピード感を持ってやっていくのか、ですよね。しかし、まだプランの中で明言されていないこと、読み込めば読み込むほど分からなくなる点、気になる点も多くあります。

・国が昨年設定した、とても低い数値目標である使い捨てプラスチック削減やリユース・リサイクル目標が東京都の「2030年目標」として入ってしまっている事で、都の目指しているところがどこにあるのか曖昧に感じてしまう
・CO2排出削減効果や現実性が問題視されているCCU(CO2回収利用)技術など、今はまだない技術解に頼りすぎ?
・医療・保健など必要不可欠な用途を明らかにし、使い捨ての必要のないものに関しては無くしていく/減らしていくためのガイドラインを示すなど、記載されている「関係事業者と協議・連携」だけでないスピード感を持った具体的なリデュース対策があまり見えてこない
マイボトル 給水機は何台設置されるの?と、皆んなが気になっている大事なポイントもまだ分からないので、ぜひここも聞きたいですね。設置場所は都有施設等とあるので、「都が保有する施設+その他」という想定なのでしょうか。鉄道やバス、学校ももっている東京都。たくさんだと嬉しいですね。

などなど。

東京マラソンEXPOにて440名のランナーの方々に給水機が欲しい場所をアンケート(2019年3月)@Greenpeace

こういった気になる点などについては、今後東京都へのヒアリングも行い、使い捨てプラスチック汚染をとめ、気候変動を抑えるために有効な目標設定になっているかを見極めながら、市民の立場で提言をしていきたいです。また、都の計画を実現していくにあたりグリーンピースもできる限りのサポートをできればと思っています(グリーンピースオフィスは都庁と同じ西新宿にあるので、いつでも行けちゃいます)!
これを機に、ぜひみなさんの住む自治体のプラスチック対策がどうなっているか、応援できるものなのか見てみましょう。良いものであれば、ぜひ積極的に応援し、そうでなければ良いものにしていくための働きかけをしませんか?

まずは、私たち11,752人の声が届き、都内にマイボトル給水機増設が決まったこと、そして国よりも先進的なプランが都から出てきたことを、喜びましょう!

 

今のグリーンピースだけでできることにも限りがあります。こういった活動をより多くの方々に届けるためにも、ご寄付での応援をどうぞよろしくお願いいたします。

 

P.S. 給水スポットは増えてもどこにあるか分からないと困りますよね。Refill Japanの給水スポットマップやMyMizuの給水マップアプリを使えばどこで給水できるかが見れますのでオススメです!