こんにちは、ボランティアのRinaです。

過去最悪の事態と言われるアマゾンの森林火災。

ブラジルのアマゾンの現地に詳しいマイアさんとヴァネッサさんから、アマゾンの現状についてお話を聞くイベント。前編では、アマゾンの重要性について説明しました。

後編では、アマゾンが気候変動にもたらす役割を見ていきます。

アマゾンの森と気候変動

アマゾンの森林は気候変動を大きく緩和する作用があります。

森林は光合成によって二酸化炭素を吸収します。そして、吸収した二酸化炭素を、根や葉、土壌などに蓄えます。森林は呼吸もするので、二酸化炭素も排出しますが、とくに樹齢の若い木々は二酸化炭素の排出よりも多くの酸素を大気中に排出します。

アマゾンの熱帯雨林の炭素蓄積量は一般的な森林に比べて多く、合計で800~1200億トンと言われています*1。

なんと、私たちが化石燃料やその他の産業などで排出する、温室効果ガス年間排出量の13倍に匹敵します!*2

つまり、アマゾンの森がなくなるということは、大量の温室効果ガスが地球上に放出されることを意味します。

アマゾンの森林破壊の最大の理由のひとつ「工業型畜産」


アマゾンの牛の放牧を上空から撮影した様子

アマゾンの森林破壊で特に重要な問題は、工業型畜産です。ブラジルは世界最大の牛肉の輸出国世界の牛肉の需要を支えるために、たくさんの牛が飼われています。

そして、家畜のえさとなる大豆を育てる農地を作るために森林伐採が行われています。驚くべきことに、ブラジルで生産された大豆の90%が家畜のえさとして輸出されています。

牛の放牧と、大豆のプランテーション。

この家畜に関する2つのことが、アマゾンの森林破壊の主な要因となっています。

日系ブラジル人三世のヴァネッサさん

ブラジルのオフィスから来てくださったヴァネッサさん。彼女は、ブラジル国民の様子や、ボルソナロ政権について、ブラジルの現状を話しました。

写真中央がヴァネッサさん

ブラジル国民の気持ち

ヴァネッサさんの感覚としては、ブラジル国民の多くが環境問題に関心が高いそうです。

特にアマゾンが気候の安定に非常に大事であるという認識が高く、それはメディアも同様で、アマゾンを中心とした環境問題をよく記事にしています。

いま、ブラジル国民は、自国の将来を不安に思ったり、憤りを感じたり、心配な気持ちでいます。そして、今回のアマゾン火災が、気候変動に対してどれくらい影響があるか心配しています。

ボルソナロ大統領がおこなったいくつかの反環境的政策

ボルソナロ大統領が就任して半年以上がたちましたが、アマゾンの森林破壊を緩和するような措置はほとんどとられていません。

畜産農業を推進するために、反環境政策をいくつも行いました。

主な政策

  • ブラジル環境保護局の予算とスタッフの削減
  • 森林火災対応の予算を削減
  • アマゾン基金の凍結

これによって、森林を守るために本来するべきモニタリング、法整備などができなくなってしまいました。

そして、環境破壊を起こす原因となった人や企業への罰則を行っていません。それどころか、農業関係者や牛の放牧業者に、森林開拓許可書が出されてしまっています。政府の環境政策が変わらない限り、問題を解決することは非常に難しいのです。

ボルソナロ大統領は、主に農業関係者からの支持で当選しました。なので、彼は選挙活動中に強力なサポーターだった農業関係者を優遇するような措置をとっていて、選挙公約の通り、反環境政策を続けています。

ボルソナロ政権は、大規模なアマゾン火災が発生してしばらくすると、90日間野焼きをしないという措置を取りましたが、それはほとんど効果を発揮していません。

『ALL EYES ON AMAZON』

このような政権の行動に対して世界中で批判が巻き起こっています。

8月23日、ブラジル各地で、アマゾンで起こっている森林破壊について人々は抗議の声をあげました。ボルソナロ大統領の政策を批判し、世界中でブラジルの人をサポートしようという機運が高まり、「森林破壊にNO!森林保護にYESと言おう!」という運動が世界各地で起こっています。

大統領はこのような声を真摯に受け止め、今すぐに森林破壊をやめる手段を講じるべきだと思います。

ヴァネッサさんが伝えたいこと

ヴァネッサさんが伝えたいことは、気候変動が世界的に深刻化しているということです。

そして、一ブラジル国民として、いま世界が直面している気候変動に対し、日本の人たちも一緒に行動を起こすチャレンジをしてほしいということです。

ブラジルでも、長期間の日照り、大雨、洪水が日常的に起きるようになりました。ブラジル人として、アマゾンの森を失うということは、気候変動への挑戦に負けるということになります。

世界の皆さんと一緒に、アマゾンの森を救うために声をあげて立ち上がりたい。と言って、話を締めくくりました。


東京のブラジル大使館前で、来日中のボルソナロ大統領にアマゾンの森林破壊を止めるよう求めるグリーンピースのスタッフ。

私たちができること

お二人の話から、アマゾン火災の緊急性がよく伝わってきました。

二人のお話からもあったように、アマゾン火災の主な原因は、牛の放牧と、家畜のえさになる大豆のプランテーションのための森林破壊によるものです。

私たちの食生活に植物性食品を取り入れることで、気候変動を抑えることがにつながります。

  • 日常生活でお肉や乳製品を食べることを減らすこと
  • ブラジル政府に環境保護の政策をとるように呼びかけること

この2つのアクションが私たちに必要だと思います。

地球は私たちにとって、たったひとつしかない美しい星です。
しかし、私たちの生活が、かつてない気候変動を起こし、地球の姿をどんどん変えてしまっています。

気候変動を止めるには、今が行動を起こす時です。

私たち日本人も、世界の人たちと協力し合い、美しい地球を未来に残しましょう。

寄稿:チームプランツジャパン Rina

*1 Saatchi, S.S. et al (2007) Distribution of aboveground live biomass in the Amazon Basin. Global Change Biology 13: 816–837
Malhi et al. (2008) Climate change, deforestation, and the fate of the Amazon. Science 319: 169-172.

*2  年間9.4 GtC相当。 Quéré et al (2018) Global Carbon Budget 2017. Earth System Science

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