5月の北海道で39.5度
5・6月のインドで、記録的な長く強烈な50度の熱波
6月にヨーロッパで「命の危険」を警告する熱波

これまでの常識では考えられない気象が、世界各地で記録されています。

これらの異常気象は、気象学者が何十年も前から予想してきたことと一致しています。
近年、気象科学の進歩のおかげで、気候変動が個々の気象現象にあたえる直接的影響がわかるようになりました。日本気象研究所は5月、2018年の日本における熱波は気候変動の影響がなければ起こりえなかったであろうと報告しています。
熱波の影響は衝撃的でした。公式記録で、日本で1,518人が猛暑によって命を落としました(厚生労働省の人口動態統計月報〈概数、平成30年9月分〉)。

気候変動が私たちに与える影響は、このような異常気象の激化だけではありません。ビジネス界にとっても、気候変動と異常気象は今すぐに取り組まなければならない脅威となっているのです。

気候変動は経済に打撃を与える

最近の報告書によると、異常気象はさらに頻繁に起こるようになるだけでなく、よりお金がかかるようになっています。
このグラフは、アジアで、どれくらい異常気象が経済にダメージをあたえるのかを示しています。

出典:https://www.aigcc.net/wp-content/uploads/2019/04/ASIAN-Pension-Funds-Climate-Change-Report-Final_1-1.pdf

1970年から2013年の間にアジアの太平洋地域において、自然災害は日本円でおよそ1兆7,000億円(160億米ドル)の経済的損失をもたらしました。これらの損失のおよそ50%が2010年から2013年までの3年間でもたらされたものです。

日本では、すでに農業分野において実際に異常気象により生じる経済的影響が感じられています。
今年の例をあげれば、東海地方において早くから猛暑がはじまったことでダムの水が底をつき、深刻な水不足がおこりました。今年5月の朝日新聞の記事によれば、愛知県岡崎市に住む米農家の加藤さんは「私は30年ぐらい農業をしていますが、このようなことが起こったのは初めてです」と話しています。

また、日本の港にも経済的問題は発生します。
港は海面上昇や台風など、気候変動の影響によって直接的な被害にあいやすいからです。しかも、これは港だけの問題ではありません。もし港が通常通り機能しなくなれば、日本の輸出産業全体に関わる問題となるでしょう。港が気候変動に適応していくためには、例えば建物や倉庫を高い場所に移動することが必要となり、そのためにおよそ1,500~2,480億円(14~23億米ドル)の費用が必要になると予想されています。

産業部門での気候変動の影響は、保険の支払い費用にも現れています。
日本損害保険協会によると、2018年、国の保険会社が自然災害(洪水や洪水による損害)に対して支払った保険請求額は過去最高の1.6兆円に達しました。

気候変動と戦うビジネス

気候変動はどこからともなく起こるものではありません。それは私たち人間によってもたらされる現象です。
すでに大きな被害が起きていますが、希望が持てるのは、私たち一人ひとり、企業そして政府が行動を変えることで、最悪の事態を避けることができる、ということです。

多くの企業が、気候変動による変化に適応するだけでは十分ではないとすでに気づいています。
それよりも、ビジネスモデルや投資方針を変えることで、企業が気候変動にあたえる影響を小さくするような積極的なアプローチを取ろうとしています。

世界的に、銀行、保険会社や年金機構などの金融機関は、石炭などの化石燃料から自然エネルギーへ投資先を移行しています。
日本でもこの移行は始まっています。例えば、三井住友トラスト・ホールディングスは2018年に石炭プロジェクトへの出資を中止することを決定しました。2019年には三菱UFJファイナンシャル・グループも同じような方針を決定しています。

RE100に加入する日本企業も増えています。
RE100とは気候変動をもたらす二酸化炭素排出量の削減のために、自然エネルギーを100%使った電力に変えていくことを約束している組織です。日本からは、イオン、ダイワハウスそして富士通などの企業がすでに公約しています。

しかし最近、多くの企業が、企業だけのアクションでは十分ではないと発言しています。企業が指摘する必要なアクションとは何でしょうか?

企業は気候変動をくい止めるために政府が行動を起こすことを要求している

カーボンニュートラルな社会や経済への移行を可能にするためには、企業のビジネス環境を形づくっている法律、課税そして国際的な貿易規則における大幅な変更が必要です。そのためには政府のリーダーシップや政策が必要となるのです。

だから、多くの企業が今、政治家に気候変動を抑えるための政策を優先事項とすることを求め始めているのです。

もっとも最近では、日本企業のグループが化石燃料から自然エネルギーへの移行を早めるために国のエネルギー方針を変えることを政府に求めました。そこでは、2030年までに、生産される電力の50%を自然エネルギーで発電するという目標を設定することを政府に要求しています。

今年の春、日本の革新的な企業は国際的な企業と協力して、炭素税の導入やエネルギーや重工業分野を含めたすべての産業に対する明確な脱炭素化目標を設定することなど、日本の気候変動に対する方針にいくつかの変更を要求しました。

この変更は日本企業からのみ要求されたものではありません。
6月26日、世界中から集まった477の投資家のグループは、G20の各国リーダーに気候変動に関する野心を高めること、2020年までに気候変動に対する強力な政策を制定することを促しました。

国際社会のコミュニティの一員として、日本政府は、カーボンニュートラル(CO2排出実質ゼロ)の経済にシフトするために、役目を果たさなければならないのです。
しかし、現在の日本の政策はいまだに石炭や原子力といった有害なエネルギー資源を支持しています。

気候変動を止めることは、私たち自身を守ること。
私たちも、気候変動を止めるために動き出した企業や投資家とともに、政府に声を届けることができます。

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