日本政府が、プラスチックの具体的な削減案を盛り込んだ「プラスチック資源循環戦略」案を発表しました。

各国が大幅な使い捨てプラスチック削減に向かう中、日本でも対策が本格化するのは素晴らしいこと…なのですが!残念ながら、この戦略、どこを取っても「あと一歩!」なのです。

目標は、国際社会をリードするには野心的ではなく、プラスチック汚染を止める実効性があるとは言えません。このまま通ってしまえば、抜本的な脱使い捨てプラスチックが進む他の国々から、ますます置いていかれてしまいます。

さてみなさん、ここで質問です。「パブリックコメント」と呼ばれるインターネットでも簡単に意見を投稿できる仕組みがありますが、やってみたことはありますか?

いま政府が、このプラスチック削減案についてのパブリックコメントを募集しています。

私たちの声を提出して、プラスチック汚染を止めるため、本当に効果のある戦略に進化させましょう。

グリーンピース・ジャパンは次の4つのポイントについてコメントを提出しました。一文でも提出できます。気になるポイントについて、あなたも送ってみませんか?

レジ袋

「プラスチック資源循環戦略」の3ページ目で、“レジ袋の無料配布禁止”が明文化されたのは大きな前進です!(声を上げ続けてきたみなさんの力!)

有料化が進む海外の事例を見ると確かに、例えばポルトガルは1枚約14円にすることでレジ袋が70%削減されています。

でも、日本で有料にするだけでレジ袋の大量消費に歯止めをかけられるかどうかはわかりません。例えばいくつかのスーパーがすでにやっているように1枚2円程度なら、お金を払ってでもレジ袋を使い続ける人はいるかもしれません。

韓国やニュージーランドは今年レジ袋の禁止を発表しました。問題の根本的な解決を図るためには、有料化にとどまらず、「段階的な廃止」をめざすことが必要です。

また、コンビニ業界は、レジ袋有料化の政府案が発表されたあと、”コンビニではレジ袋が望ましい”と発言しています。使い捨てのレジ袋に頼ったライフスタイフの転換を促すには、例外を作らないことも重要です。

レジ袋の削減について気になった人は、パブコメにはこんな風に書いてみてはいかがでしょう?

“プラスチックのレジ袋は、最終的には禁止することを目標として、有料化は移行措置としてください”

マイクロビーズ

マイクロビーズは、歯磨き粉や洗顔料のツブツブなどで知られる、小さな小さなプラスチックです。小さすぎて下水処理のフィルターを通過してしまうので、川や海に流れ込んでしまいます。イギリスやアメリカなど、マイクロビーズを含む製品を、製造から禁止している国もあります。

「プラスチック資源循環戦略」の6ページには、「2020年までに洗い流しのスクラブ製品に含まれるマイクロビーズの削減を徹底する」とあります。この「削減」はあいまいな言葉です。

日本でも、マイクロビーズの製造、含有製品の販売及び使用を禁止することを方針として打ち出す必要があります。

マイクロビーズについて気になった人は、パブコメにはこんな風に書いてみてはいかがでしょう?

“マイクロビーズは、自主規制ではなく、イギリスやアメリカのように全面禁止が必要です”

あとの2つは、さらに深みにはまりたい方向けです。ここまでで書くことが決まった方は、ブログの下にある「パブコメの出し方」へ飛んでいただいてOKです。

プラスチックごみの輸出

日本はこれまで、年間150万トンものプラスチックごみを海外に輸出していました。

今年中国が輸入を禁止しましたが、輸出先がマレーシアなどの東南アジア諸国に変わっただけで、未だプラごみ処理を輸出に依存しています。

さらに、輸入ゴミを処理するマレーシアでは、ごみが違法に燃やされ、埋めてられ、自然界へ流出している現状が、グリーンピースの調査で明らかになりました。

輸出するのではなく、国内で排出されるごみを減らす。プラスチックごみ対策の根本的な見直しが急務です。

まずはこれまで国外に輸出していた量を削減することを目標に、「プラスチック資源循環戦略」8ページのリデュース(削減)の欄に、この2点を含める必要があります。

  • 2025年までに、少なくともこれまで国外に輸出していた量に相当する150万トン*の使い捨てプラスチックを削減す
  • 2030年までに使い捨てプラスチック使用削減50%以上を目指す

ゴミの輸出について気になったあなたは、こんな風に書いてみてはいかがでしょう?

“プラスチックごみは輸出に頼るのではなく、最低でも国内で処理しきれない分の使い捨てプラスチックは削減することが必要です”

*累積プラスチック排出抑制30%

プラスチックごみの焼却

「プラスチック資源循環戦略」1ページに、国内で回収されたプラスチックの有効利用率は84%とありますが、このうちの57%は”サーマルリサイクル”と言われる、燃やして熱を利用する「熱回収」分です。* これは結局燃やされてしまうことなので資源が循環しません。

実はヨーロッパでは、熱回収はリサイクルとは認められていません。G7海洋プラスチック憲章でも、熱回収がCO2排出に繋がるためリサイクルとしては加算されていないのです。

まずは燃やして熱利用することが”リサイクル”であるという日本独自の解釈を変えなければいけません。

焼却はごみを処理するための最終手段。「資源有効利用率」に加算して「プラスチック資源循環戦略」に熱回収盛り込むことは、国際社会に不信感を招きかねない内容です。

ごみの焼却について気になったあなたは、こんな風に書いてみてはいかがでしょう?

“ごみを燃やすのはリサイクルではなく、CO2も発生して気候変動を悪化させます。焼却はリサイクルという認識を改め、資源有効利用率に入れるのをやめて、使い捨てプラスチックの削減を目指してください”

*「一般社団法人プラスチック循環利用協会」

パブコメの出し方

提出方法はとっても簡単。このフォームからオンラインで意見を提出できます。

締め切りは12月28日です。800字以下ですので、一文でも、もちろん、ありあまる思いの丈を800字フルで書いてもOKです!

ひとことアドバイス!長い時間提出フォーム上で書いていると消えてしまうことがあるようなので、別で書いたものをコピー&ペーストするのがおすすめ!

プラスチック汚染は、今日本でも最も話題になっている環境問題の一つです。たくさんの声を集めて、私たちが注目していることや、しっかりと効果のある規制を入れてもらいましょう!

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ファックスや郵送でも提出できます。詳しくはこちら

グリーンピースが提出したパブリックコメントも参考にしてください。