今、各国のリーダーがヨーロッパに集まって、気候変動対策について話し合っています。

国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)と言われる国際会議です。

毎年行われるCOPですが、今回は特に重要な会議です。

それは、国際的に決めた温暖化対策の約束である「パリ協定」を行動に移していくための具体的な削減目標や、目標を達成していくための詳細なルールを決める会議だからです。

各国政府は、これまで話し合いをずっと続けてきました。いま、気候変動の悪化止めるために、これ以上待つことはできません。世界各地で増加している気候変動の被害や、最新の科学による警告を受けて、今は行動に出るときです。

地球は「岐路に立っている」

熱波による乾燥から森林火災が度々起こるようになってきた

2℃上昇すると何が起きる?

会議の冒頭で、これまでに会議の議長を務めた4人が「地球は岐路に立っている」と警告しました。

産業革命前から1℃上昇している今日でも、すでに人の命にかかわる深刻な被害や大規模な経済的被害が世界中で起きています。

10月に公表された国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の1.5℃特別報告書では、気温上昇が1.5℃になった場合今より被害が深刻化すること、さらに2℃まで上がった場合、被害はもっとひどくになってしまうことを警告しました。そして、1.5℃に抑えられる可能性はあるけれど、それは劇的に二酸化炭素の排出を減らせるような思い切った転換が必要であると強く警告しています。

IPCCは、気温上昇を1.5℃に抑えるために2030年までにCO2排出を半減させなければいけない、と言っています。

でもいま各国が掲げている削減目標を全部足すと3℃まで上がってしまうと予測されています。

危機を脱するために行動できるか、危機が迫っていることを知りながら行動を先送りするか。私たちは、岐路に立っているのです。

地球は「岐路に立っている」

日本のCO2削減の現状は?

安倍首相は、「IPCCのまとめた知見に沿って、世界は適切な手段をとるべきだ」「経済の成長と化石燃料使用の削減を同時に促進しなければならない」として「(気候変動という)難題に対する取り組みに参加するよう各国に呼びかける」文章を英フィナンシャルタイムズに寄稿しました。注1)

こうした発言とは裏腹に、日本には、最もCO2を多く排出する発電方法である石炭火力発電所を35基も新設する計画があります。

I気温上昇を1.5℃に抑えるためには、2030年までにCO2を排出を半減させなければならず、新しい石炭発電所など一基も立てる余地はないのです。

地球は「岐路に立っている」

COPで何が変わるの?

今年のCOPは、IPCC、世界気象機関、国連環境計画からの明確かつ緊急の警告に各国政府が、どう応えるかが問われています。注2)

会議では、特に日本を含む主要国が温室効果ガスの排出削減目標を厳しいものへと見直せるかどうか、重要な焦点になります。

地球は「岐路に立っている」

石炭や石油はもう使えない

IPCCは、2030年(たった12年後)までに石炭の消費の2/3を減らし、2050年には実質ゼロにする必要がある、と言っています。そしてそのときには自然エネルギーが70-80%を賄っているだろう、と予測しています。

いまから化石燃料の発電所を新たに作ることは、地球の未来をまもる責任を放棄するのと同じです。

注1)https://www.ft.com/content/c97b1458-ba5e-11e8-8dfd-2f1cbc7ee27c

注2)たとえば: [IPCC]地球温暖化は、現在の度合いで続けば2030年〜2052年の間に1.5℃に達する可能性が高い

[WMO] 2017年にはCO2レベルは405.5ppmを記録した/2018 年は世界の平均気温が過去4番目に高い年ということになる

[UNEP] 1.5℃目標を達成するには各国が気候変動に対する行動を5倍にする必要がある(The UNEP Emissions Gap Report 2018)