自然エネルギーを選んで、未来をつくる

みなさん、こんにちは。エネルギー担当の石川です。

先月、九州電力管内での自然エネルギー出力抑制が話題になっていましたね*1。自然エネルギーが盛んなドイツでは、自然エネルギーの電気を優先的に接続させ、電力需給の調整を図る柔軟な考え方を採用しています。あまった電気をガスにする「Power to Gas」の技術は、グリーンピース・エナジー社(GPエナジー)でも活用しています。

そんなドイツで自然エネルギー100%を供給する電力会社、GPエナジー訪問記の第2回。今回は、3名の異なるバックグラウンドをもつGPエナジーの顧客の方々に「なぜ自然エネルギーなの?」というお話を伺いました。

「選択することは誰にでもできる」

GPエナジーの顧客は、約14万人。そのうちの1人であるエルク・ウルフさんは、ベルリンで「Natur am Bau」という自然素材の粘土塗装料を販売しているお店のオーナーです。店舗でお話を伺いましたが、天井照明が間引きされ、目に優しい落ち着いた塗装料が壁に塗られているのが印象的でした。

自然エネルギーを選んで、未来をつくる

エルクさんのお店にて(左:GPエナジーの学生インターン ヨナスさん、中央:石川、右:エルクさん)。ちょうどお店を訪れていたフォトグラファーに撮っていただきました! (c) Greenpeace

GPエナジー社の電気料金はベルリンにある他の電力会社の料金より1kwhあたり1セント安かったそうです。大きな商売ではないからこそ、支出や消費を減らすことから始め、行き着いたのが省エネとGPエナジーでした。でも、電力会社を切り替えたのは安さだけが理由ではありません。「エネルギーが何からつくられているか」も考えた結果です。エルクさんは、「自分の生活にも責任を持ち、エネルギーだけでなく、使っているものや食べ物がどうつくられ、それをどう消費しているかを知ることが大事」という包括的な持続可能性への考え方を共有してくれました。エルクさんの

「(どんな未来が欲しいか)選択することは誰にでもできるし、そのための知識を得ることもできる」

という最後の言葉に、1人1人の電力会社スイッチという選択が、自然エネルギーにあふれた社会をつくっていくのだ、と強く感じました。

「8ユーロ増えただけ」

もう1人の顧客、ヨハネスさんとは、GPエナジーか開催した1日がかりのイベント「エナジーコングレス」で会いしました(エナジーコングレスの詳細は後日お届けします!)。

自然エネルギーを選んで、未来をつくる

エナジーコングレスの会場で(左:石川、右:ヨハネスさん)(c) Greenpeace

現在30歳のヨハネスさんは、もともとはグリーンピース・ドイツのサポーターで、数年前にGPエナジーの組合員になり、それ以来自然エネ100%の電気も使っています(組合員となるための費用は、お母さんからのクリスマスプレゼントだったとか。素敵!)。「自然エネルギーが足りなければ増やしていく」という意思がはっきりしているところがGPエナジーを選んだ理由の1つだそうです。

気になる電気料金について聞くと、

「他の電力会社より8ユーロ増えただけ。たとえば1ヶ月に飲むビールを2杯減らすだけでこの重要な自然エネルギー転換を後押しできるなら、そんなに大したお金じゃないよ」

と、さらっと答えてくれました。8ユーロは日本円で約1,000円。限られた自分のお金を「自然エネルギー転換」に投資しているヨハネスさんからは、若い世代でも、自然エネルギーの電気を選ぶことで、未来を形づくることができる、と気づかせてもらいました。友人と環境問題について話す難しさや、気候変動が私たちの未来を脅かしていることなど、イベント会場が閉まるまで一緒に話し合いました。

「私たちには決める力がある」

ハンブルグの港から丘を登った中心地にあるこのアパートメントは、2006年当時暮らしていた複数のアーティストたちが共同出資で購入して以来、映像作家や画家、ミュージシャンなど約50人が過ごす総合的なアートレジデンスになっています。ここの住人たちはGPエナジーの顧客でもあると同時に、自分たちで自然エネルギーもつくっているのです。

自然エネルギーを選んで、未来をつくる

アートレジデンス「FRISE」。元々は家具工房や印刷会社が入っていた建物だったそうです。(c)Greenpeace

実はこの建物、自然エネルギー転換を都市部で進めるGPエナジーのプロジェクトの一環として、屋上にソーラーパネルが置かれています。気候変動を心配していた、という共同出資者の1人でアパートメント運営の中心人物であるザビーネさんとエリックさんにお話をお聞きしました。

自然エネルギーを選んで、未来をつくる

2016年に設置された「FRISE」の屋上にあるソーラーパネル。建物の住人たちも発電された電気の一部を使っているそうです。 (c) Greenpeace

アートと科学の狭間についての研究で博士号を取ったエリックさんは、アーティストのうち成功するのは3%で、残りの97%のアーティストはアートで成功することができないという統計の話をされました。

だから、

「アーティストたちは、自分たちの夢を叶えられないかもしれないけど、自分たちで決めることはできる。それを大切にしている(ザビーネさん)」

と。GPエナジーの協力と住民たちでパネルの設置を決めたそうです。自宅スペースには製作中のアート作品や素敵な小物であふれ、陽の光があたるキッチンでコーヒーもいただきました。

自然エネルギーを選んで、未来をつくる

左からザビーネさん、石川、ザビーネさんのパートナー、エリックさん。アートレジデンスの制作スペースにて (c) Greenpeace

お会いしたみなさんからは、気候変動への思いを共有してもらっただけでなく、アーティストだからこその覚悟と信念に触れ、人としての生き方を学ぶ時間ともなりました。

意思表示と消費行動

私は引越しを機に、自然エネルギーをより多く供給してくれる電力会社へスイッチしました。自然エネルギー由来の電気を供給する電力会社へスイッチするのは、自然エネルギーが欲しいという意思表示になると思います。GPエナジーの顧客の方々とお話をして、その思いがますます強くなりました。投票行動もそうですが、消費行動を変えることは自分の欲しい社会をつくるための力となります。

つい先日の国連IPCC報告書は、各国がいまの時点で掲げているCO2の排出削減目標では、地球の気温上昇を1.5℃に抑えることはまずできないだろう、と指摘しています。人まかせではなく、自分が自然エネルギー転換を起こしていく。そんな1人1人のちょっとした覚悟と思いをもって、グリーンピースと一緒に行動していきませんか?

【お知らせ】

日本でもクリーンな電力会社に切り替えることは自然エネルギー転換を起こしていくためにできるのこと1つです。11月14日(水)に電力会社の切り替えについてお話しするイベントを開催します。当日はグリーンピース・エナジー社訪問の様子も詳しくお話します!

「自然エネルギー100%社会に向けたはじめの一歩 ~クリーンな電力会社にスイッチ!」

日時:11月14日(水)13時半から

場所:ヤマナシヘムスロイド(〒107-0061 東京都港区北青山1-5-15)

お申し込み:下記のメールアドレスに、お名前とご連絡先(メールアドレス等)を明記の上、お申し込みください。

[email protected]

<署名する> 異常気象を激化させる石炭をやめて自然エネルギーを増やしてください