暮らせる地球のために、まだチャンスは残っている・・IPCC特別報告書の警告と、今あなたにできること

こんにちは、エネルギーチームです。

季節外れの桜の開花のニュースなどを聞いていると、この夏の、大災害をもたらした西日本豪雨や、全国的な連日の猛暑、立て続けにやってきたこれまでになく強い台風など、異常な天候があらためて思い起こされます。気象庁は、長期的な地球温暖化の影響とこれらの異常気象には関連があると指摘しています。

今月はじめ、これらがまだ危機のはじまりにすぎないことを示す報告書が発表されました。

10月8日に発表された、国連IPCCの報告書*で、世界の第一線の科学者たちは、いま、私たちの地球の平均気温は、産業革命前と比べてすでに1℃高くなっていて、地球温暖化が現在のスピードで進めば、2030年から2052年の間に地球の平均気温は1.5℃を超える可能性が高いと警告しています。(*“IPCC Special Report on 1.5°C warming(1.5℃の地球温暖化 IPCC特別報告書)” 2018年10月8日韓国インチョンにて発表

国連IPCC報告書(気候変動に関する政府間パネル)
グリーンピースで解説しました[2018発行]>PDF (日本語)こちら

暮らせる地球のために、まだチャンスは残っている・・IPCC特別報告書の警告と、今あなたにできること

(c)Masaya Noda/Greenpeace 2018年西日本豪雨被害小田川の堤防が決壊して、濁流が町に流入。決壊場所付近の集落は被害が大きい。 2018年8月28日 岡山県倉敷市真備町

気温が上がると何が起こる?

いまの、1℃の気温上昇でさえ、暮らし・経済への悪影響や人の命にかかわる災害をもたらしています。昨夏のようなことは二度と繰り返したくない、ましてこれ以上悪化させたくないと、多くの人が感じているはずです。

IPCC報告書では、気温上昇を1.5℃までに抑えるべきだと科学者たちが強く警告しています。

地球の気温上昇が2℃にまでなった世界は、1.5℃未満に抑えられた世界とくらべて、さらに危険度が高くなるからです。

気温が2℃上昇した世界では

・異常気象はさらに増加し、激しくなる

・異常な熱波に襲われる人の数は、4億2000万人*増える(*北米全体の人口よりも多い)

・海面上昇は10cm高くなり、被害を受けるひとが最大1000万人増える

気温上昇を1.5℃未満に抑えることはもはや「努力目標」ではなく、どうしても達成しなければいけないことなのです。

気候変動問題に対応する国際的な枠組みであるパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をするという目標を掲げています。

暮らせる地球のために、まだチャンスは残っている・・IPCC特別報告書の警告と、今あなたにできること

米ノースカロライナ州でも、ハリケーンの豪雨の末、火力発電所が水没、稼働停止した(2018年9月)(c)Greenpeace

残された時間はとても短い

しかし、いま各国がいまの時点で掲げているCO2の排出削減目標では、1.5℃に抑えることはまずできないだろう、とIPCC報告書は指摘しています。

(いまの削減目標では2100年には3℃に達してしまう、と科学者は警告しています)。

今すぐ劇的にCO2の排出を減らすことが必要なのです

IPCC報告書は、世界の平均気温を産業革命前と比べて1.5度に抑えるためには、世界のCO2排出量を2010年比で、2030年までに半減させ、2050年までには実質ゼロにしなければならないとしています。そしてそれを実現するためには、

・2050年までに世界の電力の70-85%が自然エネルギーでまかなわれるようになり、

・2030年までには石炭の消費量を少なくとも3分の2削減し、

・2050年までに石炭火力発電(最もCO2を排出する発電方法)をほぼゼロに

する必要があるとしています。

世界の平均でこれだけの変化が必要ということは、日本のような先進国には、これ以上の取り組みが求められるということです。

暮らせる地球のために、まだチャンスは残っている・・IPCC特別報告書の警告と、今あなたにできること

今年の台風22号は西へ進み香港に破壊的な被害をもたらした。(c)Greenpeace

異常気象から暮らしを守るために

この10年でCO2を大幅に減らせるかどうかが、気候変動の運命を握っています。気候変動対策を優先事項の一つにして、本格的に動くことが、美しい四季を守り、これまでの暮らしを守る”防災”です。

企業のリードに続いて政府も前進するように、私たちの声を届けませんか?

署名に参加する >