「農薬に頼らずにつくった野菜を子どもたちに食べさせたい」石川県の農家さんが目指す生態系の力を借りた農業とは…

【特別インタビュー】石川県 農事組合法人One 宮野一さん ※2016年に行ったインタビューの再掲載です。

前回の石川県河北潟の石橋さんのインタビューに続き、無農薬・減農薬で野菜やお米を栽培している農家さんの特別インタビューをお届けします。

今回は、土の本来の力を活かした農業を心がけているという、金沢市才田町の宮野さん。

できるだけ農薬に頼らずにつくった野菜を子どもたちに食べさせたいという思いや、慣行農業の農家さんがなぜ農薬を使い続けているかについても、お話してくれました。

「もともと才田町で父親が米作りをしていて、中学生のころから米作りを手伝っていました。高校を卒業してからは、仕事をしながら兼業で父親と一緒に米作りをしていましたが、2008年から専業農家になりました」

そんな宮野さんは、2013年からは、才田町で加賀レンコンをつくっていた弟さんと一緒に法人を立ち上げ、事業として農業をするようになりました。圃場は稲作だけでも36haと広大!現在は、米、レンコン、ニンニクを中心につくっているそうです。

まずは土づくりにこだわる

「お米は、苗から自分のところで育てています。土づくりにこだわって、田んぼでは化学肥料はつかわず、藁をすきこんだり、有機肥料だけを使用したり、土が本来持っている力を活かせるように作っています」

今年は、3枚の田んぼで、自然の生態系の力を借りてつくる「生きもの元気米」をつくっているそう。 

1枚は農薬をまったく使わずに作っていて、ほかの2枚の田んぼでも、減農薬でつくっています*。生きもの元気米の田んぼ以外も、農薬は田植え時に除草剤を一回使用するだけで、慣行農法に比べたらかなり少ない量しか使っていません。」

*2017年は3枚の田んぼで減農薬でつくっています。

ネオニコ系農薬等殺虫剤の空中散布をしない、畦で除草剤を使わない、という『生きもの元気米』の決まりをしっかり守っていることを教えてくださいました。 

使わなくていい農薬は使わない

そんな宮野さんですが、ネオニコ系農薬についてはどう思っているのでしょうか? 

ネオニコ系農薬は、使用する必要性を感じません。そもそもネオニコ系農薬の主な対象のカメムシが才田地域にはそんなにいないので、使用してもしなくてもそんなに変わらないんです。使わなくてよいものは使わない。子どもたちにも、なるべく農薬を使っていないものを食べてほしいですから」

実際、ネオニコ系農薬などの空中散布をしなくても、お米に大きな違いはないそうです。でも、少しは黒く変色した部分のある米粒(斑点米)が混ざってしまうことも。

斑点米が入っていると、農協に出せば二等級米とされる事もあるので、斑点米をはじく色彩選別機を使うそうなのですが、色彩選別機を入れるための初期投資が必要で、それには300万円くらいかかってしまうのだそうです。

「でもそのおかげで、農薬も使わず斑点米も混じらないお米を消費者に食べてもらうことができます

宮野さんの農薬に頼らないという熱い思いが伝わりました。

(写真はイメージ。)

化学肥料だけを使い続ければ土がどんどん弱っていき、使用量を増やしていかなければいけなくなります。一方で、有機肥料は手間がかかる。均等にまくために、うちではトラクターに散布する機械を付けて有機肥料をまいています」

黒く変色したお米を取り除く機械と同じように、やはり個人でそのような機械をもつことは難しいのだそうです。

「化学肥料を使わず、有機肥料で栽培している人もいますが、続けているのは消費者や小売との販売のネットワーク作りが上手くいった人だけ

やはり、無農薬・減農薬で続けていくためには、販売側とのネットワークが欠かせないようです。

みんなが有機・無農薬を選べるように

でも、宮野さんはおっしゃいました。

「まだ、有機の野菜やくだもの、お米を買う層は限られていると思います。最近は国産のものを選ぼう、というように意識が高まってきてはいますが、国産のものからさらに、有機のものを選ぶようになるにはまだ数年はかかるでしょう」

確かに、みんなが当たり前に有機や無農薬・減農薬を選ぶようになるには、まだ時間がかかるかもしれません。ただ、だからこそ、いますでに「有機の野菜やくだもの、お米を選びたい」と思っている方から、周りへ意識を広めていきたいですよね。

もっと身近に有機農産物を購入できる社会になるように、声を上げていく必要があると思います。 

 「生きもの元気米」予約受付中!

宮野さんたちが作っている、農薬不使用の「生きもの元気米」は、今予約を受け付け中です。農薬に頼らず、生きものが元気な田んぼですくすくと育っているお米、この秋にお届けします。

ご予約はこちらから

「いつものスーパーで国産オーガニックを増やして!」とスーパーマーケットや生協に伝える署名に、7,000件の声が集まっています。

有機・無農薬で頑張っている農家さんも、販売のネットワークが必要です。宮野さんのような農家さんが、農薬に頼らずに手間と心を込めて作っている野菜を、たくさんの人が選べるように、を、あなたもぜひ署名してください!農家さんと一緒に、日本の食の未来を守りましょう。

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協力:NPO法人河北潟湖沼研究所

グリーンピース・ジャパン

ライターについて

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グリーンピースは、環境保護と平和を願う市民の立場で活動する国際環境NGOです。世界中の300万人以上の人々からの寄付に支えられ、企業や政府、一般の人々により良い代替策を求める活動を行っています。ぜひ私たちと一緒に、行動してください。

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