こんにちは、食と農業担当の石原です。

みなさん、いま、世界中からミツバチが減っていること、ご存知ですか?

日本だけ、世界の流れに逆行

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作物の受粉を助けるミツバチへの影響が次々と報告されているネオニコチノイド系農薬は、ヨーロッパをはじめ、韓国、台湾、アメリカでも、どんどん使用規制が進んでいます。

その流れに逆らうように、日本では、新種のネオニコ系農薬が使用可能になったり、使っていい量が増えたり、と、規制がゆるくなっているんです。

例えば、住友化学の商品「ダントツ」に使用されているクロチアニジンというネオニコ系農薬は、ドイツ、イタリア、スロベニア、オーストリア、スウェーデン、スイス、アメリカ、カナダ、韓国、ブラジルで規制が進んでいます。

その一方、日本では、去年5月に、大幅に残留基準値が緩和されたばかり。

「政府が認めているんだから大丈夫でしょ?」

6月21日は、住友化学の株主総会でした。

株主総会前に、集まってくる株主さんに、ネオニコ系農薬のリスクについて説明したビラをお配りしていた時、ある株主さんから聞いたご意見

 

「政府が認めているんだから、企業の責任ではないでしょ?」

本当にそうでしょうか?

実際、去年5月に、住友化学の「ダントツ」にも使われるクロチアニジンというネオニコ系農薬の残留基準値が大幅に緩和された時、発端は住友化学からの要望でした(注1)。

企業からの申請を受けて、農水省、厚労省が認可する流れです。農水省と厚労省には、ミツバチや生態系、消費者の安全を守るために農薬を規制する動きは見られません。つまるところ、企業の申請を政府がそのまま認可する構造になっているのではないでしょうか。

「農水省の指導に従っています」

今回は、グリーンピースのボランティアで、日本ミツバチの保護活動を行っている御園孝さんが、総会に出席して、直接住友化学に質問してくれました。御園さんが直に目撃してきたミツバチの被害について、株主総会の場で伝えると、住友化学はこのように答えたそうです。

「農薬事業を営むにあたっては、安全性の確保と環境負荷の低減を最重要事項としています。

ミツバチへの被害については、農水省が3年、調査しています。それによると被害は水稲開花期に多い。

農薬を使う農家と業者との情報連絡が重要としていて、それにもとづいて移動したところでは被害が減少したと報告されています。

農薬に注意書きを記載するように農水省から指導があって、住友化学もそれに従っています

この前農水省に行った時、農水省は確かに、”農薬会社から提出されたデータを信頼している”と言っていました。でも今回、企業は「農水省の指導に従っている」と言っている。これではまるで責任の押し付け合い。ミツバチを守るという考えは、どこかに押しのけられてしまっています。

「わたしたちのハチを返せ!」

今日この場に来れなかった有機農家さんから、お預かりした言葉です。

ネオニコ系農薬は、ミツバチをはじめとするハチを減少させ、危機に追いやっています。

受粉を助け実りをささえるだけでなく、アブラ虫など農家さんにとって厄介な害虫にたまごを産みつけ、駆逐してくれたりもする。

そんな農業のパートナーのハチたちを邪魔し、ひいては農家さん、そして私たち消費者にもいずれその仕返しはかえってきます。

「かがくの夢、くらしの中に。」

住友化学が掲げるこのメッセージが、悪夢になることがないように。目先の利益ではなく、本当に豊かな明日のために。

住友化学が、ネオニコをやめる決断をすることを、グリーンピースとしても、ひとりの人間としても、心から願います。

ネオニコを使わないという一票。

私たちは普段の生活の中で、「ネオニコ系農薬を使った農産物を買わない」、という大事な一票を投じることができます。スーパーで、ネオニコ系農薬を使っていない野菜やお米を増やしてくれるよう、あなたの声を届けてください。

スーパーや生協は、農家さんと連携を強めることで、ネオニコを使っていない農産物の扱いを増やすことができます。農薬会社や政府よりも、早く動いて、販売側からネオニコを減らすことができます。それを後押しできるのは、私たち消費者だけです。

脱ネオニコに、あなたの一票を。

「ネオニコやめて」いますぐ署名で伝える >

脱ネオニコを実現するには、私たち一人ひとりが行動を起こしていくしかありません。ぜひ署名とともに、持続可能な農業を支える活動にご寄付という形でもご参加ください。

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注1:ソーシャル・イノベーションマガジンAltana.「ネオニコ農薬2000倍緩和、裏で住友化学が動く」2014年2月3日

グリーンピース・ジャパン

ライターについて

グリーンピース・ジャパン
グリーンピースは、環境保護と平和を願う市民の立場で活動する国際環境NGOです。世界中の300万人以上の人々からの寄付に支えられ、企業や政府、一般の人々により良い代替策を求める活動を行っています。ぜひ私たちと一緒に、行動してください。

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