シリーズ第1回:海の現状について

シリーズ第2回:漁業現場で起きていること

シリーズ第3回:資源管理

シリーズ第4回:ラベル表示でどこまで分かる?①

シリーズ第5回:ラベル表示でどこまで分かる?②

シリーズ第6回:私たちにできること

 

こんにちは、海洋生態系担当の田中です。

私たちの食卓に並ぶまでに水産品がどのような経路をたどるのか、そこにどのような問題が潜んでいるのかをお伝えする本シリーズ、第1回目は「海の現状」についてお伝えします。 

いま、海から魚が次々と姿を減らしています。原因はいくつかありますが、最も大きな原因は「獲りすぎ」です。世界で獲られている魚の約90%近くが「獲り過ぎ」か「限界量まで漁獲」されている状態といわれています。

 今回は海の現状について、2つのポイントに注目して伝えします。

  

海の現状その①:「獲りすぎ」ってどういうこと?

海の中には沢山の生き物が暮らしています。生き物たちは、生まれ、成長して次の世代を生み、命の連鎖「再生産のサイクル」が続きます。さらに陸と同じように海の中でも、土、水、大気、太陽光と生き物たちが互いに影響し合います。多くの魚は一度に何千個という卵を産みますが、成長の過程で他の魚に食べられ、次の世代を残すまで成長するのはその中の1%以下といわれています。一般的に、食物連鎖の下位に属する種の方が多く卵を産む傾向にあるのは、食物連鎖の上位種に多く食べられてしまうからです。でも、上位種も寿命を迎えるとプランクトンや下位種に食べられることで命の連鎖は続きます。海の中ではこのように、いろいろな要素がバランスをとりあい、多様な生態系が保たれています。

「獲りすぎ」とは、次世代を生む前の魚を大量にとってしまうなど、自然のサイクルを超えて魚が獲り続けられる状況のことです。いま海では、漁業の大規模化により、この「獲りすぎ」が進んで、魚の数が激減しています。

 

 

海の現状その②:いつまで食べられる?

長期的な視点にたつと、気候や海洋の変動で魚の種類は大きく増えたり減ったりする場合があることも最近分かってきました。でも、現在起こっている魚の激減をこの現象のみで説明することはできません。

私たちが好んで食べている魚の多くが、どんどん数を減らしています。たとえば、ふかひれスープとして利用されることの多いサメ類は全種の30%が絶滅危機種あるいは準絶滅危惧種です。土用の丑の日でおなじみのニホンウナギも今年、環境省がレッドリストに加えています。お寿司で大人気の太平洋クロマグロは、漁獲しなかった場合の水準の3.6%しか海にいないといわれています。※1

 「知らなかった」という方も多いのではないでしょうか。スーパーマーケットなどお店には毎日たくさんの魚が並び、私たちは安定して魚を買うことができます。でも、それこそ魚が「獲られてすぎている」現状を反映しているのかもしれません。普段食べている魚を食べられなくなる日が現実に来る、私たちはそういう危機に直面しています。

 ※1 the Pew Environment Group(2013)

 私たちの食生活になくてはならない魚。魚がどのように獲られ、食卓にどのようにして届くのか、私たちはどこまで知っているでしょうか? このシリーズでは、次の世代にも大切な食文化を残していくために、いまなにが必要なのかを考えていきます。

 シリーズ第2回目は、漁業のお話です。

 

海の現状と問題は、まだ多くの人に知られていません。手遅れになる前に一人ひとりができることをしていくために、海の問題を周りの方に広めてください。

わかりやすく海の現状を説明しているリーフレットを無料でお届けします。

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スーパーマーケットに「乱獲や、過剰に獲られた魚ではなく、持続可能に獲られた魚を買いたい」という消費者の声を届けてください。

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グリーンピース・ジャパン

ライターについて

グリーンピース・ジャパン
グリーンピースは、環境保護と平和を願う市民の立場で活動する国際環境NGOです。世界中の300万人以上の人々からの寄付に支えられ、企業や政府、一般の人々により良い代替策を求める活動を行っています。ぜひ私たちと一緒に、行動してください。

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