こんにちは、ドイツ出張中のエネルギー担当の高田です。

これから数回にわたり、ドイツやヨーロッパの原発やエネルギー関連情報を書いていこうと思います。

第1回目は、脱原発を決めたドイツでの産業、雇用、そして投資への影響について。

世界第4位の経済大国ドイツは、決して「環境にいいから」という理由だけで脱原発を決めたわけではありません。

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ドイツが脱原発を決めた本当の理由
環境NGO「グリーンピース」トーマス・ブリュアー気候変動エネルギー部門長に聞く
(2011年11月11日 日経ビジネス 復興ニッポン)
http://www.nikkeibp.co.jp/article/reb/20111108/289865/?ST=rebuild

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脱原発に向けた議論が活発化する中、グリーンピースは、ドイツのエネルギー政策を学ぶ講演会を2012年3月9、10の両日、福井県で行いました。

元ドイツ銀行の金融アナリストでありグリーンピース・ドイツでエネルギー部門長を務めるトーマス・ブリュアーが講師をつとめ、県内外からの約150人が聴講しました。

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講演の様子をUstreamでアーカイブしていますので、ご覧ください。
● 前編:
● 後編:

● 講演資料:
なお、講演中に参照したデータで、廃炉の雇用に関するものは電力会社への聞き取りをもとにしています。それ以外のデータはすべてドイツ政府発表によるものです。
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講演の内容をボランティアの方が文字起こしをして下さいました(ありがとうございます!)

―――― 以下、講演録です―――――

「ドイツの最新エネルギー政策を学ぶ ――原発から自然エネルギーへ生み出される地域経済と雇用」
講師:トーマス・ブリュアー (2012年3月9日)

「今回再来日になりますが、日本に、そして福井に来ることができて大変光栄です。去年の4月に来日しまして、福島に入って放射線の測定を行いました。

去年の10月には福島県以外の県を訪れ、日本各地の様々な人々とお話をする機会がありました。その際、ドイツの事例、ドイツが自然エネルギーを導入したことの経緯や、そういったことを地元の方々、政治家の方々、メディア関連の方々とお話しする機会がありました。

日本で話をする際、日本の方々がドイツでどんなことが行われているか、ドイツの自然エネルギーの導入に関して高い関心を示しているということに感心し、これは非常にいいサインではないかと感じています。

私個人の経歴としては、私は特に環境問題の専門家ではありませんでした。私の専門は経済学でした。最初に私がグリーンピースにボランティアとして参加した時には、まさか私がグリーンピースの専従職員になるとは思っていなかったのですけど、当初から私の一番高い関心は原子力・原子エネルギーでした。

原子力の歴史、それから原子力と人権の関係というのを見ていくにつれて、原子力発電には大きな不公正というのが関わっているということに気付き始めました。私自身、2歳の息子がいるのですけど、地元のハンブルグの原子力発電所が技術的な問題から閉鎖が決まり、息子に安全な環境を残せるということでとても喜んでいます。

原子力に関しては、そのリスクや失敗の歴史など、多くを語ることができますし、本会の時間をそれにすべて費やすこともできますが、今日はむしろ「原子力」というより、自然エネルギーに転換することがどれだけ合理的な判断か、つまり、原子力発電に賛成か・反対かということを乗り越えてお話ししたいと思います。

ドイツ政府が脱原発に舵をきった、ということは3.11後の特に国民からの声もあります。25万人規模のデモがおこったり、あるいは毎週月曜日に大きな市民デモがドイツ40都市で開催され、最終的にはドイツ政府は非常に合理的な決断をしました。

まず、ドイツ政府がなぜ、原子力を段階的に廃止して、自然エネルギー導入に踏み切ったのか、それにはどういった事柄が考慮されたのか、当然化石燃料・化石炭燃料に関してもドイツ政府はいろいろ考えたのですけれども、それについて少しお話します。

まず第一に挙げられるのが、エネルギー安全保障だということがあげられるでしょう。ドイツは日本と似ているのですけれども、エネルギーの原料のほとんどを輸入に頼っています。原子力発電に必要なウランは100%、それから原油は90%、それから良質な石炭は60%が輸入です。

そうしたことから、他国への依存からドイツを開放する、ということが非常に大切になってきます。自然エネルギーはすでにドイツの国内にあります。地熱はドイツの土地から発生します。つまり、自然エネルギーへの転換は非常に合理性があるということです。

第二の点は、エネルギーコストの抑制効果というものが自然エネルギーから期待できます。自然エネルギーというと、しばしば短期的なコストのことが話されますが、電気料金にどのようなポジティブな影響があるか、ということも考えていかなければなりません。

この二点目のコストの抑制というのは、一点目のエネルギー安全保障とも密接に関係しています。エネルギーの原料を海外から調達するということは、世界の市場において取引するということですから、そういった原料の世界市場における価格の変動にさらされるわけです。特に、近年中国やブラジルなどの新興国でエネルギー需要が高まっています。そういった国はもっと多くのエネルギーを必要としていることを考えると、自然エネルギーへの転換というのは非常に合理的であり、さらにエネルギーの独立を手に入れる、という面でも合理的な判断だということが言えます。

三点目ですが、自然エネルギーの導入というのは工業国としてのドイツにとっても非常にポジティブな影響を与えます。特に、自然エネルギーの分野というのは世界の経済面においても非常に急成長を果たしている分野です。そのことから、経済への効果も期待できますし、それに付随して雇用にもポジティブな効果を期待できる分野です。

2008年から2009年にかけて起こった世界的な経済危機の中においても、ドイツは比較的安定した地位を保つことができました。その理由の一つに、ドイツは自然エネルギーに大規模な投資をしていたおかげでドイツが外国から受けた影響を低く抑えることができた、ということがあげられます。

最後の点は、気候変動、それから二酸化炭素の排出削減にかかってきます。ドイツは2020年までに原子力を40%削減するという世界でも最も野心的な目標をもっています。その目標にも非常にポジティブな影響を与えるのが自然エネルギーであるといえます。

ここからはドイツの現状についてお話ししたいと思います。

2010年のドイツで原子力が発電に占めた比率は24%でした。それが2011年の段階ではすでに、14~16%に下落しています。これに対して、自然エネルギーの比率は2011年に20%に達しました。それによって回避された二酸化炭素の排出量は2010年には1億2000万トン、2011年には1億3000万トンです。

さらに、自然エネルギー発電所への投資額は、2010年の2兆7100億円、2011年は2兆3000億円の規模になっています。福井県のような自治体にとって最も関心があるのはおそらく次のことでしょう。投資が行われて設備が作られたときに、そのような新しい設備からどのような経済効果が表れるのか、ということは地元の地域にとってとても大事なことだと思います。補修維持、サービス関連の雇用など、そういったものが生まれます。

ドイツがエネルギー政策の方向転換をした背景にはこうした客観的な事実がありました。そして既に自然エネルギー産業というのは2004年から2010年にかけて、約20万人の新しい雇用を生み出しています。ですから自然エネルギーへ転換するというのは、こういった経済的にも非常に理にかなった判断であるということが言えます。当然の生産の持続性もありますし、経済的にも持続性のあるエネルギーの生産であるということが言えます。

原子力を見たときに、確かに原子力発電というのは大きな利益をもたらすかもしれません。しかしその利益を享受できる地域というのは非常に限られていると思います。ひとつの村ですとか、ひとつの町に限られているということが言えます。それに対して自然エネルギーの恩恵というのは中央集権化された原子力とは対照的に広く利益を分散するという特徴があります。

多くの村や町が自然エネルギーの恩恵を享受でき、更にそれには多くの雇用や税収といったものが含まれています。それが分散されるということがひとつの自然エネルギーの特徴であります。自然エネルギーについて、原子力と違う点でひとつ言えることは、非常に労働集約型だということです。経済ということを考えたときに、経済の目的というのは単に利益を上げることではなくて、その経済の中でどういった仕事が生まれるのか。これが経済の非常に重要な側面だと思うのです。ドイツ政府は2050年には発電に占める自然エネルギーの割合を80%にするという高い目標を掲げています。

ドイツの現在の自然エネルギーの導入率は、先ほど見ていただいたように20%なんですが、ドイツ政府がかかげている目標が、ここに示した通り2020年には35%、それを段階的に引き揚げていって2050年には80%という高い目標を掲げています。加えて2010年のドイツ議会の専門委員会は、ドイツは2050年までに100%自然エネルギーでエネルギーの需要を満たすことが可能と明確に述べています。

ドイツの自然エネルギーの方向転換を後押ししているのは、ドイツ国民とドイツ政府だけでなく、ドイツの産業界もこれに加わっています。ドイツの有名な企業シーメンスという会社も、その原子力部門を売却しました。フォルクスワーゲン社も、今後洋上風力発電に10億ユーロを投資することを発表しました。こうした変化が今ドイツでは起きているわけです。

さらには ドイツの最大の鉄道会社も政府の掲げる自然エネルギーの導入目標に足並みをそろえるように同じ方向に向かって進んでいます。

ドイツにおける自然エネルギーの設備容量の推移をご覧ください。1990年に、ドイツで初めて自然エネルギーを導入する法律が可決されました。1990年に、自然エネルギーの導入が法制化されて、棒グラフで示されている通りそれからしばらくの間、数年間はあまり変化がなかったのですが、しかし 1998年にドイツのみならず、EUでエネルギーの市場が自由化されたことによって、限られたエネルギー供給会社にエネルギーを独占されるという体制から、EUは自由になることができました。

2000年に、又もう一つ非常に重要な出来事がありました。ドイツで自然エネルギーの固定価格買い取り制度の導入です。これによって、自然エネルギーを優遇する自然エネルギーの送電網への優先的な導入ということが図られて、送電会社も自然エネルギーから自然エネルギーによって作られる電力の買い取りを義務付けられました。

当然こうした動きに対して、電力企業は大きな不満を表明しましたが、一方でグリーンピースのドイツ支部は1998年に、グリーンピースエナジー社という電力会社を設立しました。自然エネルギーによってドイツはエネルギー需要を100%満たすことも可能なんだということを証明すること、それから固定価格買い取り制度がいかにいい影響を与えることを示すことが目的でした。

これに対して電力会社は、非常に大きな不満を表明しました。

この期間中、当然電力会社からの抵抗はすさまじいものがありました。電力会社がグリーンピースを訴えた回数は400件を超えました。当然 こうした自然エネルギーを推進していこうとするグリーンピースだけではなくて、他の機関に対する攻撃もすさまじいものがあり、ほかの団体も同じような経験をしています。

それがどういうことを示しているかと言いますと、たとえ自然エネルギーを優先するような法整備がなされたとしても、必ずしもすぐバラ色の世界が実現するわけではない、それを実行していくには大きな努力が必要になってくるということが、ドイツの経験が示していると思います。

さらに 2000年に起こったもう一つの大事なことは、ドイツの原子力発電所を段階的に廃止していくことが最初に決められた年です。なぜこの年は非常に大事かというと、ドイツが自然エネルギーへの方向転換を表明したことによって、多くの投資家の関心を、自然エネルギーという新しい分野に向けることができたからです。

特に固定価格の買い取り制度の導入によって、自然エネルギー産業分野にも競争が生まれました。当然自然エネルギーの導入に際して、最初の段階では非常に多くの人々が懐疑的になります。それは投資家にも同じことが言えます。私自身そういった世界に住む人間でしたので、これは自分の経験に照らし合わせてもよくわかるんです。

投資家という人間は、非常にわかりやすいシンプルな人間です。彼らは電卓をたたいて、これが合理的な選択かどうかを判断します。当然 その重要性というのは明白だと思うんです。なぜお金が必要になるかというと、自然エネルギーを推進していくにも、設備を建設したりそういったことにお金が必要になってくるからです。同時に、たとえば 関西電力が自然エネルギーを導入したくないという理由をこれで説明できると思います。ライバルが出現するということを、関西電力は歓迎しませんから、自然エネルギーを積極的に導入しようという動きは、むしろ電力産業の外から出て来るものだと思います

ドイツでの、自然エネルギーの取り組みというのはまだ始まったばかりと言えます。自然エネルギーには、さらに別の長所もあります。みなさんのような普通の市民の方が、直接エネルギーに関与することができることです。たとえば、共同組合を設立して太陽光のパネルの設置を進めていく。こうしたことがドイツでも10年間色々試されてきて、今も試行錯誤を続けています。

ドイツの実例を見てみますと、その地域によってある程度の導入の格差がありますけど、自然エネルギーで100%エネルギーの需要を満たしている地域(エネルギー自立地域)もあります。そういった地域では、市民がエネルギーの生産手段を所有していて、太陽光やバイオマス発電が行われているのです。

ドイツが、なぜ自然エネルギーに方向転換したかのさらなる理由というのがあります。

いくつかに関しては、すでに触れたと思うんですけど、自然エネルギーを導入する際に
投資が必要になってきます。ドイツでは、2010年9600億円が自然エネルギーに投資されました。ただ この数字だけを取り上げて、自然エネルギーがコスト高というのは自然エネルギーに関して不公正な比較だと思うんですね。この自然エネルギーには、すべてのコストが入ってますが、原子力や化石燃料発電が語られるときには、ほとんどの場合すべてのコストが考慮されていません。

先ほども触れましたが、自然エネルギーから得られる経済的効果というのは、主に三点あります。一つ目は、原料を海外からの輸入に頼らなくてよいことによる節約の経済効果、それが6800億円、2010年にありました。

もう一つの経済効果というのは、自由化されたエネルギー市場に自然エネルギーを導入することによって、エネルギー価格全体を下げるポジティブな影響を与えること、2010年のその経済効果というのが3200億円ありました。

三つ目の点は、グリーンピースのような環境団体がもっとも注目する分野なんですが、化石燃料の使用に伴うどういった外部コストが、自然エネルギーによって回避されるという点。外部コストというのは、環境破壊や健康への影響などのことで、化石燃料使用が生み出すこういう悪影響を、どの程度回避することができたのかの経済効果は非常に重要な指標になってきます。

このように見ていきますと、自然エネルギー利用コストに比べても、ドイツでは、自然エネルギーからの利益のほうが大きかったということが証明されます。実際に、2010年ドイツ社会が享受した利益は、9000億円に達しました。こうしたことから、原子力や化石燃料の使用に対して、賛成か反対ということは置いておいても、実際に自然エネルギーの導入というのは、経済原則にかなっているといえるのです。

先ほど 自然エネルギーと既存のエネルギー、原子力や化石燃料の比較が往々にして不公正という風に申しましたが、ドイツの原子力業界で、どういった隠されたコストがあったのかということについて少しお話します。

過去60年間ドイツ政府が、原子力産業へ投入されたお金直接、間接的に与えられた補助金や優遇策の数値がこちらのスライドに示されています。累計24兆円以上ものお金が、この期間に投入されている。これにさらに今後原子炉が廃止されるまでにも、11兆円以上が、原子力産業に与えられるわけです。これは日本の状況にも、多かれ少なかれ当てはめることができるでしょう。

仮に日本政府が、自動車産業においてトヨタ社だけにこうした財政支援を与えたとするならば、他社はそれに競争するのはとても大変なことになりますし、それによってトヨタ社は、当然、非常に安い価格で商品を提供することができます。そういった不公正な状況が電力分野では作り出されているのです。

グリーンピースでは、同じような計算をドイツの石炭産業にも行いました。石炭産業の場合は、原子力よりももっと大きな財政支援がなされていて、3000億ユーロにのぼることが判明しました。

今回福井県を訪れるに先立って、福井県にとっても関心の高いと思われる、廃炉に関するデータというのも見てきました。ドイツの事例というのをいくつか取り上げてみました。

こちらのスライドであげた廃炉される原子炉というのは、昨年の3.11以前から廃炉が決まっていた原子炉で、一番上のオブリハイム原発はドイツが最初に原発の廃止を決めたときに、廃炉が決定された原発です。雇用数の変化を見ていただきたいのですが、この原発が稼働していた時の、2002年の時点での雇用数が249人であったのに対し廃炉の段階にはいってからの雇用数は、2011年の段階では325人に増えています。

この二つの数字の違いというのは、単に数字の違い以上に作業の内訳、雇用の内容についての違いがあります。

2002年における249人というのは、原発に直接雇用されていた人々ですけども、廃炉段階にはいると直接雇用の人数は減ったものの、廃炉に有効な人数を提供できる地元の人々などの雇用というものが発生してきます。運搬関連ですとか、こういった仕事作業というのが生まれるわけです。実際私がこのデータを集めてこの数字の違いはむしろ増えるようなこともあるということも、私にとっては驚きだったんですね。こうしてみると、廃炉段階にはいっても雇用は比較的安定しているということが多くの事例から確認することができました。

廃炉作業の進行に伴って雇用人数というのはある程度変動します。しかし、この数字を見ていただくとわかるように、比較的小規模な変動だということがいえます。一番下の1997年から2011年の間かけても、減った雇用の数というのは非常に少ないといえるのではないでしょうか。

それから原発の廃炉を考えていったときに、当然廃炉には非常に長い時間がかかるわけです。燃料棒を取り出してドライストレージに入れられるまでには、まず5年間の期間がかかります。5年後になってようやく燃料棒を取り出すことができるわけです。そして、そこから廃炉の本体工事が始まるわけですけれども、ドイツでは平均これに約12年間かかると見込んでいます。つまり廃炉には、約17年間の歳月を必要とするということがまず一ついえます。

それから前のスライドをご覧ください。
2010年のドイツの自然エネルギーの設備容量というのは、確かに55000メガワットと非常に大きいのですが、ここから先ほど申し上げた17年間という廃炉作業を適用しますと、17年間遡ってみていただきますと2010年から17年前の1993年時点での設備容量というのは、わずか5000メガワットだけです。この間に自然エネルギーの設備容量というのは飛躍的に増大したわけです。

それと同時にこの期間中原発の雇用数も先ほど見ていただいたように比較的安定していました。そして17年という期間というのは、既存のエネルギーから新しい自然エネルギーに転換するためその地域がそれに対応する十分な調整期間であるということがいえると思うんです。

さらには 福井県を考えてみますと、福井県はすでに日本最大数といえる原子力発電所が設置されている、非常に豊かな電力供給のインフラがすでに整っているということがいえると思う。送電網もすでに整備されている、その点からみると、他県に比べて非常に優位な立場にあるということがいえると思うんです。もう2ページお見せします。

地域がどういった収入を見込めるのかということに関しですが、たとえばドイツの場合、農家が電力事業者に対して自分達の屋根のスペースですとか、土地の一部を提供するケースとかあるんですけれども、そうした場合事業者があげた収益の4%から7%が農家に還元されている事例があります。

一つの例として、たとえば2メガワットの風車の設置を許可した農家があったとします。その農家は、それによって年間約163万円(概算)の収入を保証されます。太陽光発電平均的な中規模な200キロワットの太陽光パネルを設置した場合は、年間約23万円の収入が保証されます。

ドイツでは、太陽光に関しては二つのシステムがあります。もう一つのシステムにおいては、太陽光パネルを設置すると決めたときに、その農家に対して初期費用として一回のみの収入ですけども、一キロワットあたり1万円から3万円のお金が支払われます。

このようによって、自然エネルギーからの収入は、広く分散されるということがいえます。それから自然エネルギー設備からの税収も、たとえばドイツにおいては、自然エネルギーから得られる税収の70%は地元に提供されなくてはならないという法律もあります。

最後に、福井県の自然エネルギーのポテンシャルを示した、この地図があります。これは日本の環境省のウェブサイトからもってきたものです。

この図に示されている赤い部分というのがもっとも再生可能なエネルギーのポテンシャルが認められている地点です。オレンジはそれより少しポテンシャルが下がったところです。このように極めて広く再生可能なエネルギーの可能性が、福井県に存在していると言えます。

それから、海に見える黄緑色は、洋上風力発電を示したものです。もし洋上風力発電事業を実行する場合、企業参入による大規模な投資が必要とされるとかんがえられます。仮にたとえば福井県が原子力発電に固執し、近隣の他県が、自然エネルギーの導入に踏み切った場合、長期的に見れば、福井県は自然エネルギーの分野で後れをとってしまうということになりかねません

自然エネルギーの分野にも競争の原理が働きますから、早く参入したものにはそれだけの恩恵というものが与えられるわけです。たとえば、20年後30年後に自然エネルギーというもののポテンシャルに気付いたとしても時すでに遅し、あとの祭りだといえるものです。自然エネルギーというのが今後公平な形で市場に参入した場合、原子力や化石燃料を駆逐していく力というのがここにはあります。自然エネルギーの導入というのは早くやろうことにこしたことはないんですね。

ドイツの事例に関して私の話は以上です。みなさんご清聴ありがとうございました。」

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講演の様子をUstreamでアーカイブしていますので、ご覧ください。
● 前編:
● 後編:

● 講演資料:
なお、講演中に参照したデータで、廃炉の雇用に関するものは電力会社への聞き取りをもとにしています。それ以外のデータはすべてドイツ政府発表によるものです。
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グリーンピース・ジャパン

ライターについて

グリーンピース・ジャパン
グリーンピースは、環境保護と平和を願う市民の立場で活動する国際環境NGOです。世界中の300万人以上の人々からの寄付に支えられ、企業や政府、一般の人々により良い代替策を求める活動を行っています。ぜひ私たちと一緒に、行動してください。

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