海洋生態系問題担当の花岡です。

グリーンピースが昨日発表した海藻調査の暫定結果が、今朝(5月13日)の朝日新聞に掲載されました。高い数値が検出されたことはもちろんですが、この記事のもう一つの注目は「水産庁幹部」のコメント:「魚介類を優先してきたが、海藻の漁期を控え、調査を強化する。ただ、実際に市場に出回る養殖の海藻などを調べるのが目的で、浮遊物などを対象にしたグリーンピースの調査とは異なる」。

まず、グリーンピースの要請を受け、水産庁が海藻調査の強化に着手することを、私たちは歓迎します。3号機からの更なる放射能水の海への流出や、1号機のメルトダウンなど、福島第一原発による海洋汚染は深刻度を増す一方です。海藻は移動することがほぼないため、その海域への放射能汚染の影響を調べるための指標となります。また海藻類そのものだけでなく、海藻類を餌とするウニやアワビの漁期も始まるため、漁業関係者や消費者の安全性を確保するためにも、この調査を緊急、綿密、そして継続的に行い、その結果を公表する必要があります。

調査対象が異なるとの水産庁幹部のコメントについても、歓迎します。そもそもグリーンピースが浮遊している海藻をサンプリングしたのは、調査船「虹の戦士号」の領海内での調査の許可が日本政府から下りなかったからです。当然、領海外に浮遊している海藻よりも、沿岸域に根付いている海藻類を、しっかり検査していただきたく思います。日本政府による調査結果の発表やその経過を、私たちの調査にご協力いただいたたくさんの地域の漁業関係者の方々と共に、注目していきます。

もちろん、調査の実施だけでは十分とは言えません。グリーンピースが海藻調査の暫定結果発表と同時に日本政府へ提出した要請書にある通り、まずはその調査により漁業関係者や消費者の安全性が確認されるまでの間、海藻類の収穫を一時中止すること。そしてそれより漁業関係者が受ける被害を全額補償することが求められます。

さらに、この緊急時に正確な情報を入手し発表するためにも、やはり政府や都道府県だけでなく、第三者機関による調査が不可欠と考えます。海洋汚染はもはや国内だけでなく、国際的に大問題となっています。サンプリングの妨害など、私たちグリーンピースをはじめ専門機関による調査活動を限定するような動きは、すぐにやめていただきたく思います。

グリーンピースは来週にも、このたび沿岸域および領海外で行った調査結果の詳細を発表する予定です。

グリーンピース・ジャパン

ライターについて

グリーンピース・ジャパン
グリーンピースは、環境保護と平和を願う市民の立場で活動する国際環境NGOです。世界中の300万人以上の人々からの寄付に支えられ、企業や政府、一般の人々により良い代替策を求める活動を行っています。ぜひ私たちと一緒に、行動してください。

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