作物を植え育て、食べること。それは私たちを生かし、文化を豊かにし、地域の絆を強くするものでもあります。

しかし、現代のグローバルな食料システムは、生態系の劣化に拍車をかけ、地球環境や人権への巨大な脅威となっています。多国籍企業の収益を最大化するため、原生林を切り開き、化学製品を大量に投入し、あるいは種子の特許で農家を縛り、集約的に収穫を上げる工業的な農業モデルは、消費者の安心や健康、農家の生計を損ない、破綻に向かっているのです。

レポート「生態系農業:人を中心とした食と農業の未来像 – 7つの原則」は 、自然と生物多様性のもつ力を引き出し、農家の経験と、最新の科学と技術革新をふまえた農法である生態系農業 (Ecological Farming) の原則を明らかにし、現代の食料システムの問題を解決する可能性を示しています。

生態系農業には有機農業と重なる部分が多くあり、生態系と共存する食料システムを紡いでいくための重要な鍵の一つです。そして、地産地消、そして食料主権をすすめるムーブメントとともに、ここ十数年の間に世界各地で成長し、工業型農業モデルに対抗するまでに発展してきました。

気候変動の脅威が大きくなる今日、あらためて生態系の作り手と食べる人とが共に力を合わせ、食を問題の「原因」から「解決策」へ、本来あるべき姿へと、回復させるヒントが詰まっています。

主な内容序文:食はいのち

  1. はじめに 

食料システムは破綻している

  1. グリーンピースの食と農業ビジョン:7つの原則 
  • 食料主権
  • 農家と地域社会へもたらす利益
  • 経験と科学にもとづく生産方法と産出高 
  • 生物多様性と多様な種子のシステム
  • 持続的な土壌の健全性とよりきれいな水
  • 生態系に対して害のない害虫防除
  • 気候変動に強い食料生産
  1.  グリーンピースの7つの原則の科学的裏付け 
  1. 結論 

英語版
原題:Ecological Farming: The seven principles of a food system that has people at its heart 
発行:グリーンピース・エクセター研究所  2015年5月  

日本語版
発行:グリーンピース・ジャパン 2015年10月
監修協力 古沢 広祐(國學院大学教授)      
田坂 興亜(アジア学院理事、元国際基督教大学教授)