国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは(東京都新宿区、以下グリーンピース)は本日、報告書『福島第一原発 2011-2021年:除染神話と人権侵害の10年』を発表しました。本報告書では、福島県飯舘村南部の民家、浪江町の民家などの放射線測定調査から、再汚染が起こっている状況について報告しています。また、森林のほとんどが除染の対象となっていないことから、政府が計画を策定し除染事業を進める特別除染地域(SDA)の85%が除染されていないことが示されています。



<報告書概要>

『福島第一原発 2011-2021年』

グリーンピースの放射線専門家チームは2011年3月26日以降、過去10年間で32回の調査を実施してきました。主な調査結果は以下の通り。

  • 政府のデータを分析すると、政府が除染の責任を負う840平方キロメートルのSDAの大部分が放射性セシウムで汚染されたままであり、除染された面積はSDA全面積の15%程度に過ぎない。
  • 政府の長期的な除染目標である毎時0.23マイクロシーベルトがいつ達成されるのか、その時期は決まっていない。住民は、公衆被ばく限度の年間1ミリシーベルトを超える放射線に何十年もさらされることになる。
  • 2017年に避難指示が解除された地域、特に浪江町と飯舘村では、放射線レベルが安全といえるレベルを超えたままであり、住民を潜在的ながんリスクにさらす可能性がある。避難指示の解除を継続する計画は、公衆衛生の観点から受け入れられない。
  • 2018年まで、SDAの除染にはのべ1300万人の除染作業員が雇用されていた。労働者のほとんどは低賃金の下請け業者であり、限定的な効果しかない除染プログラムのために、不当な放射線リスクにさらされてきた。

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