INC4会場のショーセンター前でプラスチック生産削減の横断幕を掲げるグリーンピースのメンバーら
(カナダ・オタワ、2024年4月21日)
INC4会場のショーセンター前でプラスチック生産削減の横断幕を掲げるグリーンピースのメンバーら
(カナダ・オタワ、2024年4月21日)

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)と世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン、同区)は4月30日、カナダ・オタワで同日閉幕した、プラスチック汚染防止のための国際条約づくりを議論する第4回政府間会合(INC4)についての報道関係者向けオンライン報告会を開き、今回の会合の主な成果とその意義について説明しました。

今回の政府間会合では、前回合意された国際プラスチック条約の改訂草案を元に、その具体的内容について議論が交わされました。草案の整理や、次の会合までの作業部会の開催が合意された一方、肝心の規制内容については、原材料となる石油の採掘とプラスチック生産量を規制対象から除外するよう産油国などが求めたことで、プラスチック生産制限に関する言及を条文に盛り込むことができないまま、妥協的な結果に終わりました。

4月30日夜に開かれたオンライン報告会には、報道関係者約50名が参加。現地でオブザーバー参加したグリーンピースとWWFの担当者が、今回の会合のポイントと国際NGOの視点から見た成果・課題について解説しました。

グリーンピース・ジャパン、シニア政策渉外担当の小池宏隆は、交渉において各国の意見交換が十分でなく、プラスチック生産規制の義務については合意に至らなかったと指摘。また、資金調達に関する議論についても「先進国が民間資金などの活用を主張する一方、途上国側は新しい基金の設立を求めるなど、条約義務を実施するための資金をめぐって両者に大きな隔たりがあった」と述べました。今回の議論を踏まえ、今後の会合間作業に向けて各国が準備を進めていく必要があるとしています。

WWFジャパンの三沢行弘・サーキュラーエコノミー・マネージャー兼プラスチック政策マネージャーは、「明確な年限目標を条約に追加すべき」という日本の主張を評価しながらも、生産制限に対する消極的な姿勢を批判。「自国の状況によってルールを定めるべきだと主張する多くの国々によって議論が難航した」と今後の交渉の行方に懸念を示しました。

最終回となる次回第5回政府間会合(INC5)は、今年11月に韓国・釜山で開催されます。またINC5に先立ち、会合間作業が8月にタイ・バンコクで開かれ、リサイクルされず使い捨てられるプラスチックや化学物質、製品設計と資金についての検討作業が行われる予定です。