記者会見でプラスチックによる環境と健康に対する影響を指摘し、生産量の削減などを訴えるグリーンピースら(2024年4月23日、オタワ)

プラスチック汚染防止のための国際条約づくりを議論する第4回政府間会合(INC4)が4月23日、カナダ・オタワで開幕しました。政府間会合には日本も参加しており、今回の会合では、前回会合でまとめられた改訂草案をもとに、プラスチック生産の一律生産規制の可否など、条約の具体的な内容を決めていくことが主な焦点となっています。グリーンピースは同日、オタワのショーセンターで、米国のアフリカ系アメリカ人コミュニティー団体ディセンダント・プロジェクト(注1)と共同で記者会見を開き、プラスチック生産規制の重要性を訴えました(注2)。

会見にはグリーンピースの代表団のほか、ディセンダント・プロジェクトのジョー・バナー事務局長、環境問題に関するニュース配信を行う米メディア・エンバイロメンタルヘルスニュース(注3)のピート・マイヤーズ博士が出席しました。

プラスチック汚染の影響を最も大きく受ける国の一つのフィリピンで活動するグリーンピース東南アジアのゼロウェイストキャンペーン担当、マリアン・レデスマは「十分な処理施設のないグローバルサウスに、先進国が多量のプラスチックごみを輸出してきた構造は廃棄物植民地だ」と指摘。人類が住み続けられる地球環境のためにプラスチック生産の75%削減を求めました。

ディセンダント・プロジェクトのバナー事務局長は「ルイジアナ州のがん回廊と呼ばれる地域で、プラスチック生産によるコミュニティーの環境と健康への破壊的影響を目の当たりにしてきた」と話しました。同団体が活動するルイジアナ州のリバーパリッシュズは石油化学施設などが多く点在し、多くの有色人種の住民が健康被害を訴えています。

また、環境ホルモンについて警鐘を鳴らしたベストセラー『奪われし未来』の著者でもあるマイヤーズ博士は、「プラスチックに添加される化学物質の数はこの30年間で激増し、人体に入り込んだマイクロプラスチックと心臓発作などとの関連性も研究されている」と人間の健康に対する懸念を訴えました。

INC4は4月29日まで開催され、法的拘束力のある国際ルールについて議論される予定です。これまでの議論では、産油国がプラスチック生産規制に反対するなど、各国の主張に大きな隔たりがあり、今回の会合では、改訂草案を元にどこまで議論が進められるかが注目されます。

記者会見の様子は、こちらのリンクから全編視聴可能です。

(注1)米国ルイジアナ州のリバーパリッシュズにおけるアフリカ系アメリカ人コミュニティの健康や土地、生活を保護する団体(団体HPはこちら

(注2)グリーンピース・インターナショナル プレスリリース(2024年4月23日発表)

(注3)科学的根拠を公的議論や政策に反映させることを目的に、気候変動を含む環境問題に関するニュースを発信している組織(HPはこちら