米バイデン政権は1月26日、液化天然ガス(LNG)輸出の承認を一時的に停止すると発表しました。(注1)化石燃料のLNGは、気候変動の脅威を引き起こしています。安全なグローバル・エネルギー・システムを確保し、気候危機を回避する最善の方法は、太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギー普及を加速させ、エネルギーの需要削減と効率化の取り組みを強化することです。

グリーンピース・インターナショナル(本部)国際プログラム・ディレクター、カーメン・グラバット

「LNG輸出の新規承認をすべて停止するという賢明な決定を米国が下すことで、気候変動に生命線を与えることができたことを嬉しく思います。もし米国がパリ協定の約束を真剣に守るつもりなら、この一時停止を恒久的なものにする必要があります。2050年までにネット・ゼロを達成し、平和で住みやすい地球を確保するためには、新たな石油とガスの輸出を止めなければならないと、世界の気候機関は長い間警告を発してきていました」


グリーンピース・ジャパン プロジェクト・マネジャー、高田久代

「ガスは現在、日本においても重要な社会インフラの一つとして私達の暮らしを支えています。石炭や石油など、より多くの温室効果ガスを排出する燃料と比べ、ガスは排出が少ないためネットゼロ実現に向けた『移行燃料』とされます。しかし今回の発表に見るように、『地球沸騰化』時代に突入した世界において、もはやガスは移行燃料ではありえません。この措置による日本への供給に影響はないと言われていますが、化石燃料であるガスからの脱却は今後も世界各地で進んでいくことは避けられません。難題ですが、日本においても、健康や快適性・効率の増進につながる形での省エネと、地域や自然と調和する形での再生可能エネルギー導入の拡大を大きく進めていくことを、政府は今年策定の議論が進む第七次エネルギー基本計画などにおいて加速する必要があります」

以上


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(注1)1月27日 NHK 米 バイデン政権 LNG輸出許可一時停止 気候変動対策アピールか