国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は、アラブ首長国連邦・ドバイで現地時間の12月13日、国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)が閉幕したことを受け、以下の声明を発表しました。グリーンピースの代表団は、同会議にオブザーバー参加していました。

グリーンピースCOP28代表団、カイサ・コソネン代表

「COP28の成果文書に『化石燃料の段階的廃止』は盛り込まれませんでしたが、1.5度目標と科学的見地に沿った化石燃料からの公平な脱却が、持続可能な形で実施されるためには、その段階的廃止が必要となります。また、途上国の再生可能エネルギーへの移行などに必要な資源を、十分に確保するものでもありませんでした。今回決まった多くの目標を実現するためには、先進国が途上国への財政支援を大幅に強化し、気候変動悪化に大きな責任のある化石燃料業界に代償を支払わせる必要があります。

1.5度目標に沿わない化石燃料関連の拡大計画すべてを、今すぐ中止することが喫緊の課題です」

グリーンピース・ジャパン シニア政策渉外担当、小池宏隆

「今回のCOP28は、再エネ時代の幕開けと、化石燃料時代の終わりの始まりを象徴するような、重要な会合となりました。開会直後に損失・損害基金の運用が決まり、最終的に今回の目玉であるグローバル・ストックテイク(注1)成果文書(UAEコンセンサス)については、2030年までに、再エネを3倍、エネルギー効率を2倍にし、化石燃料からの脱却を加速することが盛り込まれました。

ただ、成果文書には、誤った解決策や、1.5度目標に沿わないアプローチも含まれています。特に衡平・公平性については、途上国が求めてきたものとは大きくかけ離れています。先進国には歴史的排出に責任をもって、化石燃料からの脱却を先導し、歴史的に排出責任がない国々が持続可能な発展ができるよう、資金と技術を供給することが求められています。

日本政府については、損失・損害基金に資金捻出を表明した、最初の国の一つとなった点は評価できますが、石炭火力発電に関する後ろ向きな政策によって今年も化石賞を受賞するなど、またしても脱炭素化におけるリーダーシップは発揮されませんでした。今年5月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)で、議長国としてまとめた合意である『対策のされていない化石燃料の段階的廃止』にさえ沈黙を貫くなど、歴史的なCOPにおいて終始傍観者にとどまりました。

2023年は観測史上最も暑い年となり(注2)、世界の炭素排出量は過去最高の368億トンに達しました(注3)。日本政府には総力をあげ、2030年までに再エネ3倍を国内でも目指すこと、化石燃料からの脱却で世界をリードしていくことを期待します」

(注1)パリ協定に基づいて各国が定めた温室効果ガス排出削減目標(NDC)の世界全体の進捗状況を評価する仕組み。

(注2)世界気象機関 プレスリリース(2023年11月30日発表)

(注3)Global Carbon Budget 2023(2023年12月発表)

以上