国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都港区)は、ケニア・ナイロビで現地時間の11月19日、法的拘束力のある国際的なプラスチック条約(注1)を議論する第3回政府間交渉委員会(INC3)が閉幕したことを受け(注2)、以下の声明を発表しました。グリーンピースは本政府間交渉委員会に代表団を派遣し、会議にオブザーバー参加しました。

ケニア・ナイロビでINC3前に行われた、プラスチックの生産削減を求めるアクション © Greenpeace

グリーンピース・アメリカ グローバル・プラスチックキャンペーンリード、グラハム・フォーブス

「国際プラスチック条約は、地球の気温上昇を1.5度以下にとどめるために、2040年までにプラスチックの生産量を少なくとも75%削減するものでなければなりません(注3)。プラスチック生産を削減しない限り、気候、生物多様性、人々の健康を守ることはできません。しかし、条約交渉の半分以上が終わった今、私たちは破局に向かって突き進んでいます。プラスチックは地球に住む81億の人々すべてに直接危害を及ぼしているにもかかわらず、各国・地域の指導者たちは事実上、石油化学企業をステークホルダーとして扱うことを選択したのです(注4)。

石油・ガス生産者に未来を左右されることなく、この状況を好転させ、有効なプラスチック条約の実現を確実にするためにあと1年残されています。2024年4月にカナダで第4回交渉が再開されるとき、各国・地域の指導者たちがこれまで以上のリーダーシップを示すことを強く求めます」

グリーンピース・ジャパン シニア政策渉外担当、小池宏隆

「今回の交渉で日本は、アフリカ諸国や太平洋小島嶼開発途上国など、プラスチック汚染の被害をまさに受けている国々からの声を聞くことなく、『汚染の蛇口を閉める』ために必要な上流規制には積極的ではありませんでした。日本は立場の違う国々の『橋を架ける』という発言がありましたが、実際には、一次ポリマーの生産規制においては、いくつかの東南アジア諸国よりも後ろ向きです。自国の社会を変革することに後ろ向きであるうえ、一部の大国の後ろ向きな姿勢を理由に、目標値を低くしようとする交渉姿勢は評価されません。

日本政府には、石油化学産業界ではなくプラスチック汚染問題を抱える国や地域の声にこそ耳を傾け、プラスチック汚染を発生源から終わらせる条約実現に向けて、より積極的な発言や行動をすることを求めます」

(注1)グリーンピース・ジャパン 声明(2022年3月2日発表)

(注2)国連環境計画(UNEP)発表(2023年11月19日発表)

(注3)Pacific Environment 報告書『Stemming the Plastic-Climate Crisis: Paris Alignment for Plastics Requires at least 75% Reduction』(2023年5月発表)

(注4)国際環境法センター(CIEL) プレスリリース(2023年11月15日発表)