日産自動車の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は9月25日、今後、欧州に投入する新型車はすべて電気自動車(EV)にすることを発表しました。グリーンピース・ジャパンのこれに対するコメントは以下の通りです。

内田社長が2030年までに欧州に投入する新型車はすべてEVとする目標を発表したことを歓迎します。9月25日の発表で、内田社長は「自然エネルギーを動力源とするEVの普及は、カーボンニュートラルを達成するための鍵となる」と述べており、日本を代表する自動車会社が先駆けて欧州市場においてEVに注力する姿勢を明確にしたことの意義は高いと言えます。

 国際エネルギー機関(IEA)は、2050年に世界のカーボンニュートラルを達成するためには、交通セクターについては、2030年には世界の乗用車新車販売の60%以上がゼロエミッション車となり、2035年にはこれを100%にする必要があるとしています(注1)。折しも、翌9月26日にIEAが公表した新しい気候変動対策の報告書の中では、内燃機関車からEVへの転換は、太陽光パネル導入と合わせて、2030年までに世界の炭素排出の3分の1の削減につながる、と予測されています(注2)。また、同報告書は、現在のEV用電池の生産計画は2030年までの需要を満たすことが可能な量であるともしています。

 実際に過去数年の世界的なEVの急速な普及には目を見張るものがあります。公共充電ステーションの設置の遅れなど課題もありますが、今後、技術革新が進んでいくことはほぼ間違いありません。EVのさらなる普及と公共交通機関の拡充によって、交通セクターの二酸化炭素排出の削減を加速化させていくことが求められています。

 今般の日産の発表は、欧州連合(EU)が2035年にガソリン・ディーゼル車販売を原則禁止とすることを前倒しする内容であり、今後、他の日本の自動車メーカーを含め、より多くの自動車会社が同様な野心的な計画を打ち出すことが強く期待されます。

(注1)International Energy Association (IEA) ‘Net Zero Emissions by 2050: A Roadmap for the Global Energy Sector’, May 2021, p. 135. 

(注2)International Energy Association (IEA) ‘Net Zero Roadmap: A Global Pathway to Keep the 1.5 degree Goal in Reach’, September 2023, p.55.

日産のロゴと日産EV車アリア(ARIYA)