国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区)は、英国で開催された国際海事機関(IMO)主催の会議(注1)で、日本政府が計画する東京電力福島第一原子力発電所の放射能汚染水の海洋放出をめぐる新たな科学的作業部会の設立が、日本政府代表団の強い反対などにより阻止された(注2)一方、国際原子力機関(IAEA)が、来年開催の同会議に、福島原発の放射能汚染水に関する情報を提示することを申し出たことを受け、本日、以下の声明を発表しました。

グリーンピースはIMOのオブザーバー資格を持ち、今回の会議に先立ち、長期保管のオプションや、トリチウム除去技術を含む汚染水処理のための最善の技術の適用を検討するための新しい作業部会の設置を提案していました(注3)。

グリーンピース東アジア シニア核問題スペシャリスト、ショーン・バーニー

「IAEAは、現在行っている日本への支援に関して、海への排出以外の選択肢を検討しているかどうか、もしそうであればどのように検討しているかについて、来年の締約国会議ですべて開示すべきです。グリーンピースは、東京電力と日本政府が、最もコストのかからない選択肢として放射能汚染水の太平洋への放出を選択し、放射性トリチウムの除去を含む最善の技術を意図的に適用しなかったと指摘してきました(注4)。気候変動や生物多様性の問題など、世界の海はすでに多くの脅威に直面しています。日本政府は、海洋放出計画による影響を懸念する多くの人々の声に真摯に向き合う責任があります。」

以上

(注1)あらゆる海洋汚染源の効果的な管理を促進する責任を持つ国際条約であるロンドン条約およびロンドン議定書(LC-LP)の締約国会議

(注2)韓国、中国、チリ、太平洋島嶼国のバヌアツ、パラオの各政府は、作業部会で放出の代替案を検討することに賛成の立場を示したが、日本の代表団はその設置に強く反対し、米国、英国、フランス政府もこれを支持した

(注3) グリーンピースがIMOに提出した提言書

(注4)グリーンピース報告書『東電福島原発汚染水の危機2020』(2020年10月)