国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は本日、東京電力福島第一原発敷地内に保管されている120万トン超の放射能汚染水について、海洋放出に反対する署名1万357筆を政府に提出しました。2019年に同様の反対署名4万1521筆を汚染水処理対策委員会に提出しているほか(注1)、グリーンピースの韓国事務所でも、これまでに13万筆以上の反対署名が集まっています。政府は今週にも汚染水の海洋放出を閣議決定すると報じられており、他にも国際環境NGO FoE Japanが国際署名約6万筆を政府に提出するなど、多くのNGOや市民団体が海洋放出を決定しないよう政府に強く求めています。

グリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー担当、鈴木かずえ

「政府が放射能汚染水の海洋放出を決定した場合、政府がこれまで開催した公聴会、ご意見を伺う場、漁業団体との会談は形だけのものに過ぎなかったことになります。民意は明確に反対を示しています。

放出される放射能については総量規制がなく、薄めさえすればいくらでも放出できてしまう現行制度では海洋環境が守れません。放出される放射性核種の中には、数千年、数万年の寿命を持つものもあり、仮に海洋放出が決定されれば、将来に大きな禍根を残します。また、実際に放出を行うのは東京電力ですが、同社は現在、原発の中央制御室への不正立ち入り問題など、放射性物質を扱う適格性が厳しく問われています。

環境や社会への計り知れない影響、東電の適格性を総合的に判断すれば、海洋放出という決定はとりえないはずです。日本政府は海洋放出計画ではなく、汚染水の陸上保管を続けながら、放射能除去技術の開発を進めるべきです(注2)」

以上


(注1)グリーンピースプレスリリース、汚染水問題、大量の放射能の環境放出に懸念

(注2)グリーンピース報告書『東電福島原発汚染水の危機2020』