©️Taishi Takahashi/Greenpeace

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は、東日本大震災ならびに東京電力福島第一原発事故の発生から10年となった本日3月11日、以下の声明を発表しました。また同日午前、グリーンピースの職員数名が国会議事堂前で「<忘れない>の代わりにできること」と書かれたバナーを掲げ、政府に原発ゼロのエネルギー政策への転換を求めました。

グリーンピース・ジャパン事務局長、サム・アネスリー

「東日本大震災と東電福島第一原発事故が起きたあの日から、今日で10年が経ちました。改めて、亡くなられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、被害を受けた方々にお見舞いを申し上げます。10年という時間の中で、壊れた建物や交通網、インフラは次々と修復され、私たちは大きな傷を抱えながらも、一歩ずつ前に進んできました。その一方で、この10年間は、これからの社会のあり方やエネルギー政策について、模索を続けてきた時間でもありました。

原発依存のエネルギー政策がもたらした悲劇から10年が経つ今、私たちはなお、エネルギー問題の岐路に立っています。原発事故を機に、日本政府は石炭火力発電を推進しましたが、それは気候危機の加速という別の問題を深刻にしただけでした。福島第一原発事故後、ドイツは原発の比率を22%から11%に減らす一方、自然エネルギーを17%から45%にまで増加させるなど(注1)、多くの国や地域が自然エネルギーへの転換へと舵を切りました。事故当事国の日本はこれ以上出遅れないように、問題の本質に目を向け、現実的で安全なエネルギー政策に一刻も早く転換すべきです。

これからの10年は、世界的な気候危機や生物多様性の喪失の壊滅的な影響を回避していけるかどうか瀬戸際の10年になります。分散型の自然エネルギーは、震災や気象災害などに比較的強くレジリエントです。自然を守り、命を守り、私たちの未来を守るため、グリーンピースは、原発事故を経験した日本から、持続可能なエネルギー政策への転換を今後も強く訴えていきます」

グリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー担当、鈴木かずえ

「これまでグリーンピースや報道機関が実施した、原発に関する意識調査では、多くの人が脱原発を望んでいます(注2)。にも関わらず政府は、そうした民意をないがしろにして、原発を次々に再稼働させようとしています。

東電福島第一原発事故は終わっていません。今でも、政府が把握しているだけでも3万人以上の人々が避難生活を続けています。全国で正当な損害賠償を求める裁判が続いています。一度除染された場所でも、放射能の移動によって再汚染が起こっています。事故を起こした東電福島第一原発では、綱渡りのような廃炉作業が続いており、毎日大量の放射能汚染水が増え、敷地内に貯蔵され続けています。

なすべきことは原発の再稼働を模索することでは決してありません。被害者への補償と、事故の収束、そして安全で持続可能なエネルギーへの転換こそ、何にも優先してやり遂げるべきことです」

以上


(注1)Agora Energiewende

(注2)国内の原発を今後どうすべきか?原発事故10年 NHK世論調査 (2021年3月2日)


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