国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は、東京都の小池百合子知事が、1月27日に開かれた世界経済フォーラムのオンライン会合「ダボス・アジェンダ」で、都内の温室効果ガス排出量を2030年までに50%削減(2000年比)すると表明したことを受け、以下の声明を発表しました。

グリーンピース・ジャパン 気候変動・エネルギー問題担当 鈴木かずえ

「東京都は現環境基本計画において、2030年までに温室効果ガスを、2000年比で30%削減するとしていました。また、2019年に発表されたゼロエミッション東京戦略では、『30%+アクション』を目標として、明確な数値はあげていませんでした(注1)。今回、2030年までに50%削減する方針を打ち出したことは、大幅な目標引き上げであり、歓迎します。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル) は、『悲劇的な結末』を回避するには、2030年までに二酸化炭素の排出量を2010年比で45%減らす必要があるとしています。今回の表明は、IPCCの目標にほぼ沿った(注2)ものである一方、東京都だけでは『悲劇的な結末』を回避することはできません。これまで、国や東京都の不十分な削減目標と足並みを揃えていた全国の自治体も、ただちに目標引き上げを検討すべきです。国は、2030年目標における温室効果ガスの削減目標と自然エネルギーの割合についても、それぞれ50%を大きく上回るものにしなければなりません(注3)。そのためには、2030年までのすべての石炭火力発電からの撤退、徹底した省エネとエネルギー高効率化、原子力からの脱却と自然エネルギー100%への道筋を示すことが必要です。

東京都は、47都道府県で最も二酸化炭素を排出している自治体です。2030年までに温室効果ガスを半減するためには、新築の建物のZEB(ネットゼロ・エネルギー・ビル)化、既存の建物の断熱改修、建物の省エネの基準改定や義務化、機械の省エネ支援、自動車のEV化と自動車の総数を減らすための都市設計の見直しなど、すべてのエネルギーを自然エネルギーでまかなうための思い切った『グリーンリカバリー』施策を進めていかなければなりません(注4)。

ゼロエミッション東京戦略が発表された2019年に、グリーンピースが実施した都民の意識調査では、同戦略の目標達成に貢献したいと回答した人が85.3%に上りました(注5)。2020年には 都民らでつくる『ゼロエミッション東京を実現する会』も立ち上がりました。こうした多くの都民の声に応えることのできる具体的な施策の推進を、小池都政に期待します」

以上


(注1)東京都環境基本計画
    ゼロエミッション東京戦略

(注2)グリーンピース:IPCC 特別報告書『1.5℃の地球温暖化』の主な論点

(注3)日本政府は国連に、2030年度までに2013年度比で26%削減するとの目標を提出している。現在、2021年11月に開かれる国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)までの再提出を目指して目標値の見直しが行われている

(注4)ゼロエミッション東京シンポジウム資料:「ゼロエミッション東京はこうして実現できるはこうして実現できる」

(注5)グリーンピースブログ:自分の街で気候変動対策を加速させる!草の根活動「ゼロエミッション」の始め方