国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は本日、衆参両院で行われた首相指名選挙で、菅義偉氏が新たな内閣総理大臣に選出されたことを受け、菅新政権に対し、「グリーンな回復 (Green Recovery)」によるレジリエントで公平かつ持続可能な脱炭素社会の構築を求め、以下の声明を発表しました。


グリーンピース・ジャパン事務局長 サム・アネスリー 

気候危機による異常気象が、日本でもこれまで以上の頻度と規模となる中、コロナ禍からの経済再生においては、気候危機回避と経済再生との両立をはかる「グリーンな回復 (Green Recovery)」を進めるべきです。菅新総理には、困窮者の救済を大前提に、真の意味で持続可能な脱炭素型の未来に向けて新たな道筋を描く、大きなチャンスがあります。

菅新総理の選挙区、神奈川2区がある横浜市は、日本を代表する環境先進都市のひとつです。同市は、脱炭素社会に向けて、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにすることを、国内でいち早く表明した地方自治体の一つでもあります。その後、38の地方自治体が気候緊急事態を宣言、152の地方自治体が2050年までにCO2排出量の実質ゼロを表明したほか(注)、さらに多くの地方自治体がこの動きに賛同しつつあります。こうした動きを背景に、政府は気候危機対策を強化し、クリーンで持続可能な技術やインフラへの投資を拡大することで、グリーンな経済成長と雇用創出を加速させる時期に来ているといえます。

日本の一連の新型コロナウイルス対策の景気刺激策は、事業規模の総額がGDPの約40%に相当する230兆円を超えるものです。「より良い復興 (Build Back Better)」をもたらす「グリーンな回復 (Green Recovery)」は、CO2排出量削減などの気候変動対策を実現しつつ、レジリエントで持続可能な社会構築のために資金を活用し、経済を後押しします。日本は、パリ協定にある1.5℃のシナリオに沿って温暖化の進行を防ぎつつ、排出量削減を約束する景気回復計画を策定する必要があります。

「改革断行」を掲げる菅新総理は、自然エネルギーへの転換という改革を主導するべきです。地球温暖化を1.5℃以内に抑えるというパリ協定の目標を達成するためには、日本は自然エネルギーの比率を上げる必要があり、またそれを実現することができます。新政権には、日本が真に持続可能かつ公平で、「グリーンな」回復を目指し、今までの状態にただ立ち戻るのではなく、「より良い復興」を求めます。


以上


(注)環境省:地方公共団体における2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明の状況
https://www.env.go.jp/policy/zerocarbon.html