国際環境NGOグリーンピースは、本日開催される、新型コロナウイルスからの復興と気候変動・環境対策に関する「リデザイン2020・プラットフォーム閣僚会合」にあたり、議長を務める小泉環境大臣に書簡を送り、グリーンリカバリーを進める機会を逃さずに強力なリーダーシップを発揮するよう訴えました。会合には、各国閣僚ほか、企業、若者、地方自治体などが参加し、コロナ危機からのグリーンリカバリーについて取り組みなどを共有する予定です (注1)。

日本の一連の経済再生策は事業規模の総額がGDPの約4割にあたる約230兆円にのぼり、世界的に見ても最大級の規模ですが、よりよい社会を再建するものにはなっていません。グリーンリカバリーを経済再生策に取り入れているのは、EU各国、韓国、ニュージーランドなどです(注2)。EUでは、自然エネルギーや持続可能な農業、交通機関の電気化支援などに総額7500億ユーロ(約94兆円)を投入。ニュージーランドでは「グリーンな雇用」創生を中心に、自然エネルギーへのシフトや鉄道インフラの整備が進められています。

日本はG7の中で唯一、新規石炭火力発電所の建設を続けています。2011年の東京電力福島第一原発事故を受け、石炭火力発電量はさらに増加しました。これは世界的に進む脱石炭の流れ、自然エネルギーへのシフトに逆行するものです。

グリーンピース・インターナショナル(本部)事務局長のジェニファー・モーガンは、小泉大臣宛の書簡で、「強力なリーダーシップと優れた政策が『より良い復興/再建』に求められています。コロナ危機における企業への政府の支援は、グリーンな条件を備えている必要があり、経済刺激策における公的資金は、未来のグリーンテクノロジー、グリーンな製品とサービスを支援するものでなければなりません。グリーン投資への遅れや優先度を下げることは、企業が将来のビジネスチャンスを逃すことに繋がり、日本での持続可能な質の高い雇用を創出できなくなることにもなります。

2011年の東京電力福島第一原発事故以後見られたような、石炭やガス事業への優遇措置、投資に復興予算が使われてはなりません。自然エネルギーの主力電源化は世界的な潮流となっており、石炭火力や原子力発電への依存度は急激に下がっています。しかし化石燃料関連企業は依然として、日本の真の幸福と持続可能な未来を追求するのではなく、自社の利益のために搾取を続けています」と訴えています。

グリーンピースは、今会合以降も小泉環境大臣と環境省がグリーンリカバリー、そして気候変動に対する更なる行動を推進することを期待しています。


(注1)https://platform2020redesign.org/  http://www.env.go.jp/press/108341.html
(注2)報道資料:コロナ禍からの持続可能でレジリエントな復興をーー各国の「グリーンリカバリー」事例集
https://www.greenpeace.org/static/planet4-japan-stateless/2020/08/50c36fcd-final_bp_20200702_greenrecovery.pdf