©︎ Greenpeace

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)とグリーンピース・アフリカは、モーリシャス沖で座礁した貨物船「わかしお」について、モーリシャス政府が分断された船の前方部分を海に沈める計画を検討しているとの報道(注1)に対し、以下の声明を発表しました。

わかしおは全長300メートル近く、重さ10万トン超の最大級の大型船で、現在マルタのボカサミット号ボカエクスペディション号の2隻が曳航しています。1972年のロンドン条約締約国のマルタは、汚染物質が最大限除去されない場合、船舶を含めた廃棄物の海上投棄を禁止し、防止する義務があります(注2)。

グリーンピース・アフリカ、気候・エネルギー担当マネジャー、ハッピー・カンブル
「すべての選択肢の中で、モーリシャス政府は最悪の選択肢を選ぼうとしています。この船を沈めれば、生物多様性を危険にさらし、大量の有害な重金属が海を汚染し、他の地域、特にフランスのレユニオン島を脅かすことになります。モーリシャスの人々は、わかしおが自国の水域を通航させることで何の利益も得ていないにもかかわらず、逆に今回の災害で被害を被っています。これ以上の汚染は、彼らの観光経済と水産物を中心とした食料安全保障をさらに危険にさらすことになります」

グリーンピース・ジャパン、気候・エネルギー担当、関根彩子
「問題を隠すことは解決ではなく、むしろ悪化させます。船を沈没させることは、問題を見えなくして世間の関心が薄れることに期待するという、石油業界に典型的な手段を採用することになります。長鋪汽船と商船三井は今ならまだ、危険にさらされている人々と地球への被害を減らすために正しい選択をすることが可能です」

現地NGO「DIS-MOI」共同理事、ビジェイ・ナレイドゥー
「Dis Moiとグリーンピース・アフリカは、モーリシャスの影響を受けた地域社会とともに立ち向かい、汚染者がこの環境破壊の代償を払うことを望みます。これは、最も安くて速い選択肢ではなく、代わりに海と人々を第一に考えることを意味します」


(注1) Forbes https://www.forbes.com/sites/nishandegnarain/2020/08/18/macrons-interventions-backfire-as-mauritius-to-sink-the-wakashio-in-whale-nursing-grounds/#c07a60132e1e

(注2)人命や船舶の安全を確保するために投棄が必要な場合に例外が設けられているが、わかしおの乗組員は安全な状態にあり、船舶はすでに座礁しているため、これには当たらない。もう一つの例外として、マルタは 「緊急時に、人の健康に関連して許容できないリスクをもたらし、他に実行可能な解決策がないことを認めた場合 」に、投棄のための特別許可証を発行することを認めている。しかし、これは他の影響を受ける国や国際海事機関に相談した上でのみ可能であり、それによる勧告は、残された時間と海洋環境への被害防止義務と、可能な限り整合性を保った上で、行われなければならない。


<参考>
グリーンピースが商船三井と長鋪汽船に送付した公開状(8/14送付、8/20回答期限)

座礁事故に対するグリーンピース・アフリカの声明(8月7日、英語)