国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は、本日、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止と環境保護の観点から、再利用可能なマスクや手袋を適切に消毒した上で使用することを正式に推奨する、世界各国の保健衛生専門家のコメントを発表しました(コメント一覧はこちら)。各国でマスクなどの個人防護具 (PPE)が不足している状況に鑑みて、専門家らは使い捨ての個人防護具を必要とする医療従事者やエッセンシャルワーカー(社会インフラを支える労働者)を除く一般市民に対して、手洗いと再利用可能なマスク使用を基本的な衛生習慣として実践するように求めています。

科学ジャーナルのEnvironmental Science & Technologyによると、新型コロナウイルス流行期間中に世界中で、毎月およそ1290億枚の使い捨てマスクと650億枚の使い捨て手袋が利用されているといいます。そしてこれらは環境汚染を世界規模で拡大させるだけでなく、廃棄物を媒介としてウイルスが蔓延する恐れがあり、公衆衛生上の甚大な危険をもたらすことも明らかになっています。


英国ロンドン大学のジェニファー・コール研究員

「人の健康は健全な地球環境によるところが大きく、新型コロナウイルス感染症が地球の健全性をさらに悪化させる理由になってはいけません。シングルユースの使い捨てマスクやプラスチック手袋の使用は避け、布製マスクをもっと広く利用できるようにしなければなりません。一般市民にとってプラスチック製の手袋は不要です」


グリーンピース・ジャパン プラスチック問題担当 大舘弘昌

「新型コロナウイルス感染症の蔓延を防ぎながら、同時に地球環境を守っていくことが求められています。健全な環境があることで、私たちの豊かな生活も成り立ちます。プラスチックによる海洋汚染、気候変動への影響、廃プラ取引による環境・健康被害を止めるためには、原因となる使い捨てプラスチックを大幅に減らさなければいけません。

世界の保健衛生専門家は、すでに衛生的で安全なリユース・リフィルは可能と明言しています(注1)。日用消費財メーカーや小売などの企業は、リサイクル技術の向上・代替素材への移行だけでなく、使い捨て容器包装を根本から減らすリユース・リフィルの取り組みを進めるべきです。企業にとって、いまが真のイノベーションを創出する機会です(注2)」


(注1)上記の保健衛生専門家らは、6月22日に発表した、世界各国の保健衛生の専門家が再利用可能な袋や容器は新型コロナウイルス流行下で安全に利用できることを保証する声明を受けて発言しています(声明には、現時点で20カ国の130人以上の専門家が署名)。

(注2)スマートスーパーマーケット報告書