国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区)は本日、報道資料『スタートラインに立つ3メガバンクの石炭投融資制限ーー評価と国際比較』を発表しました。同資料では、これまでに石炭火力発電事業への新規投融資を原則中止する方針を打ち出した、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)、三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)の3行について、国際的な比較と分析を行った上で、グリーンピースの提言を示しています。

今回の分析は、3メガバンクの新石炭方針が、海外の競合他社に大きく遅れをとっていること、3行が、気候危機への十分な対策を取っていないことを示しています。

<ポイント>

過去の融資活動と比較しながら、3メガバンクの新方針の影響を分析しました。また、それぞれの新方針について、欧州の銀行の事例との比較も行いました。要点を以下に示します。

  • 長年の石炭火力発電事業への投融資をやめる方向に舵を切ったことは、大きな変化である一方、融資の抜け穴は残されている
  • 新方針は、現在の石炭ファイナンスの一部である「プロジェクトファイナンス」に制限を設けるだけで、発電事業者にとって重要な資金調達手段となる「コーポレートファイナンス」には制限を設けていないため、その効果の範囲は限られている
  • 現在、石炭に依存する電力会社へのコーポレートファイナンスが広く行われていることを考えると、方針が強化されない限り、3メガバンクによる石炭分野への資金提供は今後も世界規模で行われる
  • 日本の3メガバンクの中では、みずほの方針がやや踏み込んでいる。しかし、欧州の銀行と比較すると、3行とも石炭および化石燃料に関する方針はすべての面で見劣りする

グリーンピース・ジャパン エネルギー担当、ハンナ・ハッコは「日本の3メガバンクが、石炭融資を制限する第一歩を踏み出したことは心強いことですが、これはほんの始まりに過ぎません。石炭やその他の化石燃料による発電所を建設・運営する電力会社に資金提供を続ける限り、3行は気候変動を悪化に加担することになります。MUFG、みずほ、SMBCには、エネルギー分野への融資をより持続可能な方向に変えるために、さらなる努力が求められます」と述べています。

グリーンピースは、3メガバンクに対し、1) プロジェクトファイナンスの抜け穴を塞ぐこと、2) 資金提供先の電力会社に脱炭素戦略を求めること、3) 新規の石炭発電所建設を計画したり、エネルギー事業の脱炭素計画を示さない電力会社への融資を停止すること、を求めています。

3行はそれぞれ、6月下旬に年次株主総会の開催を予定しています。グリーンピースは総会の行方を見守り、エネルギー分野への投融資方針の強化を求めていきます。

※資料の全文は以下のリンクからご覧いただけます。
(日本語) スタートラインに立つ3メガバンクの石炭投融資制限−−評価と国際比較
(English)Japan’s megabanks at the starting line with new coal policies