国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は本日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が改定した『MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク』(13日公表)について、以下の声明を発表しました。


今回の改定では、2019年5月に発表されたMUFGの石炭産業への融資方針から大きな変更はありませんでした。石炭火力発電事業への新規投融資を行わないという昨年の方針を維持する一方で、炭素回収・貯蔵(CCS)技術の利用で例外を設ける可能性など、NGOが批判した抜け穴が残されています。石油・ガスセクターが気候変動に有害な影響を与えるという認識が新たに加えられましたが、一方でこのセクターへの投融資に制限は設けていません。


グリーンピース・ジャパン  エネルギー担当、ハンナ・ハッコは「世界中で悲惨な異常気象と記録的な高温が相次ぐ中で、MUFG が石炭やより広範な化石燃料事業への投融資方針を改善できなかったことは非常に残念です。世界には気候危機の最悪の影響を抑えるために10年の猶予があるとされますが、MUFGはそのうちの1年を無駄にしてしまいました」と指摘しています。

MUFG は個別の石炭発電事業への投融資は控える方針にもかかわらず、石炭産業への融資を続けており、特に、ベトナムのブンアン2石炭火力発電事業への融資を検討していると批判を受けています(注1)。報道によると、MUFG は石炭関連企業への世界最大級の資金提供者で、2017-2019 年には石炭開発業者への資金提供者としても第2位にランクされています(注2)。グリーンピース・ジャパンなどのNGOの呼びかけにもかかわらず、MUFGの新方針では、石炭関連企業への投融資規制は導入されていません。

ハッコは「今回の新しくも改善が見られない方針からは、MUFGが気候危機対策への貢献も、石炭関連産業を融資から除外することが当たり前となっている世界的な動向(注3)も、真剣に考えていないという印象を受けます。MUFG が脱炭素への貢献を真剣に考えるのであれば、気候変動を加速させている企業への金融支援を段階的に廃止するための明確な制限と期限を設ける必要があります」と述べています。

(注1)No coal Japan プレスリリース
(注2)350.org Japan、気候ネットワーク共同プレスリリース
(注3)石炭関連産業への投融資制限の事例

<参考>
グリーンピースは4月、MUFGの亀澤宏規グループCEO宛てに下記の要望書を送付しました。
https://www.greenpeace.org/static/planet4-japan-stateless/2020/04/ee3a69a4-final_20200424_mufg-letter_jpn.pdf

<MUFGに関連したグリーンピースの活動の写真>
2020年1月、スイス・ダボス会議

<MUFGに関するグリーンピース・ジャパンの報告書>
『日本の二重基準ーー海外石炭火力発電事業が引き起こす深刻な健康被害』(2019年8月)
『不確実で有害ーーインドネシアにおける日本の石炭火力発電事業』(2018年12月)