国際環境NGOグリーンピースは、大阪で開催された20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)が「大阪宣言を採択し閉幕したことを受けて、以下の声明を発表しました。
 

グリーンピース・インターナショナル (本部) 事務局長 ジェニファー・モーガン

「米国を除くG19が示した気候変動対策への決意は、依然として確固たるものですが、今必要なのは気候の緊急事態に対処するための迅速な行動です。首脳たちが本気で人々の期待に応える用意があると証明するために、際限のない貿易交渉をこれ以上会合の焦点にするのではなく、自国の経済の急速な脱炭素化を開始しなければなりません。

気候変動は一刻を争う状況になっています。この加速する危機において、各国の政策や現実世界の行動を、産業革命前に比べて世界の気温上昇を1.5度未満に抑える目標に急いで合致させない限り、パリ協定への約束を再確認したG20大阪サミットの成果は、また代わり映えのしないものになってしまいます。

世界中で、学生が気候変動対策を求めるデモに参加し、地域住民が気候変動危機をめぐる訴訟を起こしています。彼らは、G20首脳が直ちに行動を起こし、首脳らが名実ともに世界のリーダーであることを証明するよう求めています。 気候変動の現実は今ここにあり、実行に移す時が来ています。

開催国日本が打ち出した、高効率発電や炭素回収・貯留に依存する頼りない長期的な気候戦略は、その原因となっている炭素汚染問題に対処できていません。 パリ協定の目標に献身的に取り組む指導者は、行動を強化し、経済の急速な脱炭素化のための明確で透明性のある計画をもって、今年9月にニューヨークで行われる国連事務総長による気候変動サミット、および11月にチリで開催されるCOP25に臨まなければなりません。

気候変動危機と廃プラスチック問題は、同様の方法で解決することができます。すなわち、対症療法的な解決策から脱却し、生産モデルと消費モデルに根本的な変化をもたらすことです。真に化石燃料からの温室効果ガス排出やプラスチックごみを削減するために、私たちは汚染の循環を終わらせなければなりません」

 

グリーンピース・ジャパン  プログラム部長 高田久代

日本の気候変動に関する長期戦略は頼りなく、気候変動との対峙に真剣ではないことを示しています。気候変動対策を求める学生デモの波、科学者からの切迫した警告、気候変動に翻弄される人々の叫びにもかかわらず 、安倍首相はG20の野心を前進させることができませんでした。このことは特に、日本人がすでに異常気象から感じている脅威や、日本が直面しているその他の気候変動危機の影響を考えると、非常に残念です。

海洋プラスチックごみによる追加の汚染をゼロにすることを目指すG20の合意は歓迎されるべきですが、さらに30年間も汚染を継続させることは容認できません。2050年までにゼロにするとした今回のビジョンは、『使い捨てプラスチック製品を2030年までに大幅に削減する』とした、今年3月の第4回国連環境総会(UNEA 4)閣僚宣言とも一致しません。多くのG20諸国が世界のプラスチック汚染を引き起こしています。使い捨てプラスチックごみの一人あたり発生量が世界第2位である開催国日本こそ、率先して使い捨てプラスチックの使用削減を行う必要があります」