国際環境NGOグリーンピース・東アジアは、2016年1月から2018年11月までの国際的な廃プラスチック取引に関する調査を行い、2018年1月より中国が廃プラなど資源ごみの輸入を禁止したことで、世界の廃プラが東南アジアへ集中的に流入していること、また、世界の総輸出量は2016年の1250万トンから2018年の580万トンへと、ほぼ半減したことが分かりました(注1)。

また、2018年1月から11月の輸出で上位5位を占める国・地域は、1位米国(総輸出量の16.5%)、2位日本(15.3%)、3位ドイツ(12.6%)、4位英国(9.4%)、5位ベルギー(6.9%)で、日本が世界の中でも多くの廃プラを輸出していることが浮き彫りとなりました。

さらに、世界で1200以上の団体が参加するムーブメント『ブレイクフリープラスチック』の構成団体GAIA (Global Alliance for Incinerator Alternatives:世界焼却反対連盟)が現地調査を行なった結果、廃プラの輸入国・地域では、水質汚染、農作物の枯死、健康被害、野外焼却といった事態の発生が明らかになりました(注2)。

中国の輸入禁止措置の導入前後で、リサイクル可能な廃プラ取引の変化を調べた結果、導入後、ごみはマレーシア、ベトナム、タイに流入していました。しかし、これらの国はすぐに輸入規制を敷いたため、行き先を失った輸出ごみはインドネシア、インド、トルコに流れ込みました。これらの国は、自国を保護する十分な規制がなく、GAIAの現地調査でインドネシアの北スメンコは、ほぼ一夜にして世界のごみ捨て場と化したことが分かりました。

グリーンピース・東アジア、シニアキャンペーナーのケイト・リンは、「リサイクルシステムがプラスチック生産に追いつくことはできません。現に、プラスチックの累積生産量のうち、たった9%しかリサイクルされていません。プラスチック汚染に対する唯一の解決策は、生産量の削減です。プラスチックを大量使用する主に消費財企業やスーパーなどの企業は、使い捨てプラスチックを削減し、詰め替えやリユース制度に移行する必要があります」と訴えました。

廃棄物の輸出入を制限する「バーゼル条約」の締約国は今月、汚れた廃プラを新たな対象に加えることで合意しました。さらに、本日5月20日、持続可能で包摂的な世界の実現に向けて、都市共通の課題や解決について議論し、G20に対するメッセージを届けるため、東京都は、世界の主要都市が一堂に会するUrban 20(U20)メイヤーズ・サミットを主催します。

廃プラ危機は東南アジアの問題だけではありません。プラスチック生産は今後も増加が見込まれ、世界全体に廃プラが蓄積しています(注3)。グリーンピース・ジャパンは、日本政府がG20の議長国として、プラスチック汚染の解決に向け、より野心的な目標を掲げ環境対策のリーダーシップを発揮することを求めます。

注1)報告書

※この報告書は、2019年4月にグリーンピース・東アジアが発表したものの日本語版です。

注2)GAIA報告書 ”DISCARDED Communities on the Frontlines of the Global Plastic Crisis”(英語)https://wastetradestories.org/wp-content/uploads/2019/04/Discarded-Report-April-22-pages.pdf

注3)これまでの傾向に基づくと、世界で生じる廃プラの累積量は2050年までに250億トンに達すると予測されています。Geyer, R. 他(2017年) Production, use and fate of all plastics ever made. Science Advances Vol. 3, no. 7. https://advances.sciencemag.org/content/3/7/e1700782

廃プラの発生量は、ドイツ(2015年から2017年の間に3.9%増加)や米国(2018年には2015年比で12%増加と予測)などの主要輸出国で増加しています。