国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(東京都新宿区、以下グリーンピース)は、本日4月5日、ブリーフィング・ペーパー『地球温暖化を1.5℃未満に抑えるために石炭を段階的に廃止する道すじ』(日本語版)(注1)を発表し、石炭火力発電を2030 年までに約3 分の2 削減し、2050 年までにほぼ完全になくすことは、経済的にも技術的にも可能とするシナリオを発表しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018 年10月、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書『1.5℃の地球温暖化』によると、未曾有の気象災害を避けるために、石炭火力発電を2030 年までに約3 分の2 削減し、2050 年までにほぼ完全になくす必要があると警告しています

本ブリーフィング・ペーパーは、世界の石炭火力発電所設備、および新たな石炭火力発電所計画の地理的分布と稼働年数の構成を考慮し、以下の3つの手段により、2050年までの石炭からの段階的な転換は技術的にも経済的にも可能とするシナリオを提示しています。

 

  • 開発途上のものを打ち切る
  • 既設の石炭火力発電所を古い順に廃炉にする
  • 自然エネルギーの割合を増やす

 

政府は2日に発表した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会の提言」において、「CO2排出量を2050年までに80%削減」という数値目標を掲げました。グリーンピースは、このシナリオに合致せず、先進国として低すぎる目標として批判しています。

 

グリーンピース・ジャパン、エネルギー担当の関根彩子は、「政府目標は、IPCCの1.5℃特別報告書の結論を踏まえると、低すぎる目標であると言えます。同報告書は、2030年までに2010年比で世界のCO2排出量を半分にして、遅くとも今世紀半ばには正味ゼロにまで下げる必要性を示唆しています。高度な技術力を持ち、かつこれまでの排出の責任もある日本のような先進国は、パリ協定とIPCC報告書に合致する野心的な目標設定をすべきです。

 

本ブリーフィング・ペーパーは、着工前の石炭火力発電所はすべて中止すべきと提言しています。近日中にも建設着工が見込まれる東京湾の大型石炭火力発電所2基(神奈川県横須賀市、計130MW)を含む、まだ着工されていない火力発電所計画10基はすべて撤回されるべきです」と語りました。


(注1)『地球温暖化を1.5℃未満に抑えるために石炭を段階的に廃止する道すじ』。昨年10月にグリーンピース・インターナショナルと研究者の国際ネットワーク、コール・スワームが発表した『A Coal Phase-Out Pathway for 1.5℃』の日本語版

(注2)パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会提言