国際環境NGOグリーンピース・ジャパン(以下グリーンピース)は、関西電力(株)の子会社と丸紅(株)による秋田港石炭火力発電所の事業計画が見直されるとの報道を受けて、判断は妥当とする以下のコメントを発表しました(注1)

 

この計画は、2024年に秋田港エリアで出力130万キロワットの大型石炭火力発電所の運転開始を目指していました。計画の環境影響評価(準備書)では環境大臣意見として、「石炭火力発電に係る環境保全面からの事業リスクが極めて高いことを改めて強く自覚」すべきことや、「二酸化炭素排出削減の取組への対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討することを含め、あらゆる選択肢を勘案して検討する」ことなどが求められていました。

 

また、2018年9月にグリーンピースと気候ネットワークが共同で実施した、秋田県の住民1000人を対象とした意識調査によれば、7割以上がこの計画を知らず、大気汚染の影響などを直接受ける地域住民の関与が希薄であることが伺えました。当該地域に支援や投資をしてほしい電源を尋ねた設問では、太陽光や風力など自然エネルギーが圧倒的多数を占め、石炭は最も不人気でした(注3)。

 

グリーンピース・ジャパン エネルギー担当の関根彩子は、

「2018年10月に発表されたIPCC報告書『1.5℃の地球温暖化』によれば、地球温暖化を1.5℃未満に抑えるためには、石炭利用は急速に減らすことが必要で、石炭火力発電の事業計画の見直しは、その流れに沿った妥当な判断といえます。

 

石炭火力発電事業に残された時間は、この計画が公表された当時と比べてさらに短くなっています。石炭バイオマス混焼の選択肢は、高コストのためすでに断念されたケースもあり、価格が上昇傾向にある化石燃料の天然ガスへの転換も長期的視点に立った解決策とは言えません。事業会社は、すでに世界のエネルギー業界の潮流は変わっていることを認識し、将来にわたって社会を支える電力にふさわしい自然エネルギーへの転換を求めます」と語りました。

 

注1)日本経済新聞 2019年2月21日「関電・丸紅、秋田石炭火力見直し バイオマス転換も

注2)2018年9月28日「秋田港火力発電所(仮称)建設計画に係る環境影響評価準備書に対する環境大臣意見の提出について

注3)楽天インサイト(株)に委託したオンライン調査

調査実施期間:2018 年9月21日~26日  発表:2018 年12月12日

対象:秋田県在住の1000人