(写真:1月25日、気候変動対策を求めるベルリンでのデモ)

国際環境NGOグリーンピースは、ドイツ政府の諮問委員会が昨日26日、同国の石炭火力発電を2038年までに全廃することに合意したことを受け、歓迎の意向を表す一方、2038年ではなく2030年を目指すべきとする以下の声明を発表しました。諮問委員会にはグリーンピース・ドイツ事務所も参加しています(注)

 

グリーンピース・インターナショナル(本部)事務局長 ジェニファー・モーガン

「ドイツは石炭の段階的廃止の達成期日の策定に踏み出し、ようやく脱石炭を目指す欧州近隣諸国の仲間入りをします。これは称賛に値します。 しかし2038年までという目標は、気候変動の脅威を避け、パリ協定の目標を達成するには不十分です。

 

私たちは、森林火災、破壊的な暴風雨などの極端な天候、つまり気候変動が加速している証拠を、毎週のように目のあたりにするようになりました。各国が温室効果ガス排出削減に向けて、より高い目標を掲げるべき時です。

 

IPCC特別報告書によると、2030年までに世界の石炭消費量を少なくとも3分の2削減し、2050年までにゼロにする必要があります。ドイツはそれを先導すべき立場にあり、遅くとも2030年までには、石炭火力発電を全廃すべきです。ドイツは世界第4位の経済大国、第6位のCO2排出国であり、欧州最大の石炭産業を擁します。化石燃料からの移行とパリ協定に合致する取り組みの実行が、どのように実現可能であるかを示してくれるでしょう」

 

グリーンピース・ジャパン プログラム部長 高田久代

「石炭産出国であり、現在電力の約4割を石炭に依存するドイツが、石炭火力発電からの脱却に向けて踏み出したことは、非常に勇気のある決断です。同国は、東京電力福島第一原発事故を機に2022年までの原発廃止もすでに決定し、自然エネルギーへの移行を急ピッチで進めています。一方、日本は燃料の石炭を輸入に頼りながら、国内に30基以上の石炭火力発電所の新設計画を持ち、石炭火力技術の輸出も進める稀有な国です。また甚大な原発事故の当事国でありながら、原発の再稼動も目指しています。

 

世界第3位の経済大国、第5位のCO2排出国として、日本はドイツとともに世界の気候変動対策をリードし、安全で持続可能なエネルギーを推進する責任があります。日本政府の速やかな政策の転換を強く求めます」

注)グリーンピース・ドイツで気候変動・エネルギー部門を率いてきた担当者が来日します。2月7日、8日にご取材可能ですので、ご関心のある方はご連絡ください。