同社の柏崎刈羽原発の再稼働の行方も依然不透明です。原子力規制委員会による新規制基準審査の第一段階は2017年12月に通過しましたが、その後2018年2月になって、東電は、柏崎刈羽原発6、7号機のフィルターベント設備(重大事故の際、原子炉格納容器の圧力を下げる)の基礎が液状化に対して脆弱であることを明らかにしました。液状化問題は、プラント敷地内広範囲に広がっていると予想され、対策は困難でしょう。住民によって差止訴訟も提起されています。東電は、これまでに柏崎刈羽原発の再稼働のために、7,000億円を投じています(注3)。
株主総会に出席するグリーンピース・ジャパン、エネルギー担当の鈴木かずえは「東電が、今月14日に表明した福島第二原発の廃炉の決定は正しいものですが、非常に遅かったといわざるをえません。柏崎刈羽原発も同じ運命だと認めるのに、同社はあと何年かけるのでしょう。廃炉が自明の原発にお金をつぎ込むより、まず福島第一原発事故の被害者への償いをすべきです。ADRの和解の拒否は到底認められせん」と語りました。
また、グリーンピース・ドイツ、核問題シニア・スペシャリストのショーン・バーニーは「未来のない原発に大金をつぎ込むのはやめるべきです。東電には多額の税金が注ぎ込まれていますが、新潟や全国の納税者は原発を望んでいません。経営陣は、原発を放棄し、持続可能な自然エネルギーを中心に据えた経営へと舵を切るべきです」と述べています。
注1)グリーンピースは脱原発と自然エネルギーの飛躍的導入を求め、株主総会への参加・議決権行使などのために、電力会社では東京電力と関西電力の株式を最小単位で(100株)で購入しています。反原発を訴える多くの株主とともに株主運動に参加しています。
注4)グリーンピースは、政府の「エネルギー基本計画案」に対し、電力について評価し、提言をまとめています。 「グリーンピース・ジャパン ブリーフィング・ペーパー第5次エネルギー基本計画(案)についての評価と提言」