国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、2017年8月28日(月)から韓国・釜山で行われる、太平洋クロマグロの資源管理を話し合う国際会議、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の第13回北小委員会の開幕を前に、下記の声明を発表しました。
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン 海洋生態系担当 小松原和恵
「初期資源量のわずか2.6%(注1)まで減少し、絶滅危惧種に指定されている太平洋クロマグロにとっては、今回の会議における長期的な資源回復計画の合意形成が一縷の望みです。

暫定回復計画では、2024年までに初期資源量の約7%(注2)までしか回復せず、資源崩壊の目安とされる10%を大きく下回ったままです。太平洋クロマグロを確実に健全なレベルまでに回復させる長期計画が導入されない限りは、すべての商業的漁業を禁止すべきです。

すべての関係国が事態の深刻さを認識すれば、自ずと資源回復を最優先にした長期回復計画の合意に至るはずです。特に、最大の漁獲国かつ消費国である日本は、健全なレベルに資源を回復させるために最も貢献をする責任があり、規制の軽減を求める立場にはありません。また、加盟国の絶対の義務である漁獲規制を守れずに漁獲枠を超過した責任を真摯に受け止めるべきです」

マグロ グリーンピース 国際会議

写真:太平洋クロマグロ

グリーンピースの要請
・ 8年(最善事例に即し2世代)以内に資源量を20%SSBcurrent, F=0に回復させる
・ 目標基準値を少なくとも40%SBcurrent, F=0とする太平洋全域での資源回復計画の実施。
・ 緊急措置として、現行の資源回復計画が機能しない場合(例:達成確率<60%)に漁業を禁止する

日本の漁獲状況と政府提案の主な問題点
・日本は、第2期管理期間(2016年7月~2017年6月)において、WCPFCで定められた30kg未満の漁獲枠を守れず、約334トン超過
・暫定回復目標を達成する確率が65%を上回った場合には、漁獲上限の引き上げを提案

(注1) 水産庁「太平洋クロマグロの資源状況と管理の方向性について」
(注2) 中西部太平洋まぐろ類委員会第12回科学委員会