国際環境NGOグリーンピースは7月18日、北極海でのロシアの油田開発に船で抗議していた同団体の活動家ら30人がロシア政府に逮捕された事件で、国際裁判所が同日、ロシア政府に対して損害賠償金約540万ユーロ(約7億円)をグリーンピースの船籍国であるオランダ政府に支払うようロシア政府に命じ、海上での平和的な抗議活動の権利を再確認する司法判断を下したことを受け、以下の声明を発表しました。
[背景]
2013年9月20日、世界で唯一残された手付かずの海域をまもるためのキャンペーン「北極海を保護区に」での活動において、ロシアの石油掘削事業に平和的に抗議していたグリーンピースの砕氷船「アークティック・サンライズ号」と共に、乗組員30人(28人のグリーンピースの活動家と2人のジャーナリスト)がロシア連邦保安局により逮捕されました。今回の判決は砕氷船への不法な侵入、押収、そして留置についての長い仲裁裁判の結果です。

「アークティック30」と呼ばれる乗組員30人は、ロシアのムルマンスク市とサンクトペテルブルク郊外で2カ月間にわたり拘留され、 最終的にロシア議会が採択した恩赦により解放されました。アークティック・サンライズ号は、ムルマンスク港で9カ月後にグリーンピースに返却されましたが、逮捕時や拘束中に大きな損傷を受け、さらに小型船舶やその他の機器も深刻な被害を受けました。(注1,2,3)

グリーンピース・インターナショナル 法務責任者、ジャスパー・トゥーリング
「正義への道のりはこれからも続きますが、今日の判決は、国際法および北極海と世界中の海での石油掘削に対する平和的抗議の権利を強く支持するものです」

グリーンピース・インターナショナル北極担当者、ベン・アイリフェ
「ロシア政府がアークティック30を逮捕した事件は、人々から石油産業支持を取り付けるために、政府や企業が手段を選ばないことを世界に示しました。アークティック30のメンバーが、遠い北極海の石油掘削プラットフォームで取った勇敢な行動は、数百万の人々に勇気を与え、石油産業に立ち向かう行動へと背中を押しました。 氷の北極圏からアマゾンの河口や北米のタールサンドのパイプラインに至るまで、人々はアークティック30の例にならい、もはや化石燃料や石油企業に依存しない、より環境に優しく安全で豊かな世界の創造に貢献しています。」

大規模な修理と改装を経て、アークティック・サンライズ号はノルウェーのスタトイル社(注4)によるバレンツ海での石油掘削に反対するキャンペーンを先週から開始しました。 グリーンピースをはじめ複数の団体が、これらの計画に対して裁判を起こしています。今年の夏、アークティック・サンライズ号は、北極圏での掘削計画の無謀さを明らかにする活動で主導的な役割を果たすでしょう(注4)。

Notes:
注1) Award of the Tribunal, August 2015, in which Russia was held liable:
Presiding over the case is a five-member international arbitral tribunal, based in Vienna, formed specifically to hear the case in accordance with Annex VII of the United Nations Convention on the Law of the Sea. In November 2013, while the tribunal was being established, the International Tribunal for the Law of the Sea (ITLOS) in Hamburg ordered the immediate release of the vessel and her crew as a provisional measure. The Russian Federation failed to comply with that order.

注2) Case view of the Permanent Court of Arbitration (acting as registry):

注3) Photo and video of Arctic Sunrise damage, repairs and return to Amsterdam

Arctic Sunrise returns from Murmansk to Amsterdam (June – August 2014) – photo and video:

Repair activities on damaged interiors of the Arctic Sunrise, August 2014 -photo:

Final refurbishment and preparation (July 2017)

注4) www.savethearctic.org/en/peoplevsarcticoil

注5) Lawsuit accepted by the court: