欧州委員会、ミツバチに有害な農薬3種全面禁止へ 日本の農林水産省は生態系に脅威ある農薬の規制強化を

欧州委員会は、ミツバチやその他の花粉媒介生物に有害な3種のネオニコチノイド系農薬をヨーロッパで全面的に禁止する規制案を提出する見通しであることを英国紙ガーディアンが報じました(注1)。この内容は2013年に欧州で導入されたネオニコチノイド系農薬の部分的禁止を大幅に拡大するもので、5月の次回会合で欧州各国首脳の投票により決定されます。国際環境NGOグリーンピース・ジャパンは、欧州委員会の提案を受けて下記の声明を発表しました。
「ミツバチと環境にとって非常に画期的なニュースです。長年にわたり、ネオニコチノイド系農薬はミツバチなどの花粉媒介生物に害を及ぼすという数々の証拠が積重ねられてきました。花粉媒介生物が健康であることが、生態系保全と食料生産に重要です。なお、今回この3種の農薬(イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム)の使用が全面禁止されても類似の農薬は引き続き許可されます。欧州委員会は、全ての農薬に同じ厳格な基準を適用し、生態系の力を活用し農薬に頼らない害虫駆除への移行支援が課題となるでしょう。

一方、日本政府は欧州委員会とは正反対に、次々にネオニコチノイド系農薬の残留基準を緩和しています。農林水産大臣は、同種の農薬による影響から環境を保護し農業生産を存続させるためにも、欧州委員会の判断とその背景にある科学的証拠を重く受け止め、日本でも禁止に向けた議論を早急に始めるべきです」

グリーンピース ミツバチ ネオニコチノイド系農薬

欧州委員会の提案が可決され法律となれば、これら3種のネオニコチノイド系農薬の使用は、外部に植え替えのない、作物のライフサイクルが温室内で完結する場合に限られます。提案内容は、農薬がミツバチに与える影響をより包括的に評価する方法(注2)を適用した欧州食品安全機関(EFSA)の2016年の意見に基づいています(注3)。

日本ではいま、新たにネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルの登録が進めらており、厚生労働省は残留基準を決めるパブリックコメントを今月30日まで募集しています(注4)。グリーンピース・ジャパンも参加する「ミツバチと子どもをまもる実行委員会」は現在、スルホキサフロルの登録中止を求める署名を集めています。

注1)https://www.theguardian.com/environment/2017/mar/23/europe-poised-for-total-ban-on-bee-harming-pesticides

注2)EFSA, 2013, Guidance on the risk assessment of plant protection products on bees

注3)EFSA, 2016, Peer review of the pesticide risk assessment for the active substance imidacloprid in light of confirmatory data submitted, and EFSA, 2016, Peer reviews of the pesticide risk assessment for the active substance clothianidin in light of confirmatory data submitted

注4)スルホキサフロルはEUで承認されているが、登録し、使用可能としている加盟国はない。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパン